'86年ヨシムラ8耐レーサー仕様をRKで現代的に作る

スズキのGSX-Rシリーズはレーサーレプリカモデルと言うよりは、自らがベースとしてレースを走ってきた“そのもの”という印象がある。GSX-R750登場年度となった’85年の全日本選手権TTF-1クラスではチャンピオン(ヨシムラ/辻本 聡)を獲得。同じレギュレーション下での同年の鈴鹿8耐ではヨシムラが3位(ケビン・シュワンツ/グレーム・クロスビー)と6位(辻本 聡/喜多祥助)を獲得。海外に目を向ければル・マン24時間耐久レースで1-2フィニッシュ。

速く走るためのベースがすでに市販車の状態で作り込まれ、そこにヨシムラやフランスのSERT(スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム)を筆頭としたコンストラクターが数々の工夫を盛り込み、車両が進化する。そうして出来上がり、かつ速く強かったという背景が、GSX-Rシリーズをより魅力的にしているのだろう。

R750登場2年目の’86年には、全日本TTF-1連覇(辻本)。その年の8耐も辻本とシュワンツがコンビを組んで3位を獲得した。その時のヨシムラ#12車をモチーフに、ブライトロジックが新たに仕立てたのがこの車両だ。ベースとしたのも同じ’86年型かと思いきや、’89年型。しかも限定車RKだ。

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「以前にも同じ’86年の#12レプリカを作りましたけど、今回もその路線です。フレームは黒仕上げにして耐候性も持たせました。オイルクーラーは純正廃番だから近しい感じの新品を探して使っています。オイルラインバンジョーは当時風に赤と青、チェーンはRKのゴールド。テールライトはLEDで、形状を極力当時に合わせて作ってます。

メーターもオールインワンでウインカーも超小型LEDだから、そのままでもかなり当時ぽく見えますよね。車体は小さくて軽いし、あの頃のレーサーらしくヒザまわりの収まりもいい。時代は経っていてもいいところはいいなと思わせてくれますよ」

ブライトロジック・竹中さんはこう概要を教えてくれる。モチーフとなったレーサーは’86年型がベースで、純正角パイプフレームをスムージングして滑らかに仕立てていたが、RKではその形状を市販状態で取り込んでいる(前回’15年製作の#12レプリカも同じ形状の’87年型をベースにしていた)。エンジンは’88年型J純正でボア×ストロークが変わっていたが、’89年型K/RKでは元に戻されたから、数値的に同じ。ホイールもRKでは17インチで、モチーフ車と同じ3.50/5.50幅を履いていたから、RKがベースということにはまったくと言えるほど違和感がない。

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違いがあるとすれば当時ショーワ正立のフロントフォークがオーリンズ倒立になったり、同じくニッシン・アキシャルのキャリパーがブレンボ・ラジアルになったりしているという点だろうが、そこは当時から既に35年以上が過ぎた今のストリートのことを考えれば、ほしい性能とルックスを満たしたということになるだろう。

ただレプリカするだけでなく、フレーム作業でも分かるように、全バラの上での仕立て直しも行われている。ワイヤハーネスも長さのことも考えつつ作成、エンジンもフルで組み直し。キャブレターもTMR-MJN、タイヤも含めた足まわりも現代化されている。先の竹中さんの言葉にあるようなコンパクトで軽い点も含め、レプリカ要素のみならず、油冷GSX-Rを今ストリートで楽しもうと思う時に考えたい要素も備えた1台となっているのだ。

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スクリーンは当時ほぼそのままの形状や高いクリア度を持ったスクリーンクラフト製の新品。これはブライトロジックで購入できる。ミラーはマジカルレーシング・レーサーレプリカミラー・タイプ3ヘッド。ウインカーは超小型LEDタイプをナックルガード部に備える。

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ブライトロジックでカーボンパネルをワンオフし、モトガジェット・クロノクラシックメーター(アナログエンジン回転計と多機能液晶デジタルパネルのオールインワン)をセットするメーター部。フロントマスターはブレンボ・ラジアルでクラッチレバーはZETAだ。

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ヨシムラ公認のレプリカカウルも備えるこの車両、当時確立したガンメタリック×レッドのヨシムラカラーを施す。レッドの部分はヨシムラの頭文字となるYパターンだ。耐久レース仕様の燃料タンクはヨシムラ製アルミ。フレームはGSX-R750RK純正をブラック仕上げしている。

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テールレンズは当時風の形状に仕上げた上でLEDブレーキランプ等で公道にも対処する。ナンバーホルダー横にLEDウインカーを備える。

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油冷直4エンジンは全バラした上でフルで組み直し、静かでスムーズなフィーリングに。ここはブライトロジックでの定番だ。ステップはヨシムラを装着する。

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キャブレターはTMR-MJNφ36mmをエアフィルター仕様で装着。排気系はブライトロジックオリジナル・フルチタンでサイレンサーはショート加工。

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フロントフォークはモチーフ車のヨシムラ・ショーワ正立でなく、オーリンズ倒立を装着。フロントブレーキはブレンボ・CNC P4 30/34キャリパーに、インナーホールが当時のそれに近い印象を持ったサンスター・トラッドタイプディスクを組み合わせている。

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リヤブレーキはブレンボ CNC P2 34キャリパーにサンスター・プレミアムレーシングディスク。スイングアームは純正アルミに上側スタビライザーを追加しポリッシュ。モチーフ車は下側スタビだが、「当時やむなく下側にしたけど、上側が良かった」と当時そのメカだった竹中さん。

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リヤショックもオーリンズでドライブチェーンはRKの520サイズ。モチーフ車に近いスポーク形状を持つ3.50-17/5.50-17サイズホイールはMAGTAN JB1だ。

取材協力:ブライトロジック

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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