今のうちにしたい消耗品交換と再構築も行う

’70年代末に登場し、’80年代序盤までのホンダの旗艦となったホンダCB-Fシリーズ。既に登場から40年以上が経つが、この車両にはそんなCB-Fに今乗るためのヒントが多く込められている。

「オーナーさんが自ら作ってきた車両だったんです。エンジンオーバーホールも、レストアもして長く乗ってらしたんですけど、オイルポンプのギヤを割ってしまってエンジンブロー。本人さんも“次に大きな作業が出たときはプロショップに出そう”と考えておられたこともあって、入庫されたんです。

エンジンはクランクケースとミッションは使えたのでそれを使い、消耗品は交換した上で、ほかは当店で使うつもりでストックしていたものを中心に使って組み直しました。全バラしたついでにケースとシリンダーはボーリングして、750から890cc仕様になってます」

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寄せ集め仕様ですけど、と安田さんは言うが、ストックパーツは状態も把握していていずれ使う予定も考えていたものだから、そこはまったく問題なく、むしろありがたい。消耗品についてはピストンやミッションベアリング、プライマリーダンパーにカムチェーンテンショナー、ステムシールにクランクメタルといったパートが挙げられた。この組み直し作業は、まさに今のCB-Fのエンジンに効いてくるものだ。

「結構細かいところまで換えていますけど、交換可能なものは今換えた方がいい。今のうちにです。まだ今は社外品も含めて何とかなりますけど、この先はどうなるか分かりません。エンジンを開ける機会があるのなら、中途半端に交換しておくよりも全部交換してすっきりしておきたいという感じですね。

CB-F自体、今までオーバーホールなしでも問題なしだった車両も多かったんでしょうけど、もう40年経ちますから経年劣化は避けられないと思います。オイル交換を定期的にやってきたという個体でも、オイル漏れがなくてもオイル食い(消費量が多い)や、オイル上がり、下がりで白煙が出ているようなら、ちゃんと開けて仕立て直したいです。

加えて、電気系を新品にしてやる。カスタムブームの頃ならスープアップメニュー優先でしたけど、今やるのはこっち(保たせるメニュー)かな。750Fでキャブレター変更を考えているのなら、パワーを生かすためにも、一緒にエンジンのボアを上げていい。この車両でもでしたけど。もちろんキャブレターは新品で」

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エンジンだけでなく、車体側にも同様の配慮がされている。

「入庫の機会ができてエンジンも下りたので、フレームからきちんと作りたいとなりました。補強や足まわり変更なども元々オーナーさんがやられてて、自身の好きな形にできていました。ですからフレームはレイダウンと、ワイドリヤホイールに合わせた位置にきちんとショックが来るように(ショックが後ろから見てハの字にならず、まっすぐに動く)するなどバランスが悪かったところを加工して、ネジ穴のだめそうなものを再タップしたりして、パウダーコート仕上げ。ステムも圧入などをちゃんとやり直ししています。ボルトなども再めっきし、全体の仕上げで外装も塗り直しました。

組み立て不良があったようなところをひとつひとつ見直していって、結果的に全面的に作り直しにはなっていますけど、オーナーさん自身が作った=望む形も維持したまま、安全に乗れるようになっている。つまり、長くも乗れます」

動くべきところが正しく動き、固定される部分は正しく止まる。その上で仕上がりも。プロの見直しを受けて分からないところを直すのは、まさに有効。ボルトも、それを受ける側までも細かく見直されたこのCB-F、ここからの走行距離も車歴もしっかり伸びそうだ。

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赤のボディカラーに合うようにと揃えたゴールドの各部パーツほか、主なパーツはオーナーのセレクト。左右マスターシリンダーはNISSINラジアルポンプで、ミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラー・タイプ2ヘッドだ。

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外装はCB750F純正をそのまま使うが、燃料タンクほか各部の劣化を確認した上でCB750FBカラーを再塗装した。これも今後への劣化対策になる。

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メーターカバーをカーボンに換え、メーターパネルもホワイトに変更してエンジン回転計はSTACK ST200を使う。またヨシムラ・プログレスメーターも追加した。ハンドルバーはPMCジンガーのスタイリッシュカーボン(6061-T6アルミ材にカーボンを巻いた仕様)で、ステアリングステムはホンダ純正流用で17インチ化に対応しつつ、安田商会でステムシャフトの打ち替え等をきっちりやり直している。

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エンジンはCB750Fベースで、ピストン(ワイセコ鍛造φ67.5mm)やミッションベアリング、プライマリーダンパーにカムチェーンテンショナー、ステムシールにクランクメタルなどの消耗品をすべて交換し、シリンダー/クランクケースもボーリングし890cc化&リフレッシュしている。電装系も一新され、新品的なリスタートができた。

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キャブレターはオーナー持ち込みのブラックボディFCRを使う。キャブレターも装着から経年したものは新品に換えるのがいいと安田さんは提唱している。なお、排気系にはストライカー・チタンを組み合わせる。

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φ41mmフロントフォークはホンダの純正流用品で、スクーデリアオクムラによるMEチューニングを施している。フロントブレーキまわりはブレンボ・アキシャル4ピストンキャリパー+Arashiペータルディスクをチョイス。

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リヤブレーキはNISSIN 2ピストンキャリパーにArashiディスク。3.50-17/5.00-17サイズのホイールやアルミ角型のスイングアームはホンダ純正流用品を使って組み上げた。

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リヤショックはナイトロン・ステルスをベースにゴールドパーツを組み合わせ、スプリングもオレンジカラーにしている。今回の入庫でフレームには的確なショック作動を狙ってレイダウン加工とワイドホイール対応加工を加えた。ステップはOVERだ。

取材協力:安田商会

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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