バイクを売るためには単にバイクの車体だけを渡せばいいのではなく、必要な書類をすべて揃えなければならない。
しかしそれらの書類は、ふだんはあまり馴染みのないものが多い。また分からないことがあった際に、どこに問い合わせすればいいか迷ってしまうこともあるだろう。
この記事では、バイクを売るときに必要となる書類について、さまざまなケースを想定して詳しく備考する。必要書類が手元にない場合の再発行もまとめているので、スムーズな書類取得に役立てて欲しい。
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バイクを売るときに必要な書類まとめ
バイクを売るときには用意すべき書類が決まっている。それらの書類を全て揃っていることが確認できて、はじめてバイクを売ることができる。
ここでは、3つの排気量別(125cc以下/126cc〜250cc以下/251cc以上)にバイク売却に必要な書類をまとめてみた。
なお、バイクを売るにあたっては、バイクの名義を最終的に売り手から新しい買い手に変更する。そのためにはまずバイクの廃車手続きをしなければならない。
廃車手続きを自分でするか、業者に任せるのかで取得すべき書類も変わってくることも前提として覚えておこう。
①125ccまでのバイクを売るときに必要な書類
125ccまでのバイク(原付一種・二種)を売るときに必要な書類は、下の表を参考にして揃えるといいだろう。
書類名 | 備考 |
標識交付証明書 (自分で廃車手続きをしない場合) | ナンバー取得時に発行された書類 市区町村の窓口扱い ※紛失した場合はこちら(再取得の方法へ) |
廃車証明書 (自分で廃車手続きをした場合) | ナンバー返納時に発行される書類 市区町村の窓口扱い |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
自賠責保険証明書 | 通常は車体とともに保管 加入保険会社扱い ※紛失した場合はこちら(再取得の方法へ) |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
また、自分で廃車自分で廃車手続きをするときは次の通り行う。手続きは市区町村の窓口で行おう。
書類の名前 | 解説 |
標識交付証明書 | ナンバー取得時に発行された書類 市区町村の窓口扱い |
ナンバープレート | バイクから取り外して返納 |
廃車申告書 | 市区町村の窓口で手続き時に入手 |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
上記を窓口に提出し、廃車証明書をもらうことで、廃車手続きは完了する。
【もし紛失してしまったら…】紛失書類の再取得方法(125ccまでの場合)
「標識証明書」「自賠責保険証明書」を紛失した方は以下に再取得方法を記載しておくので、再取得を終わらせておこう。
標識交付証明書の再取得方法(125ccまでのバイク)
標識交付証明書を紛失したときは、ナンバープレートを取得した市区町村の窓口に再発行を申請しよう。
書類名 | 備考 |
標識交付証明書の再交付申請書 | 市区町村の窓口あるいはホームページから入手 |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
自賠責保険証明書の再取得方法(125ccまでのバイク)
自賠責保険証明書を紛失したときは、加入している保険会社に再発行を申請する。どこの保険会社か分からないときには、バイクを購入した販売店に問い合わせして確認しよう。
書類名 | 備考 |
再交付申請書 | 保険会社で入手 |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
②126ccから250ccまでのバイクを売るときに必要な書類
車検の義務がない126ccから250ccまでのバイク(軽二輪)を売るときに必要な書類は以下の通りだ。
書類名 | 備考 |
軽自動車届出済証(自分で廃車手続きをしない場合) | ナンバー取得時に発行された書類 運輸支局扱い |
軽自動車届出済証返納証明書(自分で廃車手続きをした場合) | ナンバー返納時に発行される書類 運輸支局扱い |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
自賠責保険証明書 | 通常は車体とともに保管 加入保険会社扱い |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
また、126ccから250ccまでのバイクを自分で廃車手続きをするときは次の書類も揃えておこう。手続きは運輸支局で行う形だ。
