本格ミドルアドベンチャーとして、名車の名を冠して2023年に復活を果たしたのが「XL750トランザルプ」。今回初となるモデルチェンジを受けた新型では、フロントマスクのデザインが変更されたほか、足まわりも進化。オンロードにおける走りの質がより高められた。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
▶▶▶写真はこちら|ホンダ「XL750トランザルプ」全体・各部・走行シーン(15枚)

ホンダ「XL750トランザルプ」インプレ(宮崎敬一郎)

画像: Honda XL750 TRANSALP 2025年モデル 総排気量:754cc エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 シート高:850mm 車両重量:210kg 発売日:2025年5月29日(木) 税込価格:132万円

Honda
XL750 TRANSALP
2025年モデル

総排気量:754cc
エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒
シート高:850mm
車両重量:210kg

発売日:2025年5月29日(木)
税込価格:132万円

懐の深さが魅力のミドルアドベンチャー

新型トランザルプの変更点は、まず、ヘッドライトのデザイン変更。ライトがシャープで横長のデザインになり、より精悍な印象になっている。前後のサスもセッティングが変更され、スプリングやダンパーイニシャルなどの設定を変更している。セッティングの詳細は発表されていないが、どうやら「オンロードでの走りを向上」させる狙いらしい。

もともとトランザルプの前後ホイールはアフリカツインと同タイプで、フロントは21インチで走破性を重視したもの。オフ性能をしっかり意識したデュアルパーパスだ。

アフリカツインよりひと回りコンパクトな車体、短めの足まわりの威力も大きく、取り回しのしやすさ、ツーリングでの高い実用性を魅力にしている。しかも、前モデルは悪鋪装路やそこそこ荒れた林道でも、バイク任せにしているだけで勝手に走破するような面倒見のいい足まわりが気楽な走りを生んでいた。

今回の、オンでのフットワークを意識したサス変更でも、その美点に変わりはない。微妙に足まわりの反力が強くなったような感じはするが、硬いわけではなく、相変わらずしなやかで良く動く。

エンジンの下をヒットさせないよう気を使いながら、程々のガレ道に入ったり、荒れた舗装路も走ったが、ハンドルが弾かれないだけの衝撃吸収力を持っている。十分なトラベル量と動きで、快適でコシのある、オフ向きの足まわりだと思う。

画像: ホンダ「XL750トランザルプ」インプレ(宮崎敬一郎)

従来型との最大の違いは、オンロードでより曲がるようになっていたこと。たぶん、動的なコーナリング姿勢を変えたのだろうと思う。前モデルは登りや高速コーナリングで、バイクを寝かす割には曲がらない感触があったが、それがこの新型にはない。というか、そんなクセがあったこと自体を忘れさせるほど、自然に峠道を走ってくれた。

エンジンはよく粘り、6速2000回転、50km/hちょっとから車の後ろを追従できるし、5速2000回転だと50km/hほどで、そのまま街の混雑路を走れる。そこからアクセルを開けるとハンドルに少し震動が出るが、慣れれば気にならない。ツーリングモデルとして十分に力強い力量だし、快適な乗り心地で、高速道路の巡航もゆとりでこなせる。

今回のマイナーチェンジは、トランザルプ本来のツメを丸めず、牙を残したまま、汎用的な走りをより洗練させている。新型は、使い勝手のいい等身大の「冒険旅道具」なのだ。

This article is a sponsored article by
''.