文:中村浩史/写真:松川 忍
ペアスロープ 取材レポート
ペアスロープ
東京都大田区上池台4-1-1
www.pair-slope.co.jp
環状7号線、中原街道近くの夫婦坂交差点近くに店舗を構えるペアスロープ。ショップ名は夫婦=ペア、坂=スロープから。曜日限定で京都伏見店もオープンしている。
▲ペアスロープの代表、三橋弘行さん。1983年にペアスロープを創業し、以来ずっと自社製作の革ジャンを作り続けてきた。自ら「走行テスト」と称して自社製革ジャンでツーリングするのが至上の喜び。
経年変化ではなく革は経年「美化」する
「革ジャンは10年〜20年もの、30年だって持つよって言い続けてきましたけど、ようやくそれが実証できてきましたね。うちは2023年で創業40周年。初期に発売した革ジャンを、今も着続けてくれている人がいるんです」と言うのは、革ジャンを作り続けて40年、ペアスロープの三橋さん。このところ、革ジャンの「経年変化」ならぬ「経年美化」に注目、あらためて革ジャンの良さをアピールしている。
ペアスロープの革ジャンは、創業から一貫してメイドインジャパン、それどころか店舗2階の工房で、職人が一着ずつ手作りしている。
「大量生産なんてできませんから、1日で一着と少し、2日で三着というペースですかね。おかげさまでいつも納品に追われてます(笑)」
革ジャンの人気上昇は肌で感じているという三橋さん。それでもペアスロープはずっとマイペース。安い買い物ではないから、購入いただいたお客さんの革ジャンを、ずっと着てもらえるようにヘルプもしている。
「革ジャンをていねいに着る必要なんてないですよ。通気性がいいように、クローゼットにしまい込まないで部屋にかけます。ハンガーも肉厚幅広を使ってあげるといいですね」
それでも、10年〜20年も着るとなると、革のメンテナンスも必要になる。これも、難しいテクニックは必要ない。定期的なオイル=保革油の補給だ。
![画像: ペアスロープ 取材レポート](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/1fb9807f99ba5706b6125f7a899868aac4de3001_xlarge.jpg)
「うちの製品で言うと、購入して1〜2年はオイルを塗る必要はありません。その後、年に一度くらい保革油を補給してもらえればいいんです。よく擦れる箇所は指でオイルを塗り込むことで削れ防止になります。表面に薄く延ばして、乾拭きするとなおいい」
そうやって使い込んだ革ジャンは、何とも言えない風合い、色の深み、表面のツヤを持つようになる。愛用すればするほど味わいが深まるのが革ジャンなんだ、と三橋さんは言う。
「ショップに私やスタッフの私物革ジャン、それも20年以上も着続けてきたものを展示してみたんです。その風合いで、あらためて革ジャンのファンになってくれるお客さんもいて、あぁ革ジャンを作り続けてきてよかったな、と。やっぱり革ジャンっていいよな、って再認識してますね」
形をじっくり吟味して、一生ものの革ジャンを手に入れてみて、と三橋さんは言う。ライダーと同じように、革ジャンも「大人」になるのだ。
![画像: ▲ペアスロープの革ジャン製作はメイドインジャパンどころか、店舗2階の工房。1着あたり20数時間、2日で3着といったペースが限界で、修理やリペアも手掛けてくれる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/9b2a673f7b173fcf2da220c730978f5e12a43432_xlarge.jpg)
▲ペアスロープの革ジャン製作はメイドインジャパンどころか、店舗2階の工房。1着あたり20数時間、2日で3着といったペースが限界で、修理やリペアも手掛けてくれる。
![画像: ▲決して広いとは言えない店内だが、全国からファンが来店。革ジャンの他、テキスタイルジャケットやレザーパンツ、シューズやバッグなどが所せましと並ぶ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/28b41c37d9412af3df1d9e3d3cfd88478bc351f9_xlarge.jpg)
▲決して広いとは言えない店内だが、全国からファンが来店。革ジャンの他、テキスタイルジャケットやレザーパンツ、シューズやバッグなどが所せましと並ぶ。
![画像: ▲使用20年を越えた、G-68ライディングジャック。あちこちにキズ、擦れ跡が見られる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/a664ab755587e024c05878571689a33e22a0fbd7_xlarge.jpg)