書類名 | 備考 |
軽自動車届出済証 | ナンバー取得時に発行された書類 運輸支局扱い |
ナンバープレート | バイクから取り外して返納 |
軽自動車届出済証返納証明書交付請求書(バイクを売る場合) | 運輸支局で手続き時に入手 |
軽自動車届出済証返納届出書(バイクを廃棄する場合) | 運輸支局で手続き時に入手 |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
上記を窓口に提出し、軽自動車届出済証返納証明書をもらうことで、廃車手続きは完了する。
【もし紛失してしまったら…】紛失書類の再取得方法(126ccから250ccまでの場合)
「軽自動車届出済証」「自賠責保険証明書」を紛失した方は以下に再取得方法を記載しておくので、再取得を終わらせておこう。
軽自動車届出済証を紛失したときの再取得方法(126ccから250ccまでのバイク)
軽自動車届出済証を紛失したときは再発行を申請する。ただし廃車手続きを行う場合は軽自動車届出済証の再交付手続きは不要の場合がある。管轄の陸運支局に電話で確認するといい。
書類名 | 備考 |
軽自動車届出済証の再交付申請書 | 陸運支局あるいはホームページから入手 |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
自賠責保険証明書を紛失したときの再取得方法(125ccから250ccまでのバイク)
自賠責保険証明書を紛失したときは、加入している保険会社に再発行を申請する。保険会社が分からないときには、バイクを購入した販売店に問い合わせをする。
書類名 | 備考 |
再交付申請書 | 保険会社で入手 |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
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③251cc以上のバイクを売るときに必要な書類
免許制度では、251cc~400ccまでは普通二輪、401cc以上は大型二輪となるが、バイクの登録という面での書類においては、251cc以上は全て同じだ。
251cc以上のバイクは車検制度があり、車検に通っているバイクであることを証明する「自働車検査証(車検証)」が発行されている。
この自働車検査証あるいは自動車検査証返納証明書のどちらかが、251cc以上のバイクを売るための書類の一つとして必要だ。
書類名 | 備考 |
自動車検査証(自分で廃車手続きをしない場合) | 車検時に発行される書類 運輸支局扱い |
自動車検査証返納証明書(自分で廃車手続きをした場合) | 車検証返納時に発行される書類 運輸支局扱い |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
自賠責保険証明書 | 通常は車体とともに保管 加入保険会社扱い |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
△自動車税納税証明書 | 必須ではないが求められることがある 市区町村の役所・役場扱い |
なお、251cc以上のバイクを自分で廃車手続きをするときは次の通り行えばいい。手続きは運輸支局(軽自動車検査協会)で行おう。
書類名 | 備考 |
自動車検査証 | 車検時に発行される書類 運輸支局扱い |
ナンバープレート | バイクから取り外して返納 |
抹消登録申請書 手数料納付書 軽自動車税申告書 検査登録印紙 | 運輸支局で手続き時に入手 |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
上記を窓口に提出し、自動車検査証返納証明書をもらうことで、廃車手続きは完了する。
【もし紛失してしまったら…】紛失書類の再取得方法(251cc以上の場合)
「自動車検査証」「自賠責保険証明書」「自動車税納税証明書」を紛失した方は以下に再取得方法を記載しておくので、再取得を終わらせておこう。
自動車検査証を紛失したとき(251cc以上のバイク)
自動車検査証を紛失したときは以下の内容で再交付を申請する。申請は管轄の陸運支局に行おう。
書類名 | 備考 |
△自動車検査証 | 傷みや汚れはあるが現物がある場合 |
自動車検査証再交付申請書 | 陸運支局あるいはホームページから入手 |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
自賠責保険証明書を紛失したとき(250cc以上のバイク)
