ベア650が誕生したストーリーはとても素敵で、歴史を大切にするロイヤルエンフィールドのバイク作りにはいつも感心させられる。650シリーズに新たに加わったのはシリーズ初のスクランブラー。このスタイル、街でも峠でもとても良く映える!
文:小川 勤/写真:南 孝幸
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ロイヤルエンフィールド「ベア650」インプレ(小川 勤)

画像: Royal Enfield Bear 650 総排気量:648cc エンジン形式:空冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 シート高:830mm 車両重量:214kg 発売日:2025年4月17日(木) 税込価格:99万円~101万5300円

Royal Enfield
Bear 650

総排気量:648cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒
シート高:830mm
車両重量:214kg

発売日:2025年4月17日(木)
税込価格:99万円~101万5300円

懐かしいのに新しいモダンスクランブラー

「ベア=熊」。可愛らしいけれど不思議な車名には明確な意味がある。アメリカのカリフォルニアにはベア湖があり、その周辺で1960年に「ビッグ・ベア・ラン」という砂漠レースが開催された。765台中、197台しか完走できなかった過酷なレースで、そこで優勝したのがロイヤルエンフィールドだったのだ。

同時期にインターセプター(アメリカと日本では商標上INT)という車名のバイクが生まれ「ビッグ・ベア・ラン」の優勝をきっかけにロイヤルエンフィールドはアメリカで成功を収めていったのである。

ロイヤルエンフィールドはこうした歴史やINTという名前を大切にしている。ベア650は昨年までラインナップにあったINT650がベース。ベースといいつつ70%以上のパーツを変更し、ストリートスクランブラーを生み出した。

前後サスペンションは伸ばされ、ホイールは前19、後17インチに。エンジンはECUやマフラーを変更することでトルクを8%向上させた。カラーバリエーションも豊富で、ポップなものからシックなものまでを用意。これなら様々なライフスタイルを投影できそうだ。

シート高は830mm。身長165cmの僕にとって足つきが良いとは言えないが、648ccのバイクとは思えない迫力の車格は魅力的。ハンドルは思いのほか低く、ポジションはスクランブラーというよりはネイキッドっぽい雰囲気と言っていいだろう。

画像: ロイヤルエンフィールド「ベア650」インプレ(小川 勤)

スタイリングの大きなポイントになっている並列2気筒エンジンは今時珍しい空冷で、深いフィンと巨大なクランクケースカバーが良い雰囲気を醸す。スロットルを開けると低中速域では不等間隔爆発特有の鼓動感が身体に響き、回転を上げると気持ちの良いビート感を味わうことが可能。見た目はクラシカルだが十分な速さと力強さがあり、味わいの空冷だけではないことがすぐにわかるはずだ。

特に高速道路でスピードに乗った時の巡航性能は648ccとは思えないほど高く、適度な重さを持つクランクとフライホイールが理想的な安定性を披露。これがライダーをどこまでも走りたくなる気持ちにさせる。

ハンドリングは大らかだが素直で、ブロックタイヤであることを忘れさせてくれる安心のグリップを約束。前後サスペンションはコシのあるフィーリングで、特にリアは硬め。スクランブラースタイルだが、その味付けはかなりロード寄りだ。

アメリカで行われた試乗会ではダートも試走したが、日本でもちょっとした林道散策を楽しませてくれると期待感は高い。そんな時はリアのABSをカットするのがおすすめだ。

感心するのは足つき以外に難しさがないこと。スロットルを開ければ気持ちよさと速さが手に入り、おおらかなハンドリングに身を預ければ、思い描いたラインをトレースできる。

さらに古き良き時代の砂漠レースを思い描きながら楽しむと、ベア650がより愛おしい存在として映るはずだ。

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