ホンダは1970年代末、CB750フォアに続く並列4気筒の大排気量モデルを生み出すべくシリンダーヘッドをSOHC2バルブからDOHC4バルブに改め、能力を高めたパワーユニットを開発。これを搭載したCB750Kを発売し、さらに900ccを750ccのCB-Fを完成させて海外で両車を、日本では750ccを販売した。その歴代モデルを再検証する。
文:迫田秀正、日本のバイク遺産 編集部

ホンダCB750F日本仕様の解説

CB750F の日本仕様は1979年に初代、1982年に最終型が発売された

1968年にホンダは、量産車では初となる並列4気筒を搭載するモデル、CB750フォアを公開し、翌年4月には北米を中心とした海外市場で販売を開始。

日本では同年8月に発売した。優れた性能や堂々とした車格などからたちまち人気車となった。

だが、カワサキが900ccのZ1を海外、750ccのZ2を日本で発売するとホンダ優勢の状況は変化し、次なる高性能車の登場が待たれるようになった。

その結果、動弁系をSOHC2バルブからDOHC4バルブとして能力を引き上げた第二世代の並列4気筒を開発。4本マフラーを装備、クルーザーを思わせる姿のCB750Kを誕生させた(日本では1978年12月発売)。

同車をベースに造られたのがCB-Fであり、750はエンジンを高出力化、900はボアとストロークを改めて排気量を拡大。燃料タンクからサイドカバー、シートカウルへと流れるようにデザインされた外装により独自の姿に仕上げた。

CB-Fシリーズは、まず輸出専用車となる900が生産されて1978年12月に第一便がフランスに到着。翌1979年には750が北米→日本の順でリリースされた。上の写真は日本仕様となるCB750FZで、発売日は1979年6月23日、価格は53万8000円だった。

なお、車名末尾にある英字は年式を示し、1979:Z、1980:A、1981:B、1982:Cとなる。900は64.5×69mmのボア×ストロークから901.8ccを得るが、750は62×62mmとボアもストロークも変えて748.7ccとする。

負圧式キャブレターのボア径は900から2mm小さい30mmに絞られるが、エンジン本体の基本は同じである。Φ35mm正立式フロントフォークやフルアジャスタブルのリアショック、19/18インチの前後コムスターホイールを装備する車体も多くが900に通じる。

ホンダCB750FZ(1979)

1978年12月のフランスに続き欧州には900が順次届けられたが、日本ではほぼ半年後の1979年6月に750ccモデルを発売。

当時の日本にあった排気量の上限に関する自主規制に対応した結果で、900の最高出力: 95PS/9000rpm、最大トルク:7.9kg-m/8000rpmだった。

国内仕様は68PS/9000rpm、5.9kg-m/8000rpmにエンジン性能は抑えられた。

だが、前後ショックやコムスターホイール、ジュラルミン鍛造セパレートハンドルなど車体の多くは900と共通化され充分に満足できるものだった。

ホンダCB750FA(1980)

1980年6月発売のCB750FAでは、初期型FZではオプションの60/55Wのハロゲンヘッドライトを標準装備とし、リアのブレーキパッドを厚くした。価格は+1万円の54万8000円に変更。

FAは、ハロゲンヘッドライトを標準装備とするなど小変更に留まり、その諸元に変化はなく車体色もFZと同じ。なお、写真はFAと思われるが、FZにオプションのヘッドランプを組んで撮影した可能性も否定できない。

CB750FZ/FAの主なスペック

《 》内はFA

全長×全幅×全高2190×795×1125mm
ホイールベース1515mm
最低地上高150mm
シート高795mm
車両重量(乾燥)228kg
エンジン形式空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量748.7cc
ボア×ストローク62.0×62.0mm
圧縮比9.0
最高出力50kW(68PS)/9000rpm
最大トルク57.8N・m(5.9kgf・m)/8000rpm
燃料タンク容量20L
変速機形式5速リターン
キャスター角27゜ 30'
トレール量117mm
タイヤサイズ(前・後)3.25H19・4.00H18
ブレーキ形式(前・後)Φ276mmダブルディスク・Φ296mmシングルディスク
メーカー希望小売価格53万8000円《54万8000円》

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