空冷にはハガネ、水冷にはシン・ハガネというコンプリートカスタム車を製作するテクニカルガレージRUN。製作から片や7年、片や半年以上を経て新たに見えた両車への可能性とともに、空冷カタナ・水冷KATANAの選び方を聞く。まずは前編から。後編はこちら!
※本企画はHeritage&Legends 2021年2月号に掲載されたものです。

選び方のポイントは使い方にこそある

スズキの正規販売店として、空冷カタナも現役時にファイナルエディションまで新車販売。当然だが現行、2019年登場のKATANAも多くの台数を販売しているテクニカルガレージRUN(以下TG-RUN)。空冷/水冷ともに、車両の本質を引き出しつつ、軽量化や作動や操作感を含めた上質化を図る“バージョンアップコンプリート”によるハガネ(空冷)とシン・ハガネ(水冷)を製作したことも広く知られる。しかも、両車ともにお客さんからのオーダー車両も製作されてきた。うち、水冷のシン・ハガネについてTG-RUN・杉本さんは「完成から半年経って、車両とより仲良くできるようになったんです」と言う。これはどういう意味だろうか。

「完成(この時点でも多くのテストとセットアップが施されている)後に、サーキットに近場にツーリングにもと乗りこんで、自分で思っていたネガの部分がつぶせたんです。それでよりリニアに乗れて、曲がれて、コントロールできる。完成時点でも十分だったのが、もっと乗りやすく、身近で頼れる相棒的な印象が高まった」

具体的にはシート内部、ステップのバー位置、スロットルホルダーなどが変わったという。

画像: ▲ハガネが2台、シン・ハガネが1台。ほかにも空冷カタナが販売車含めて4台、新車のKATANAもシルバー、ブラックが即納体制で試乗車もありと、TG-RUNはカタナにも充実の構えだ。

▲ハガネが2台、シン・ハガネが1台。ほかにも空冷カタナが販売車含めて4台、新車のKATANAもシルバー、ブラックが即納体制で試乗車もありと、TG-RUNはカタナにも充実の構えだ。

「シートは盛るところと削るところを本当に微調整していって、ノーマルから4つ目でベストになった。ホールド性とコントロール性、あと足着き性が良くなります。

ハンドルバーは当初からノーマル。ここも変えてしまうと変わる箇所が増えて、ノーマルとの比較もしにくくなるので、基準点にしたんですね。それでスロットルは試作のハイスロットルにしていますが、これはシン・ハガネの特性によリ合った。ステップバーについては元から作っていたアジャスト位置(5ポジション)で選べた。

こうした、アジャストできるパーツを使えていたことが大きいんです。サスペンションなどでも同じ。だから“もう少し”の部分を調整していけた。もちろんお客さんにもフィードバックできます。普段どう乗っているか、どんな使い方をしているかを教えていただければ、そこに合わせますよ」

ただ作るだけでなく、ユーザーの使い方や乗り方に合わせたセッティングを施して完成というバージョンアップコンプリートの特長が正しく現れた形となった。

「MotoGPマシンのテストも行い、経験豊富な青木宣篤さん。彼にもストリート、これはご自身が希望されて(笑)乗ってもらいました。また、サーキットでも乗ってもらって、“素晴らしい出来”と褒めていただいた上、我々のマシン作りに対する答え合わせも出来てとても嬉しく思います。シートなどシン・ハガネに使われたパーツは販売していますし、コンプリート車製作も、もちろんKATANA自体の販売もしています」

シン・ハガネはコンプリートとしてのオーダー車両も既に製作・納車済みと言うが、これからも製作例は増えるように思われる。

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空冷・水冷、狙うところは同じ。どうしたいかを考えて手を付ける

画像1: 空冷・水冷、狙うところは同じ。どうしたいかを考えて手を付ける
画像2: 空冷・水冷、狙うところは同じ。どうしたいかを考えて手を付ける

上は水冷KATANAを元に2020年春に製作したシン・ハガネ、下は2013年に製作され、各種ショーでの展示等も経てきた空冷カタナベースのフルメタル・ハガネ。ベースは違うが、何にでも使えるオールラウンド性を高めるという点、フルカスタムでいながら軽く、タッチが良くて身近に扱えるという点は両車で共通。

画像3: 空冷・水冷、狙うところは同じ。どうしたいかを考えて手を付ける

空冷カタナの現状は厳しくなる一方だからほしいならなるべく早く、パーツにも配慮をとTG-RUNの杉本卓弥さん(右)。左写真は青木宣篤さんがショップを訪れてシン・ハガネに乗るの図。ネガがなく楽しく乗れると評価。

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コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート

画像1: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート

TG-RUN “SHIN HAGANE”/空冷のフルメタル・ハガネと同様のコンセプト=杉本さんがTG-RUNにオーダーして作るバージョンアップ・コンプリートという手順を踏んで作られたシン(新)・ハガネ。スクリーンはマジカルレーシング、塗装はアラタカデザインによる。

画像2: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート
画像3: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート

シン・ハガネ製作とともにリリースされた水冷KATANA用パーツは車両をより身近にしてくれる。TG-RUNステアリングステムKITは純正ハンドルのままでマウント位置を約5mmアップ/10mmバックでき、ライディングポジションを変えて操縦安定性を大きくアップ。GSX-R1000R用オーリンズフォーク等も組める。ノーマルフォーク対応のトップブリッジ単品もある。

画像4: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート
画像5: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート

TG-RUNライディングステップキットはオリジナル5ポジションで車両との一体感を高めてくれる。このバー位置をシン・ハガネ製作当初から変更した。シートはノーマル含め4つめの仕様変更でスポーツ走行からツーリングまで快適性をベスト化。TG-RUNスポーツ&コンフォートシート(要シート持ち込み。カラーや表皮変更も可)としてKATANA用に販売している。

画像6: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート
画像7: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート

ブレンボ・フロントマスターシリンダーやゲイルスピード・クラッチホルダーは作動上質化のマストアイテム。スロットルホルダーは現在販売に向けテスト中だが、開度変化率をシン・ハガネに合わせる。フルアジャスタブルのオーリンズ倒立フォーク、ほかブレンボ・レーシングキャリパー+サンスターディスクのブレーキやアルミ鍛造のマルケジーニM7RSホイール等はあらゆるユーザーが良さを体感できる。

画像8: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート
画像9: コンフォートで乗りやすくをテーマにセッティングも進化したコンプリート

リヤのオーリンズショックもフルアジャスタブル。車両の仕様や使い方に合わせたセットアップによって、日常使いから良さが味わえる。こうした調整によってシン・ハガネは進化した。ほかにもJMCA認定でジェントルな音質のケイファクトリー・CLR-RG+フルエキ ヘキサゴンサイレンサーやTG-RUNワンオフのフェンダーレスキット、RK・520サイズチェーン等も備える。M7RSホイールは3.50-17/6.00-17サイズ。

取材協力:TECHNICAL GARAGE RUN

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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