文:オートバイ編集部/写真:南 孝幸
【開発者インタビュー】カワサキ「ニンジャ ZX-10R」
Ninja ZX-10R開発陣

西山 隆史氏(開発リーダー)
川崎重工株式会社
MC&Eカンパニー
技術本部
第二設計部 第一課

山本 智氏(車体設計)
川崎重工株式会社
MC&Eカンパニー
技術本部
第二設計部 第三課

阪口 保彦氏(エンジン設計)
川崎重工株式会社
MC&Eカンパニー
技術本部
第一設計部 第一課

苅田 庄平氏(開発ライダー)
株式会社ケイテック
実験部
製品評価課

Kawasaki Ninja ZX-10R/Ninja ZX-10RR
総排気量:998cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:835mm
車両重量:207kg
発売日:2021年5月28日/2021年6月25日
税込価格:229万9000円/328万9000円
「速いバイクは乗りやすい」それを体現するのがZX-10R
「レースで勝っているマシンを変えるのはリスクです。不安もありましたが、勝つことに集中して、これまでのレース車で変更できなかったところを変えよう、となりました」
そう語るのは山本さん。スーパーバイク世界選手権(SBK)6連覇マシンであるZX-10Rの「課題」となったのは空力面だった。開発リーダーの西山さんが語る。
「車体とエンジンのパッケージは完成に近いレベルにあったので、今回は空力にこだわっていこう、ということになりました。一般の方にも良さを体感していただけるレベルに仕上がっていると思います」
その空力だが、ウイングレット内蔵のカウルと大胆なマスクが印象的だ。再び山本さんがこうなったいきさつを教えてくれた。

「4年ほど前、GPマシン風のウイングを付けてテストをしたら結果が良かったんです。ただ、単に羽を付けただけでは面白くない。そこでデザインとの融合を図り、このようなトンネル形状としました」
レースで勝つために、変えなくていいところは変えない。大胆な「戦略」だが、それは一般のライダーへのメリットにもつながるようだ。山本さんはこう教えてくれた。
「SBKにフォーカスしてはいますが、スキルの高いライダーと一般のライダーで、求める物は大きくは違わないと考えています。スムーズに素直に回るエンジン、ニュートラルなハンドリング、空力も良い方がいい。こうして作られた新型ZX-10Rに乗ると、ビギナーでもうまくなったような感動を味わえます。たとえばUターンひとつを取っても、すぐにわかるはずです」
開発ライダーの苅田さんも続けてこう教えてくれた。
「10Rはもともと他社のモデルと比べても前傾姿勢は強くないんです。新型はニュートラルなハンドリングでマシンとの一体感を向上させ、トータルで乗りやすく、扱いやすいマシンに仕上げています」
エンジン設計の阪口さんもこのように語る。
「サーキットだけでなく、初心者でも、雨天でもその良さを体感できるよう、ライディングモードも見直しています」
SBK最強マシンの名を欲しいままにしているZX-10Rだが、同時にそれは一般ライダーにとっても「最強マシン」なのだ。
「速いバイクは乗りやすい、というのを体現しているのが10Rだと思います。クルーズコントロールも標準装備し、グリップヒーターやETCも付けられ、大型ビギナーの方でも楽しいバイクです。期待してください!」(山本氏)

カワサキ「ニンジャ ZX-10R / RR」主なスペック・価格
Ninja ZX-10R
全長×全幅×全高 | 2085mm×750mm×1185mm |
ホイールベース | 1450mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 835mm |
車両重量 | 207kg |
エンジン形式 | 空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 998cc |
ボア×ストローク | 6.0mm×55.0mm |
圧縮比 | 13.0 |
最高出力 | 149kW(203PS)/13200rpm ラムエア加圧時:156.8kW(213.1PS)/13200rpm |
最大トルク | 115N・m(11.7kgf・m)/11400rpm |
燃料タンク容量 | 17L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25.0° |
トレール量 | 105mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17M/C (58W)・190/55ZR17M/C (75W) |
ブレーキ形式(前・後) | デュアルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 229万9000円(消費税10%込) |
Ninja ZX-10RR
全長×全幅×全高 | 2085mm×750mm×1185mm |
ホイールベース | 1450mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 835mm |
車両重量 | 207kg |
エンジン形式 | 空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 998cc |
ボア×ストローク | 6.0mm×55.0mm |
圧縮比 | 13.0 |
最高出力 | 150kW(204PS)/14000rpm ラムエア加圧時:157.5kW(214.1PS)/13200rpm |
最大トルク | 115N・m(11.7kgf・m)/14000rpm |
燃料タンク容量 | 17L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25.0° |
トレール量 | 105mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17M/C (58W)・190/55ZR17M/C (75W) |
ブレーキ形式(前・後) | デュアルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 328万9000円(消費税10%込) |
文:オートバイ編集部/写真:南 孝幸