空冷カタナには足まわりを始め多くのオリジナルパーツを供給し、KATANAにも車両を身近にするパーツを製作するオオノスピード。自らもカタナ乗りの大野さんは、ユーザーが困ることを減らし、長く乗る環境作りを続けていくという。今回は後編、前編はこちら
※本企画はHeritage&Legends 2021年2月号に掲載されたものです。

マニアックなパーツも車両供給も同じ軸上で

新型については今後の可能性も含めたパーツ展開。そして空冷については、先のトップブリッジのように、もっと身近にし、乗って楽しめるようにすることでしっかり動き続けるカタナを減らさない、あるいは増やして先を作る。

この考えは、今後縮小するだろう純正パーツ供給を危惧してのことでもある。そうなれば空冷カタナに乗り続けるのが難しくなるからだ。純正で既に左サイドカバーや750用のクランクシールはなく、右サイドカバーやミラー、1100ピストンは価格が上がるなど、縮小傾向は進みつつある。

「ですからもうできるだけのことはして、カタナを延命させないと。とくにエンジンが動かないといけないので、750のシールも代用品含めてかき集めてできるだけ補修対応できるようにしました。750はメタルクランクですからオーバーホールは腰下までやらないといけないので対応する。ハーネスも作って、まず1100、できれば750もエンジンが何とかなるようにしておきたいなあ。車体屋でやってきたんですけど、もうこれは私たち世代がやらないと」

画像: ▲オオノスピードでは国道51号に沿ったショールーム(上側写真)で完成車などが見られる。下写真は整備/加工スペースも備えたショップ。訪れた日にもこのように車両作業が進められていた。

▲オオノスピードでは国道51号に沿ったショールーム(上側写真)で完成車などが見られる。下写真は整備/加工スペースも備えたショップ。訪れた日にもこのように車両作業が進められていた。

常々作られ、HP/fbを通じて販売されるコンプリート車両も、その一環。左の2台は近作で、現在販売中のものだ。決まった仕様こそないが、大野さんがカタナを長く乗るために必要なレストアやカスタムを加えて作られる。下のファイナルエディションは、エンジン内部以外、修理屋としての手を入れてリメイクしたもの。特別なことはしていないとはいうものの、今となってはこれだけのコンディション、かつすぐ乗り出せる車両を見つけるのさえ困難なはずだ。しかも、ひと通りの手が入っているから、普通に見かける中古車より安全だ。

下で紹介しているカタナは1000をベースに1100化/18インチ化ほか、大野さんの考え=長く乗るための仕様が施されたカスタム。こうしたカスタムが完成して用意されることでお客さんは買いやすくなる(すぐ乗れる)し、車両を買う時にノーマルに近いカタナが下取り入庫するという好循環もあるようだ。パーツだけでなく、車両面でも、オオノスピードの動きは要チェックだろう。

カタナが好き。きれいに手を入れるショップさんの作業に憧れてこの業務を始めたし、出来るだけ長く、お客さんのカタナをサポートしないといけない。こう言う大野さん。数少ないカタナ専門店としての活動は、カタナ/KATANAに興味があるなら、注視し、支持したい。

いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート

画像1: いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート
画像2: いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート

OHNO-SPEED GSX1000S/下半分をブラックでまとめ、SUZUKIロゴをブラックグラデーションとしたオオノスピードカラーで仕上げたGSX1000Sの18インチ・コンプリートカスタム。アップハンドル化や足まわり/ブレーキ系強化も行われている。

画像3: いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート
画像4: いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート
画像5: いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート
画像6: いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート
画像7: いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート
画像8: いつでも乗れることを念頭に置いたコンプリート

ベースはGSX1000Sで、エンジンはオーバーホールプラスαの内容とシリンダー交換等で1100仕様(1074㏄)に。外観も再塗装される。キャブレターはTMRのファンネル仕様で、フルチタン4-1のマフラーはオオノスピードでも販売するアサヒナレーシング79S+GP-Formulaサイレンサー。オイルクーラーも追加、前ウインカーはシリンダー前に細身タイプを装着する。フロントカウルはオオノスピード製をウインカー部穴埋め加工、スクリーンもオオノスピード。ハンドルバーはパワービルダーでフロントマスターはブレンボRCS、前後ブレーキはブレンボキャリパー+サンスターディスク。ホイールは前後ダイマグ3本スポークでリヤショックはオーリンズ・フルアジャスタブル。長く乗ることも苦にならない仕様だ。

フルレストアにひと手間加えて確実性を増す販売車

画像1: フルレストアにひと手間加えて確実性を増す販売車
画像2: フルレストアにひと手間加えて確実性を増す販売車

OHNO-SPEED GSX1100S/エンジン内部以外を「修理屋としての手を入れて」(大野さん談)リメイクしたSY=空冷カタナ・ファイナルエディション。特別なことはしていないと言うが、同店fbに挙げられた写真を見れば非常に手間をかけていることが分かる。

画像3: フルレストアにひと手間加えて確実性を増す販売車
画像4: フルレストアにひと手間加えて確実性を増す販売車
画像5: フルレストアにひと手間加えて確実性を増す販売車
画像6: フルレストアにひと手間加えて確実性を増す販売車

「部分部分で変わっているところはありますが、基本的にはノーマルですよ」と大野さんは言うが、それ以上に全体の美しさが目を引く。エンジン外観やキャブレター、フレームは保管していた新車でもここまでの状態のものはまず見当たらないほどきれいで、それは1.85-19/2.50-17サイズの星型キャストホイール、前後サスやスイングアームもそうだ。ウインカーは上車両同様に小型のものに換装、フロントカウルはオオノスピード製加工。EXはアサヒナレーシングのフルチタンでチェーンはRKだ。

取材協力:オオノスピード

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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