進化を確実に取り込んだコンプリートパッケージをベースに

コンプリートカスタム車、RCMを送り出すACサンクチュアリー。GPZ900Rニンジャはそのひとつの柱で、現在は“スポーツパッケージNew TYPE-R”というメニューをRCMニンジャのスタートエディションとして用意し、それを元にして各オーナーが好きなパーツや仕様を選んでいくスタイルを採る。このRCM-537もそのうちの1台で、New TYPE-R 2020年仕様がベースだ。この内容を知れば、車両の細部や成り立ちも分かる。同店・中村さんは説明する。

「2015年にTYPE-Rパッケージをリニューアルし、New TYPE-Rとしたんです。それはベース車両のコンディションが全体的に悪化してきたから。それまでは良好なコンディションの車両も多く、エンジンは点検して良好なものを選んで使えていたのが、オーバーホール必須へと変わりました。私たちが空冷Z系でやっているように、全バラ点検と各部加工でエンジンからリニューアル。電装も、まずハーネスを後継のZRXシリーズの新品を用意した上でRCM・Ninja用に引き直しというような作業が要るようになったんです。

New TYPE-R設定後も、そんな作業必須の部分が増えたので、毎年作業見直しを行っています。好きに楽しむための良好なベースかつ17インチホイール化への対応作業を済ませたTYPE-Rとしてのパッケージ、目指すところは変わらないのですが、完成度や満足度を高めるための作業は増えています」

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ベース車の状況は年々悪化するから、底上げのための手間は増える。一方で、新しいパーツも次々と現れるから、それも採り入れて完成車を進化させたい。だから冒頭のベースに“2020年仕様”という文字が加わる。

「そうです。今の内燃機加工だったり各部処理など、パーツのような形ではないメニューも進化していますから、それらは取り込んでいます。質が高まり寿命が延びることになりますし、そこも価値のひとつになります。

意識しているのは“ファイナルエディションのファインチューニング仕様”です。ファイナルA16まででさまざまな対策を受けたニンジャエンジンですが、それが今まで、これからも続いていくとしたらこうなっている……こんな内容になっているということを意識した感じです」

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こうした内容を持つスタートエディション。そのままでも良好な17インチ・Ninjaカスタムとしての素性を持っているが、このRCM-537ではキャブレターや足まわりパーツはオーナーのリクエストでアップグレード系のカスタムが進められている。ベースが良好だから安心してもっと好きな形、好きな仕様で楽しみたい。しかも長く乗れる。そんなオーナー個々の考えを安心して反映できるのがRCM・Ninja。これはその好例と考えていい。

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Ninjaでダメージを受けやすいアッパーカウルステーのマウントベースは再構築しメーターまわりも一新。ステムはスカルプチャー・ステムキットTYPE-1でPOSHスーパーローバーをマウント、フォークオフセットは[STD:40→]37mmへと変更。左右マスターシリンダーはブレンボRCSだ。

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シートは良好な乗り心地とポジションを作り出すデイトナ・RCMコンセプトシートで、外装は奥進でA6カラーをアレンジしてペイント。

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ヴォスナーφ73mm鍛造ピストンで920cc化し、シリンダーはライナー水圧検査後に使用、クランクケースにはロス低減加工も施す。クランクはダイナミックバランス&ジャーナルラッピング。New TYPE-R専用オーバーサイズバルブガイドも組まれる。外観は放熱性と耐久性に優れたガンコート。ワイドラジエーターKITとその前に配されるハイマウントオイルクーラーKITはナイトロレーシングだ。

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キャブレターはヨシムラTMR-MJNφ38mmをDSF=デュアルスタックファンネル仕様で使う。配線は引き直し、点火系はASウオタニ・SPII置換する。

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ワイドタイヤ化で軌道が外になるドライブチェーンとの干渉を避けるフレームインライン処理をしつつ、スイングアーム垂れ角と関係による抵抗も減らすピボット部。ステップキットと連結したダウンチューブ(NinjaコンビネーションKITⅢ)はともにノーブレスト製だ。

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ノーブレスト・E×MパッケージによってオーリンズRWU(φ43mm)フロントフォーク/天吊りフェンダー/キャリパーサポートをセット。フロントブレーキはキャリパーをブレンボ・CNCキャリパーにアップグレード、ディスクはサンスターRCMコンセプトφ320を組み合わせる。

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リヤブレーキはブレンボP2 34キャリパー+サンスター・プレミアムレーシングφ250mmディスク。マフラーはナイトロレーシング手曲げチタンEX・ショートテールのハーフポリッシュ仕様で、これにつながるサイレンサーはナイトロレーシング・チタンストレートV-1だ。

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スイングアームはスカルプチャーR.C.M専用ワイドスイングアームで、リヤショックはオーリンズの17インチNinja専用品、KA203を組む。前後ホイールはO・Zレーシングのアルミ鍛造品、PIEGAで3.50-17/5.50-17サイズを履く。ドライブチェーンはエヌマEK530RCMを装着。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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