自賠責保険証明書を紛失したときは、加入している保険会社に再発行を申請する。保険会社が分からないときには、バイクを購入した販売店に問い合わせをしよう。
書類名 | 備考 |
再交付申請書 | 保険会社で入手 |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
自動車税納税証明書を紛失したとき(251cc以上のバイク)
251cc以上のバイクは車検時に自動車税納税証明書の提出が必要なため、バイクを売るときに自動車税納税証明書を求められることがある。
自動車税納税証明書を紛失したときは次の内容で再発行を申請する。申請は管轄の市区町村の窓口に行おう。
書類名 | 備考 |
車検証 | 標識番号・車体番号が分かれば可 |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
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その他バイクを売るときに場合によっては必要になるもの
全ての場面で必要になるわけではないが、状況に応じて追加で必要になることがある書類などについて紹介する。
未成年がバイクを売る場合に必要なもの
未成年がバイクを買取会社に売るには、保護者の同意が必要だ。
保護者の同意を得られているかの確認方法は買取会社によって異なるが主な方法は次の通り(買取会社に査定を依頼する時点であらかじめ確認しておくとスムーズだ)。
●買取会社指定の同意書に必要事項を記入して提出
●買取会社が保護者に電話で確認
●買取時に保護者が立ち会う
保護者の同意書は次の形で用意しよう。
書類名 | 備考 |
保護者の同意書 | 業者指定の書式 業者のホームページで入手できることも 記入は保護者が行うこと |
保護者の印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
代理人にバイクの売却を任せる場合に必要なもの
買取会社にバイクを売るにあたって、家族や友人知人に頼んで売却手続きを代行してもらうことがあるかもしれない。
そのような場合には次のものを用意することで、バイクの売却をスムーズに代行してもらうことができる。
書類名 | 備考 |
委任状 | バイクの名義人が記入作成 買取会社あるいはホームページから入手 |
委任状に記載すべき内容 | ・受任する者の氏名 ・受任する者の住所 ・バイクの登録番号 ・バイクの車台番号 ・委任する者の氏名と捺印 ・委任する者住所 ・委任した年月日 ・委任する内容 「受任者を代理人と定め、記載しているバイクの売買契約に関する権限を委任します。」 |
名義人の身分証明書 | コピー可 |
ローンが残っているバイクを売る場合に必要なもの
ローンで買ったバイクの支払いがまだ残っているときには、バイクを売るにあたって注意が必要だ。
ローンを組んでバイクを買うと、ローンの支払いが完了するまでは、バイクの所有者は自分ではなくバイク販売店やローン会社になっている。
自分がバイクの所有者ではないことから、ローンが残っているバイクを売ることは通常はできないと考えていいだろう。
しかし大手のバイク買取会社に依頼すれば、ローンが残っているバイクを売ることができることも多い。
それは大手のバイク買取会社が豊富な資金やノウハウを用いて、ローン会社に対してローンをいったん精算し、ローン会社が持つバイクの所有権を解除してくれるからだ。
ただし、
●バイクの買取額がローンの残高よりも高い場合
●バイクの買取額がローンの残高よりも低い場合
このどちらかによって必要となる書類や手続きが変わってくるので、買取会社に事前に確認するといい。
ローンの支払いが完了しているバイクを売る場合に必要なもの
ローンの支払いがすでに完了しているバイクを、規模の小さいバイク販売店などで買い取ってもらおうとすると、確かにローンが完済していることを確認するために「完済証明書」を求められることがある。
そのような場合にはローン会社に対して完済証明書の発行を申請する。
完済証明書の発行申請を行う流れは以下の通りだ。
- ローン会社に完済証明書の発行を電話で依頼
- ローン会社から完済証明書の発行申請書が送られてくる
- 申請書に必要事項を記入しローン会社に返送
- 申請書をローン会社が確認し完済証明書を発行・郵送
自賠責保険を解約する場合に必要なもの
バイクを売るにあたって、これまでバイクにかけていた自賠責保険をどうすればよいか判断に迷うことがあるだろう。
バイクを売ったあとの自賠責保険の扱い方には次の2つの方法がある。
- バイクの買い手にバイクとともに自賠責保険も買い取ってもらう
