エンジンは同時発表されたGSX-8Sと共通の776cc水冷DOHC4バルブ並列2気筒エンジンを搭載。ロードスポーツ性能重視タイプだったVストロームシリーズだが、フロントタイヤのホイールサイズは21インチが採用され、オフロード性能を重視していることがわかる。様々な走行シーンに対応する電子制御システム S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)を採用し、トラクションコントロールシステムにはグラベルを走る際に点火時期を遅らせることで駆動力を抑制し走行を補助してくれるGモードを設定。デュアル・エクスプローラーの略であるDEを冠しているだけに、これまでのオンロード性能に加え、ダートでも高い走破性を備えたモデルである。
文:濱矢文夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行

スズキ「Vストローム800DE」インプレ(濱矢文夫)

画像1: SUZUKI V-STROM800DE 総排気量:775cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:855mm 車両重量:230kg 発売日:2023年3月24日 税込価格:132万円

SUZUKI V-STROM800DE

総排気量:775cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:855mm
車両重量:230kg

発売日:2023年3月24日
税込価格:132万円

万能さを追求した答えがVストローム800だ!

なんてよくばりなんだろう――。スズキVストローム800DEにひととおり乗ったあとに出てきた感想だ。現在スズキのVストロームシリーズには〝DE〟が2機種ある。1050とこの800で、共通しているのは、フロント21インチ、リア17インチ外径のワイヤースポークホイールを装着していること。

アドベンチャーモデルのホイールサイズには3つの流れがあって、いちばん多いのが19/17インチ。オンロードとオフロードで走りのバランスをとった中庸型。その中でもキャストホイールとワイヤースポークホイールとにわかれる。次が前後17インチで舗装路での走りを重視したタイプ。どこでも走れることがカテゴリーの命題であるオフロード走行も大切だがバイクとして最も多く走るシチュエーションはアスファルト上だからという考え。それでサスペンションの動かし方を工夫してオフロードもそこそこにイケるようにする。

画像1: スズキ「Vストローム800DE」インプレ(濱矢文夫)

3つめが、このVストローム800DEが属するフロント21インチホイールを選んだものたち。大径を選んだことで悪路走破性を上げることが目的。前出の2サイズよりオフロードに特化した機種が選択する。オフロードバイクの定番は21/18インチの組み合わせで、アドベンチャーでもそれが多い。その中でこれはリアに17インチを選んだところがおもしろい。

タイヤは150の太さで扁平率は70。ここまではフロント21インチのライバルと一緒。しかしながら18ではなく17インチだから単純にリアタイヤの直径が小さい。ここにVストローム800DEの狙いが出ている、と言えば言い過ぎかもしれないが、性格をあらわす要素のひとつだ。

前置きが長くなってしまったからズバッと直球勝負でいこう。オンロードより、ダート走行に専門化した走りだと思いながら走り込んでみたらオンロードもかなりやれるのである。これが冒頭で"よくばり"と表現した理由だ。オフロード走行性能も手にしつつ、オンロード舗装路でも気持ちよく走らせることをあきらめていない。どちらに比重を大きくするかと悩むくらいなら、どっちも増量してしまえって感じ。

画像2: スズキ「Vストローム800DE」インプレ(濱矢文夫)

またがってみるとシートはそんなに高くない。スペックではシート高855mmと、21インチのライバルより低め。Vストローム1050DEから乗り換えるとひとまわりコンパクトに感じられて、170cmと身長がそれほど高くない身には安心感が高まる。凸凹路面走行で重要となるホイールトラベルはフロントフォークで220mm、リアホイールの動く量で212mm。この数値は本気度がわかるもの。アドベンチャーとしては、たっぷりストロークがあってもシートは低め。リアタイヤの直径を小さくしたことだけがすべてではないが、それも合わせて全体を低くしている印象。

画像1: スズキ「Vストローム800DE」レビュー|悪路を物怖じせず突き進むパッケージ! 独自のホイールサイズチョイスで見える個性とは
画像2: スズキ「Vストローム800DE」レビュー|悪路を物怖じせず突き進むパッケージ! 独自のホイールサイズチョイスで見える個性とは

重心が高すぎないからワインディングでの応答性がいい。ライダーの入力に対して動き出すまでの間が小さい。コーナーの入口で素早くリーンして向きが変わる。21インチとは思えない軽快な動作で旋回する。ハンドルバーは前後オフセットの少ないオフロードタイプではなく、手前に絞った形状で、よりヒジが外に開かずワキが絞れるから、舗装路での腕ポジションが楽なだけでなく、ロードスポーツから乗り換えても違和感がない。

堪能しながらペースを上げていくとサスペンションは深く入り込むが、そこでの落ち着きがあり安心してコントロールできた。一部の21インチモデルのように身体の外を回るようなイメージで大きく回っていくみたいなところがなく、ライダーと一体化したダイレクトな感覚。もっと小径のホイールを履いているようだ。

画像3: スズキ「Vストローム800DE」インプレ(濱矢文夫)

GSX-8Sと基本が同じ新開発された水冷DOHC4バルブ並列2気筒エンジンはスムーズ。スポーティーで、コンピューターの助けが入る電子制御スロットルのおかげもありイージーに使える特性。低回転域でゆっくり走るのもいいし、積極的にアクセルをひねり高回転まで回して加速するのも痛快。発生する振動を2軸バランサーでおさえるのは270度クランク並列2気筒のトレンドで、アクセル操作に対し余分な動きをみせずライダーの意志に忠実。ライディングモードを最もレスポンシブルなAモードにしても扱いやすさは揺らがない。

当然、オフロードも楽しい。滑りやすい路面であってもフロントタイヤに荷重をかけやすく横に逃げにくい。サスペンションだけでなくエンジンの特性も総合した結果であるトラクション性の良さも頼もしい。トラクションコントロールやABSといったダート初心者が困らないエイドがあるし、もっとやれる人なら適度に後輪を滑らしてくれるグラベルモードにして、ABSをオフにすれば顔がにやけることを請け負う。

スズキ「Vストローム800DE」カラーバリエーション

チャンピオンイエローNo.2(YU1)

画像1: スズキ「Vストローム800DE」カラーバリエーション

グラスマットメカニカルグレー(QT7)

画像2: スズキ「Vストローム800DE」カラーバリエーション

グラススパークルブラック(YVB)

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    チャンピオンイエローNo.2
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    グラスマットメカニカルグレー
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    グラススパークルブラック
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    チャンピオンイエローNo.2
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    グラスマットメカニカルグレー
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    グラススパークルブラック
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