▲使用20年を越えた、G-68ライディングジャック。あちこちにキズ、擦れ跡が見られる。
![画像1: ▲動かすときに触れる、袖やポケット、首周りに使用感ができるのが革ジャン。普段のメンテは、ホコリを拭きとって風通しのいい日陰に保管するだけでいい。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/7ed3ad4d883ef871df56afed9dd85f14c1265910_xlarge.jpg)
▲動かすときに触れる、袖やポケット、首周りに使用感ができるのが革ジャン。普段のメンテは、ホコリを拭きとって風通しのいい日陰に保管するだけでいい。
![画像2: ▲動かすときに触れる、袖やポケット、首周りに使用感ができるのが革ジャン。普段のメンテは、ホコリを拭きとって風通しのいい日陰に保管するだけでいい。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/3ce77292a69f0f61a6b8126c932585c0de465a74_xlarge.jpg)
▲動かすときに触れる、袖やポケット、首周りに使用感ができるのが革ジャン。普段のメンテは、ホコリを拭きとって風通しのいい日陰に保管するだけでいい。
![画像3: ▲動かすときに触れる、袖やポケット、首周りに使用感ができるのが革ジャン。普段のメンテは、ホコリを拭きとって風通しのいい日陰に保管するだけでいい。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/b02bcb59d2dcdeebda106a8cd15e0fe359001bf6_xlarge.jpg)
▲動かすときに触れる、袖やポケット、首周りに使用感ができるのが革ジャン。普段のメンテは、ホコリを拭きとって風通しのいい日陰に保管するだけでいい。
![画像: ▲ペアスロープおすすめのケミカルは右からレザーソープ(1500円)、シュープリームワックススプレー(2000円)&クリーム(2800円)。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/27/d98bc7ae2dff07aedfcb23e0279a76a15afdb88e_xlarge.jpg)
▲ペアスロープおすすめのケミカルは右からレザーソープ(1500円)、シュープリームワックススプレー(2000円)&クリーム(2800円)。
ペアスロープ製革ジャンの素材となるのが牛/馬/鹿といった原皮。
下写真の上から順に牛革よりも軽く、着心地のいいソフトホース、一番メジャーな素材と言えるステア(生後約2年の牝の成牛)牛革、柔軟伸縮性に優れ、引き裂き強度の強い鹿革。タイプや使用用途などによって、適材を使い分ける。
![画像: ▲ソフトホース](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/9ba8ab4c957446683d7c259bbba72902186c02df_xlarge.jpg)
▲ソフトホース
![画像: ▲ステア牛革](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/46836bbd7b80d31e40e75bfd71053d1dc53f3a6d_xlarge.jpg)
▲ステア牛革
![画像: ▲鹿革](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/02/10/5879f348aeeab7387bcbeb87d8dfc510cf55ede2_xlarge.jpg)
▲鹿革
ペアスロープ おすすめレザージャケット
![画像: C-55 アーバンジャケット カラー:ダークブラウン / 黒 サイズ:S / M / L / LL / 3L 税込価格:9万6800円〜](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/12a9bb5c7deda419656e44a470b166e4694d7d02_xlarge.jpg)
C-55 アーバンジャケット
カラー:ダークブラウン / 黒
サイズ:S / M / L / LL / 3L
税込価格:9万6800円〜
生後約2年のステア牛革を使用した、表面の張り感も美しいシングルライダース。バイクを離れても違和感のないシルエットで、サイドにアジャスタベルトを採用。背中には可能な限り大きな面積の革を使用。引き裂き強度も強い。
![画像: 背中部分には大きな面積の一枚革を使うのがペアスロープ流。後ろ姿も大事です。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/f038ffb62c42d7ea6d7b24ccffd10d355c694fe4_xlarge.jpg)
