必要条件をクリアしさらにバランスを高め選択肢を拡大

GSX1100Sカタナというモデルの価値を理解し、今ストリートで楽しむ。そのために不可欠な部分にアップデートを施す。これはカスタムでの話ではなく、ノーマルスペックの車両であってもだ。前後18インチ化したコンプリートカスタムの“フルメタル・ハガネ”はじめ多くのカタナを手がけてきたテクニカルガレージRUNでは、その経験から、そうした提案をしてくれる。具体的にはフロントブレーキ(マスター/キャリパー/パッド/ディスク)、前後サスペンション(フロントフォークについてはスプリングや油面でも対応可)、そしてタイヤが、その不可欠な部分に当たる。

「重要保安部品は新しい世代で信頼できるものにするということなんです」。テクニカルガレージRUNの杉本さんは言う。カタナのオリジナルデザインやフィーリングを維持しながら、普通に走れるように。換装パート以外にも今、各部リフレッシュと組み直しも勧める。既に20〜40年が経った車両だからこそ、その経年分をリセットしておくべきだという理由からだ。メーカーの作る車両の完成度の高さを知っているから。先ほどのアップグレードに関しても、きちんとした状態の車両で施してこそより効果が高まる。それには、もうひとつの理由も関わってくる。

「カタナに手を入れるのは、手法としては出来上がっていますし、むしろ社外パーツに関しての心配は現状ではあまりないんです。でも、純正パーツの環境が難しくなってしまった。廃番品の増加、残ったものの価格高騰。純正のピストンが今や(2023年前半)1個10万8000円します。かつては100万円の予算で車両を買って、それに同じくらいの予算で手を入れるという感じだったものが、中古車市場の高騰含め、買うのもパーツも倍ではきかないほど。大変ですけど、スズキも今までよく作っていてくれたという気持ちの方が大きい。それでも今後、純正パーツの廃番はもっと進むでしょうし、ないと作れない。本当に待ったなしになりました」

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同店に訪れるカタナオーナーも、費用の心配はまずないという人たちが、ノーマルを大事にする。その時、必要なことも選んでいる。もう一度言うが、フルリニューアルにブレーキ、サス、タイヤ。しっかりした価値観をもって、必要なコストをかけている。これは参考にしていいだろう。車両は19/17インチのノーマルでもきちんと作ってあれば、あとでどこかを換える場合にも無理なく行ける発展性が得られる。「もしフロント19インチのまま軽いホイールを履きたければ、19インチのマグタンもあります」とも杉本さん。

「そうした考えを反映しつつ、もっとバランス良く乗りたい、タイヤを選んでいきたいなら、この車両のようにステムも換えた上で前後18インチにするのもお勧めです。サーキットを攻めるのでない限りは十分に足りますし、今後長く楽しめる仕様にもなります」(同)

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この車両はその好例だ。前後18インチ化でタイヤ選択肢を増やすとともに、ホイールをアルミ鍛造品とすることで軽量化もでき、回転精度も高められる。ステム変更はフォークオフセット変更と連動してフロント小径化に合わせた最適トレール量が得られるから、ハンドリングもよりナチュラルになる。ここではフロントフォークの大径化も行われ、冒頭のように変更されるブレーキ/サス/タイヤのパフォーマンスをより引き出すことができる。

どんな手を入れると楽しく思えるのか。生産当時からの時間経過に対する手も抜かりなく入れ、カタナという車両、パーツ事情を見てきたからこそ提案できる理想型。この車両はその好例なのだ。

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メーターや外装類はGSX1100S純正で、フロントマスターはブレンボ レーシングラジアルCNCに変更し必要なコントロール性を確保。クラッチホルダーもゲイルスピードに変更して負担を軽減している。

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ステムは「TG-RUN43φフォーク用ステアリングステムKIT」に変更して前後18インチ化に対応する。セパレートハンドルもφ43mmフロントフォーク用をマウント。メーターはGSX1100Sノーマルで、ヨシムラ・デジタルマルチメーターを追加した。

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シートは「TG-RUNスポーツ&コンフォートシート GSX-1100Sカタナ」のディンプルレザーブラック/シルバー仕様。TG-RUNへノーマルシート持ち込みで施工してくれる(4万4000円)。

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ステップは「TG-RUNオリジナルステップキット GSX1100Sカタナ用」。大型ヒールガードでフレームへの傷付きも防いでくれる。スイングアームピボットシャフトはクロモリ製に換えている。

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エンジンは状態が良く距離も少なかったため1074ccのノーマル状態で使っている。フロントスプロケット部にオイルキャッチタンクも加わる。エンジンハンガーはTG-RUNのアルミビレットで搭載位置を正確化し車体剛性も上げる。フレームは各部チェックし再塗装を施すが、これもこれから長く乗るための手法だ。

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吸排気はFCRφ37mmキャブレター+ケイファクトリー・4-2-1チタンエキゾーストの組み合わせ。インシュレータなどの劣化にも気を遣う。

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フロントフォークはオーリンズRWUで純正φ37mmからφ43mmに大径化し、フロントの安心感を高める。フロントブレーキはブレンボAxial CNCキャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクで、こうしたアップグレードはノーマルでも必要な項目という。

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スイングアームは純正角型アルミをブラック仕上げし、オーリンズ・レジェンドツインショック(SU131)と組み合わせる。リヤブレーキはブレンボP2 32キャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクの組み合わせ。

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ホイールはアルミ鍛造のラヴォランテ・レジェンダで2.75-18/4.50-18サイズを履く。タイヤはブリヂストンBT-016でサイズは110/80ZR18・150/70ZR18。このあたりのチョイスが出来るのも18インチ仕様の利点だ。ドライブチェーンは純正630サイズから530サイズ(RK 530XXWチェーンを使用)にコンバートし、ロスを減らしつつ現代的に強化してある。

取材協力:テクニカルガレージRUN

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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