2009年の8耐優勝車をストリートスタイルにレプリカ
GSX-Rシリーズのカスタムでまず頭に浮かぶ油冷世代。今や旧車の域に入っているから、まず新車並みにリフレッシュした上で手を加えるという手法が増えた。でもそれは水冷のGSX-R1000シリーズでも同様に適用できることだ。この車両はGSX-R1000、K9だから2009年型。この年に鈴鹿8耐4度目の優勝を果たした、ヨシムラの#12車(酒井大作/徳留和樹/青木宣篤)をモチーフとして手を入れたものだ。
エンジンはフルに手が入り、車体側も同様にパーツ変更や組み上げのためにすみずみにまで手が入る。右側が赤色、左側が緑色とされて識別・視認性を高めるスイングアームスタンドフックやマフラーステー、アルミタンクほか各部パーツもモチーフ車にほぼそのままだ。
ただ、ここで見落としていけないのは、そんな極限的なモチーフへの寄せ方同様に、ベース車にも経年を補う手が入れられていることだ。GSX-R1000のようにシリーズが現役モデルでもラインナップされているとなかなか気が付かないが、K9でも既に(2022年時点で)13年が経過している。何度かの車検を受けたという状態のはずだから、消耗品や定期交換推奨部品は折を見て換えておきたい。
この車両では前後のオーリンズサスやステアリングダンパー、ブレンボキャリパー/マスターシリンダーにもその考えを適用してそれぞれオーバーホールし再組み付け、分解時にベアリングやラバー類は新品にして必要な各部に給脂も行って、ベースそのものの状態も良化させている。さらにサーキット主体からストリート主体へステージが変わったことも受けて、電装も見直されている。
そもそもはレースのためにではなく、一般ライダーがレースのようにライディングに集中できるような操りやすさをと作られた結果、レースでも活躍したGSX-Rシリーズ。
ブライトロジック・竹中さんは油冷初代からもう35年以上ずっと、そんなGSX-Rと付き合ってきた。全日本で、8耐で、AMAスーパーバイクで。しかも、ヨシムラというトップチームのメカニックとして最前線で。そこで培ってきた、しっかりと動く、ライダーが集中して操作できるような環境を作るためのノウハウ。手法やパーツが洗練されれば、それも取り込んでいく。
そうした竹中さん流のバックグラウンドがあって、作られた車両が間違いなくきちんと走るから、その上にまとったレプリカというスタイルがさらに輝きを放てるということになる。
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Detailed Description 詳細説明
フロント&ロアカウルはクレバーウルフ製'09〜'16 GSX-R1000ストリートフルカウルで、PIAAヘッドライトはその同梱品。エアダクト内にLEDウインカーを置く。ミラーはマジカルレーシング・レーサーレプリカミラー・タイプ2ヘッドを純正位置でなくカウルステー部からマウントし、ルックスを整えるとともにカウルへの負担を減らすなどしている。元のマウント部にはカーボンプレートを装着している。
メーターはGSX-R1000純正でフロントマスターはブレンボ・ラジアル、クラッチレバーはZETA。ステム下のステアリングダンパーはオーリンズに換装する。
耐久レースタイプのフューエルキャップを備えるアルミ燃料タンクはヨシムラ製耐久タイプ。YFデザインでフルレプリカペイントされる。
シートカウルもクレバーウルフ製'09〜'16 GSX-R1000 耐久シートカウル。ナンバーホルダーはブライトロジック・カーボンでウインカー等はここに備える。
エンジンは早い時点でフルチューン的な内容が施され、左右(カウルからの露出部)にはブライトロジック製カーボンエンジンカバーを追加した。
今回の入庫でダイノジェット製クイックシフターを追加。フレームもエンジンが降りた際にリフレッシュされた。ステップはヨシムラだ。
最初の段階でオーリンズ・倒立に換装されたフロントフォークは、今回オーバーホール作業を受けている。フロントブレーキはブレンボCNC P4 30/34キャリパー(フォーク同様にマスターシリンダーとともにオーバーホール)+ブレンボ・レーシングディスクの組み合わせ。
リヤブレーキはブレンボCNC P2 34キャリパーをブライトロジック・キャリパーサポートでマウント。フルチタンの左右出し排気系はヨシムラだ。
スイングアームはGSX-R1000K9純正でリヤショックはオーリンズッTXを今回オーバーホールしている。3.50-17/6.00-17サイズのホイールはマルケジーニ・アルミ鍛造のM10R。タイヤはブリヂストン RS11でサイズはフロントが120/70ZR17、リヤが190/55ZR17となっている。