文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
スズキ「Vストローム800DE」インプレ(宮崎敬一郎)
快適な走りと万能性はミドルクラスでピカイチ
Vストローム800DEはエンジンからシャシーまで新作されたアドベンチャー。エンジンとメインフレームをGSX-8Sと共有するが、これまでのVストロームとは違い、高いオフロード適応力を狙っている。
車体構成、全体ディメンションは他のVストロームとは全くの別物。スタイリングはもちろん、フロント21インチ化や吟味しつくされた長いサストラベルなど、この800DEは今までのVストロームとはちょっと違う。
前後のサスは非常に動きが上質で、ソフトでしなやか。スズキの本気度がわかるのは特にリアで、アドベンチャーでありながら、バネと減衰の初期設定がタンデム走行や重積載を意識した強めのものではなく、オフ車そのもののフワッとした動きをする。もし強い反力が必要な場合は自分でプリロードを掛けてくれ、と言わんばかりに、別体式のプリロード調整ノブが車体右横に付けてある。
この足まわりがいい仕事をする。大きなゴロ石が転がっている林道をゆっくり走ってもハンドルが取られにくく、まるで軽いトレール車のようにしっかり乗り越える。リアも突き上げられない。前後バランスがスゴくいい上に、ボディパネルの形状もよく、スタンディングで車体をホールドしやすい。トラクションコントロールの「G」モードはちょっとアグレッシブに林道を走るときに重宝する。意のままにリアを流したりできるが、流れ過ぎないところが絶妙。標準装着タイヤなら、トラコンをオフにするより絶対走りやすい。
さらにこの足まわり、奥でしっかりと踏ん張るから、ワインディングでのスポーティな走りにもかなり耐える。丁寧に操作する必要はあるが、細いフロントタイヤをいたわれば、そこそこのペースで走れる。
新開発のパラツインエンジンも低中域からよく粘るトルクがある。高回転ではコシのあるパワーで強力になるが、基本的には急激なトルク変動なく回るタイプで扱いやすい。最もパワフルなパワーモードの「A」でも、林道から街中まで苦もなく使える。
乗り心地はミドルアドベンチャーの中でも群を抜く快適さ。色々な道に対する適応力の高さ、特にオフロード走行での優秀さは、アドベンチャーというより大型オフローダー。動力性能と積載能力などのゆとりでは兄貴分の1050には適わないが、取り回しを含んだ万能性、走破性能でも優秀なバイク。走っていて愉しい。
スズキ「Vストローム800DE」カラーバリエーション
グラススパークルブラック
グラスマットメカニカルグレー
チャンピオンイエローNo.2
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