バーハンドルで普段乗りもサーキットも楽しめる内容
「バイクは基本的には大量生産の工業製品。市販状態では、大多数の人が無理なく乗れる、そして最大限にコストを抑えた中で作られた安全な乗り物です。それをユーザーが望む形に変身させます」
テクニカルガレージRUNの代表・杉本さんがいう“望む形”とは、以前にも何度か紹介してきた“TG-RUNバージョンアップ・コンプリート”のことだ。同社で吟味したパーツを使いつつ、市販状態のバイクから最高の性能を引き出す。最高の性能とは、動力性能だけでなく安全と快適さも最高レベルにするというもので、見ているだけ、持っているだけで嬉しくなるもの、ということまでを指している。
このHayabusaもバージョンアップ・コンプリートとして仕立てられた1台。主用途は街乗りやツーリング。さらにサーキット用にGSX-R1000Rも所有するオーナーが、Hayabusaでもサーキットを走りたいという狙いで、バーハンドルを前提にしてオーダーしたものだ。全体のシルエットには手をつけず、サスペンションとホイール、マフラー交換というのが主な内容となっている。
カラーリングもスズキの純正カラーオーダーによるもので、オーリンズ・フロントフォークとマルケジーニ・ホイールでさらにゴールドのアクセントを加えている。
各パーツは装着されるのみでなく、オーナーの技量や使い方によって細かいセッティングが施される。前後サスはその筆頭とも言え、落ち着いた上質な作動の上に、車両そのものを軽く感じさせるようなセットアップが施される。
これは特にHayabusaでは有効だ。具体的に言えば「軽く沈んで、ゆっくり戻る」がレスポンスよく繰り返されるイメージ。スッと軽く沈むけれど、パンとハネ返らない。安心で、疲れないようになっている。
ブレーキについても同様で、ブレンボマスター/キャリパーにサンスターディスクを組み合わせる。この換装によって効きが高まるのは当然として、フィーリング、コントロール性が大幅に高まる。
フロントブレーキならレバーを1mm引くとキャリパーがその1mm分だけディスクローターを締め、同時に1mmのコントロール分だけフロントフォークが沈み、1mm分だけ減速される……という感じをイメージするといいだろう。ハードブレーキング、少し減速する、フロントの高さを少しだけ下げるといった使い分けが可能で、このサスペンションとブレーキのフィーリングの快感は、多くの街乗りライダーが体感すれば魅入られると言っていいほどだ。
バーハンドルでリラックス気味に作られたポジションは、Hayabusaの持つ安定性重視の特性をキープしながら、必要なバンク角に至るスピードは速く、車体を起こすアクションにも素早くレスポンスするようにされ、Hayabusaを軽く扱わせてくれる。
軽量化とコントロール性強化で快適性と安全性を引き出す。同じようなパーツを使って同じように作ることもできるが、その際にはオーダー者たるオーナー自身が目的と使い方を正しくTG-RUNに伝えたい。そうすることで、自身の使い方にきっちり合ったセットアップをともなって車両が完成する。
もちろんスキルアップや使い方の変化(これも伝えればいいことだ)によるセットアップ変更で、長い楽しみを提供することにもなる。そこまで含めてのパッケージとなるバージョンアップコンプリート。時に扱いにくく感じることもあるHayabusaの高出力をきちんとコントロールしたいなら注目必至という1台なのだ。
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Detailed Description 詳細説明
テクニカルガレージRUNとオーヴァーレーシング共同開発のバーハンドルトップブリッジにアクティブのアルミ製ハンドルバーをセットする。
ブレンボの新型ビレット・ラジアルポンプマスターシリンダーで細かいコントロールも可能に。レバー脱落防止加工等もしっかり行われる。
車両全体のカラーはスズキのカラーオーダープランによるブリリアントホワイト×キャンディダーリングレッド。これにカーボントリムスクリーン/レーサーレプリカミラー(タイプ2ヘッド)/カウルインナーパネルなどのマジカルレーシング製カーボンパーツを組み合わせてある。
ステップは4ポジションでコントロール性とホールド性に優れるTG-RUN×OVERライディングステップキット。フレーム冷却用ダクトも備えるフレームガード、タンクサイドカバー、リアフェンダー(ノーマルスイングアーム用)はいずれもマジカルレーシング製カーボン品だ。
低反発ウレタンフォームを採用したTG-RUNスポーツ&コンフォートシートはライダーが最適な着座位置に座れる形状とし、足つき性もアップさせる。安心感を高めるとともに、車両のコントロール性も高める。このようなシートレザーのカラーオーダーも可能。
フロントフォークはオーリンズで純正に準じた倒立タイプ。フロントブレーキはブレンボ・モノブロックCNCレーシングキャリパー+TG-RUN&サンスター・ワークスエキスパンドディスクで、ディスクボルトはベータチタニウム製。フロントフェンダーはマジカルレーシング製カーボンを使う。
リヤブレーキはブレンボGP2-SS CNC 2PキャリパーをTG-RUN×OVERサポートで下側マウントとしてサンスター・ワークスエキスパンドディスクを組み合わせる。マフラーはここではTG-RUN×OVER TTフォーミュラーRS チタンフルエキゾーストを装着し、サーキット走行に合わせている。
リヤショックはオーリンズTTX GP。ホイールはマルケジーニ製マグネシウム合金鍛造のM7R Genesiでノーマルに同じ3.50-17/6.00-17サイズ。スイングアームとリンクは純正でRKのH.C.S.プレミアムスプロケット02PSと同520XXWチェーンで530から520サイズにコンバートした。
TG-RUN×OVERビレットフェンダーレスキットでテール部もすっきり。本体をアルミ削り出しの複数プレートで製作、取り付けには配線加工の必要がなく純正ウインカーやナンバー灯がそのまま使える。Hayabusaを知るRUNのノウハウと、OVERの高い製作技術の融合と言える。