MTシリーズの中核を担うモデル「MT-07」が大きく進化した。電子制御スロットル・YCC-Tを搭載しシャシーも一新、加えてY-AMT搭載モデルもラインアップするなど、充実した内容となっている。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
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ヤマハ「MT-07 Y-AMT」インプレ(太田安治)

画像: YAMAHA MT-07 Y-AMT ABS 総排気量:688cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:805mm 車両重量:187kg 発売日:2025年2月26日 税込価格:105万6000円

YAMAHA
MT-07 Y-AMT ABS 

総排気量:688cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:805mm
車両重量:187kg

発売日:2025年2月26日
税込価格:105万6000円

スポーツ志向が高まって鋭敏な走りも可能に!

2014年に登場した初代MT-07に初試乗したとき、ミドルクラススポーツの模範となるオートバイだと感じた。軽量コンパクトな車体で取り回しやすく、ハンドリングは素直で軽快。エンジンパワーは必要充分で、どの回転域でも扱いやすい特性。まさにエントリーユーザーが安心して乗れて、それでいてベテランも退屈させないという優等生だが、2025年モデルでは大きな変更が加えられた。

フレームは大幅にリファインされ、倒立フォークを採用。エンジンは電子制御スロットルを採用して出力特性がチョイスできるようになり、クラッチはアシスト&スリッパータイプに変更。メーターはスマートフォンとの連携でナビゲーション表示も可能になった。

そして最大の注目ポイントは、2024年9月に発売されたMT-09に続き、マニュアルミッションのクラッチ操作、シフト操作をライダーの手足ではなく、電気的に作動するアクチュエーターが行う「Y-AMT」を装備した仕様が加わったことだ。

Y-AMT仕様はクラッチレバーもシフトペダルもないから、発進時は左側スイッチ部にあるシーソー式のレバーで1速に入れ、スロットルを開くだけ。半クラッチ時間が短いうえに1速ギアでの発進なので、スクーターのように無節操に開けると強烈にダッシュするが、トラクションコントロールが上手に介入するのでホイールスピンを起こして慌てることはない。

ATモードではスロットル開度と加速度を検出してシフトタイミングを変えていて、加速もエンジンブレーキの効きも通常のマニュアルミッション車と変わらない。加減速での変速タイミングに慣れれば市街地から高速道路までイージーかつ快適に走れる。坂道やコーナリング中の変速を嫌うならマニュアル操作に切り替え、ギア位置を自分で選ぶことでスポーティに走れる。

気になったのは変速時のショックとアクチュエーターの作動音。市街地では0~60km/hで加減速する頻度が高く、ATだと頻繁に1~4速間で自動変速する。このときの変速ショックが思いのほか大きく「ガショッ」という作動音も耳障り。より洗練されたクラッチ制御、作動音の低減を計って欲しい。

画像: ヤマハ「MT-07 Y-AMT」インプレ(太田安治)

意外だったのはハンドリングがスポーツ志向になったこと。前後サスペンションの締まったセッティングに加え、新型フレームと倒立フォーク採用で車体剛性全体が上がっているためか、ステアリング操作に対する反応が敏感になった。

スポーツライディング製の向上、加減速時のピッチングモーション抑制という点では納得できるが、このオートバイを選ぶ人の乗り方を想像すると、しなやかなサス設定のほうが喜ばれそうな気もする。

ベテランの多くはスポーツモデルにATという組み合わせに否定的だが、四輪の世界と同じように、スポーツATの比率は高まっていくだろう。3日間試乗したが、明らかに疲れなかったのは事実だからだ。

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