背中部分には大きな面積の一枚革を使うのがペアスロープ流。後ろ姿も大事です。
![画像: 腰のアジャスタベルトで、ルーズに着るも、フィット感を高めることもできる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/0f383d887f9b37efddcd8cfe107bf21b3c2ae636_xlarge.jpg)
腰のアジャスタベルトで、ルーズに着るも、フィット感を高めることもできる。
![画像: S-30 スタジアム カラー 袖キャメルブラウン / 本体ブラック 袖オレンジ / 本体ブラック 袖アイボリー / 本体ブルー 袖ガンメタ / 本体ブラック 袖ブラック / 本体ワイン その他ご希望の組み合わせで受注生産 サイズ:S / M / L / LL / 3L 税込価格:10万7800円〜](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/3a091658e06f68cadec1aaf7d938e562c3554336_xlarge.jpg)
S-30 スタジアム
カラー
袖キャメルブラウン / 本体ブラック
袖オレンジ / 本体ブラック
袖アイボリー / 本体ブルー
袖ガンメタ / 本体ブラック
袖ブラック / 本体ワイン
その他ご希望の組み合わせで受注生産
サイズ:S / M / L / LL / 3L
税込価格:10万7800円〜
約10色から選べるカラーを、ボディと袖で組み合わせられる、オールレザーボディのスタジャン。裾と袖に耐久性の高い丈夫なリブニットを使用し、明るい配色ならばカジュアルなスポーツに、ダーク系の組み合わせならバイク用、と選択肢も広い。受注生産品。
![画像: 造りの美しさはペアスロープならでは。前立てはファスナー+ボタンスナップ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/bbc09e9e6abe3b8005ee58d700bd985edf4a606e_xlarge.jpg)
造りの美しさはペアスロープならでは。前立てはファスナー+ボタンスナップ。
![画像: 袖と裾に伸びに強いニットを使用。二ットのみの交換も可能なため、長く着られる一品。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/39a200770f9b5afa1e0d3dbedb420e420a6ca004_xlarge.jpg)
袖と裾に伸びに強いニットを使用。二ットのみの交換も可能なため、長く着られる一品。
![画像: STP-90 スウィングジャック カラー:ブラック サイズ:S / M / L / LL / 3L 税込価格:9万9000円〜](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/65b42af378323106d59535b873d34f8b26fcd451_xlarge.jpg)
STP-90 スウィングジャック
カラー:ブラック
サイズ:S / M / L / LL / 3L
税込価格:9万9000円〜
30年以上も作り続けている、耐久性のある、革ジャンの定番素材であるステア牛革を使用した、スウィングトップ型の革ジャン。バイク用と意識させないスタンダードなスタイルで、裾のフィットラバー、襟のスタンドカラーも流行に左右されず、長期間の愛用に耐える一品。
![画像: しっかりとした型のドッグイヤータイプのスタンドカラー。着こむことで形が馴染んでくる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/a25dd6720f41850951f915d39696e696f5055a34_xlarge.jpg)
しっかりとした型のドッグイヤータイプのスタンドカラー。着こむことで形が馴染んでくる。
![画像: ウエストはゴムシャーリング式。体型に合わせてフィット感を高く着ることができる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2022/03/04/286b5c27920c2e4b738c0435d3aed068df86cda0_xlarge.jpg)
ウエストはゴムシャーリング式。体型に合わせてフィット感を高く着ることができる。
文:中村浩史/写真:松川 忍
※この記事は月刊『オートバイ』2021年12月号の特別付録「RIDE」に収録した内容を一部再編集して掲載しています。