空冷にはハガネ、水冷にはシン・ハガネというコンプリートカスタム車を製作するテクニカルガレージRUN。製作から片や7年、片や半年以上を経て新たに見えた両車への可能性とともに、空冷カタナ・水冷KATANAの選び方を聞く。
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※本企画はHeritage&Legends 2021年2月号に掲載されたものです。

大事にされる車両の見本となるハガネ

もう1台、空冷カタナをベースにしたハガネも、バージョンアップコンプリートによるもの。何度か誌面で紹介してきたが、今見ると、新たな側面が分かる。作りとして綺麗という以外に、隅々までがきれいな状態を維持している。そして、いつでもセル一発でスタートする。もう7年も前の2013年に製作されていながら、だ。

「おそらく、メンテナンスはもちろんですが、フツーに使ってるからでしょう(笑)。房総ツーリングにチョイ乗り、サーキットに。ほかの車両(シン・ハガネやニンジャ、GSX-R1000Rなど)にも乗っているのと同様、これにもよく乗ります」

そう言う杉本さんが指さすメーターの走行距離は、4000㎞を示す。ただ掃除されただけではない、使い込まれているのと同様に、きれいというのは、使うことで無駄な劣化を抑えていることになる。

画像: ▲空冷カタナはパーツのストックも考えておく/空冷カタナをこれから長く乗りたいのなら、純正でなくなって困るパーツのストックも考えてほしいと杉本さん。燃料タンク(写真/タンクパッドは社外品)はその筆頭で、TG-RUNではスズキとの関係性を活かし、相当数を確保して対応。こうしたパーツは一部で法外な値段で取引されているようでもあるので、事実、廃番なのかも、適正価格なのかも正しい情報が必要だろう。

▲空冷カタナはパーツのストックも考えておく/空冷カタナをこれから長く乗りたいのなら、純正でなくなって困るパーツのストックも考えてほしいと杉本さん。燃料タンク(写真/タンクパッドは社外品)はその筆頭で、TG-RUNではスズキとの関係性を活かし、相当数を確保して対応。こうしたパーツは一部で法外な値段で取引されているようでもあるので、事実、廃番なのかも、適正価格なのかも正しい情報が必要だろう。

「消耗品=ブレーキパッドやタイヤなどは換えますけど、あとは作った当時から変わってないですね。製作時にフレームもエンジンもゴム系パーツも見直ししていますから」

これはよく考えてみると、あるべき旧車の維持の姿ではないだろうか。作った時点がピークなのではなく、そのいい状態をキープする。常々、杉本さんが言ってきた「オイル交換も含めた定期メンテナンスと、普段から使うこと」を、自ら実践したのが、今、つまり製作から7年強が経ったハガネだ。空冷カタナならこれは十分に参考にしたい。その上で、と杉本さんは続ける。

「今から空冷カタナを手に入れたい、今持っている車両を長く乗りたいという方にも、改めて“ほしいなら今”、“必要な純正パーツはストックを”と言っておきます。もう10年以上前から何度も言ってますが、純正部品の廃番や廃番部品の高騰。車体もですよね。以前は100万円以下で買えたのに……、今は200万円スタートでそこから手を入れるという状態になりましたし、純正部品の定価も上がったり、廃番が多くなったりしていますから、空冷カタナがほしいなら早めに。旧車特有の苦労なく、刀の世界を味わいたいというのなら、現行のKATANAを選べばいいと思います。

それでも空冷と言うのなら、パーツを。ウチでは、自社ユーザー用として、廃番の部品も純正ガソリンタンク含め相当数確保してます。25年以上の正規販売店としての情報も持っていますから、車両のことも合わせて聞いてほしいですね」

空冷カタナもKATANAも、スズキのアイコン的モデル。だからこそ乗って楽しめることが大事。そんな車両の状態を、RUNの2台のコンプリートは物語っているのだ。

製作から7年を超えても即実動できる。空冷カタナ維持&現代化の見本的車両に

画像1: 製作から7年を超えても即実動できる。空冷カタナ維持&現代化の見本的車両に

TG-RUN “HAGANE”/2020年末の今、メーターが表示する走行距離は4079㎞。ホコリも被らず、セル一発で元気よく始動するエンジン、また押し回し時にも固着感や渋さのない足まわり等からも、継続的に使われて調子を維持しているとよく分かる。

画像2: 製作から7年を超えても即実動できる。空冷カタナ維持&現代化の見本的車両に
画像3: 製作から7年を超えても即実動できる。空冷カタナ維持&現代化の見本的車両に
画像4: 製作から7年を超えても即実動できる。空冷カタナ維持&現代化の見本的車両に
画像5: 製作から7年を超えても即実動できる。空冷カタナ維持&現代化の見本的車両に
画像6: 製作から7年を超えても即実動できる。空冷カタナ維持&現代化の見本的車両に

古いバイクとなったGSX1100Sで修理や復元が必要な部分にきちんと手を入れた上で、必要なところにひとつひとつ手を入れる手法は各部に見られる。オフセットを[50→]35mmとしてトレール量を確保するステムはRUNオリジナル、メーターカバーはマジカルレーシング。フレームは1135Rタイプ補強。φ43mmフォーク/リヤショックはオーリンズで、1.85-19/2.50-17→3.00-18/4.50-18サイズの鍛造ホイールはゲイルスピード。エンジンは1075→1135㏄化しFCRφ39mm/ケイファクトリー・チタンEXで後軸125ps。バッテリーはSHORAIリチウム。

取材協力:テクニカルガレージRUN

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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