文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ホンダ新型「CRF250ラリー」インプレ(太田安治)

Honda
CRF250 RALLY
2025年モデル
総排気量:249cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:830mm(〈s〉は885mm)
車両重量:153kg
発売日:2025年3月20日
税込価格:79万2000円
ダカールマシンを思わせるアドベンチャーツアラー
オフロード性能を高めて2020年にフルモデルチェンジしたCRF250シリーズ。トレールモデルのCRF250Lに対し、このCRF250ラリーはツーリング性能を意識したモデルだ。
最も特徴的な大型の燃料タンクは前モデルのラリーから2Lも増量された12L容量。公表されているCRF250ラリーのWMTCモード燃費が32.4km/Lだから、単純計算でも、満タンにすれば約388kmは走れることになる。ガソリンスタンドの数が減少し続けている現在、航続距離はツーリングライダーに大きな安心を与える要素のひとつ。このビッグタンクは大きな魅力だ。
Lに対して、このラリーは高速道路クルージングの快適性にかなりのアドバンテージを持っている。ラリーはハンドルバー内にウエイトを内蔵しており、ステップもラバー付き。シートは座面を幅広・肉厚な形状とし、さらにシートレールと接する部分にはラバー製のクッションを入れ、ライダーに伝わる振動も大幅に軽減。2023年モデルからは新たに排出ガス規制にも対応している。
加えて、ダカールマシンを思わせる特徴的な大型ウインドスクリーンと、標準装備されるナックルガードの防風効果、サスセッティングの変更も大きく、120km/h以下のクルージングでの快適性はオフ車とは思えないほど高い。

Lに比べ車重も12kg重いのでオフロードでの運動性こそLにかなわないが、それでもツーリング中に遭遇するダートを走るには充分過ぎる走破性だ。
ちなみに、Lとラリーそれぞれにスタンダードと脚長仕様の〈s〉があり、合計4タイプから選べる国は日本だけ。それだけに車種選択は悩ましいが、オフロードを最優先するならLの〈s〉、ツーリングならラリー、は基本だが、荷物満載のキャンプツーリングなら、サスペンションの沈み込みを見越して、ラリーの〈s〉という選択もアリ。
ただ、僕のように、街乗りと高速道路通勤がメインで、ときどき林道トレッキング、という使い方なら、〈s〉よりもシートが低くて乗り降りしやすく、ダートでベタベタ足を着けるスタンダードの方に魅力を感じる。日帰りツーリングなら無給油で済む上、気軽に林道トレッキングも楽しめるのは大きな武器だと言えよう。