- 自分で自賠責保険を解約し「解約返戻金」を受け取る
※自賠責保険を保険期間の途中で解約したときに返金されるお金のことを解約返戻金という。
ここでは2の自賠責保険の解約の方法と必要書類について確認しよう。手続きは契約している保険会社の窓口で行う。
書類名 | 備考 |
自賠責保険証明書 | 通常は車体とともに保管 加入保険会社扱い |
印鑑 | 認印可だがシャチハタは不可 |
金融機関の口座番号 | 保険契約者本人の口座 解約返戻金を振込むために必要 |
本人確認ができる身分証明書 | 運転免許証など |
保険標章 | ナンバープレートに貼ってあるステッカーのこと 250ccまでのバイク対象 |
廃車証明書 | ・125ccまでのバイク 廃車証明書 ・250ccまでのバイク 軽自動車届出済証返納証明書 ・251cc以上のバイク 自動車検査証返納証明書 |
強制保険である自賠責保険の解約のためには、廃車したことを証明する廃車証明書は欠かせない。
自分で廃車手続きした場合、廃車証明書は手元にあることだろう。買取会社などに売った場合は、廃車証明書が後日買取会社から送られてくることになっている。
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必要ではないがあると査定交渉に有利なもの3つ
ここまではバイクを売るにあたって、用意することが必要な書類などについて備考してきた。しかし必要書類の他にも、もしあればバイクを売るときの査定にプラスに働く可能性があるものがある。
①整備記録簿
「整備記録簿」は、12ヶ月点検や24ヶ月点検のなどの定期点検を記録する用紙のことだ。いわばバイクのカルテといってもいいだろう。
251cc以上のバイクが車検を受けるために必要なものだが、バイクを売るための必須書類というわけではない。
しかしバイクがこれまでどのようなメンテナンスをされてきたかを証明できるので、バイク買取の査定交渉に役立つことがあるだろう。
②カスタム時に取り外した純正パーツなど
バイクの楽しみ方の一つとしてカスタマイズがある。主な例としてはマフラーを純正から社外品に交換している人も多い。
ただパーツが社外品に交換されていると、バイクを売る際の価格査定に対してマイナスに影響することがある。
しかし交換した純正パーツが残っているのであればマイナスにならないことが多いし、プラスに働くこともある。
パーツを社外品から純正品に戻す必要はなく、車体とあわせて査定してもらうといいだろう。その際には純正パーツをきれいに清掃しておくことが望ましい。
③サービスマニュアルやパーツリストなど
バイクを自分で整備するために役立つサービスマニュアルやパーツリストがある場合は、バイクを売るときに一緒に査定してもらうとよい。
サービスマニュアルなどは欲しいと考える人も多いし、中にはプレミアがついて高額査定されるものもある。
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バイクを売る前に必ず廃車手続きをすべき理由と手続きの進め方
バイクを売るときに必要となる書類の一つに廃車証明書がある。
バイク買取会社にバイクを売る場合は、買取会社がバイクを買い取った後に廃車手続きを代行してくれるので、大きな問題にはならないが、バイクを個人に売るときには、売り手か買い手のどちらかが廃車手続きをしなければならない。なぜなら、廃車手続きをしないことによってトラブルが発生する可能性が高いからだ。
【トラブルから学ぶ】個人間売買で廃車手続きを忘れてはいけない理由
バイクを個人に売ったときには、バイクの名義を売り手から買い手に変更しなければならないが、名義変更のためには先に廃車手続きが必要だ。
- 廃車手続きをしてから売る
- 廃車手続きせずに売って後日買い手に名義変更をしてもらう
このどちらかを選ぶことになるが、結論から言うと1の廃車手続きをしてから売ることをおすすめする。
それは廃車手続きをバイクの買い手にしてもらおうとして、トラブルに発展することが少なくないからだ。
発生したトラブルの例を見てみよう。
トラブル例①:名義変更されずに税金の請求が続く
これがもっとも多いトラブルだ。バイクの買い手が名義変更をしなかったために、バイクにかかる税金が元の持ち主に請求され続けるという問題が起こる。
トラブル例②:名義変更していないバイクで事故を起こす
これはトラブル例①よりも深刻だ。バイクの買い手が名義変更していないバイクで事故を起こした場合、警察の取り調べの過程で元の持ち主になんらかの影響が及ぶことは想像に難しくない。影響の度合いはケースバイケースだが、知らないでは済ますことはできないだろう。
バイクの廃車手続きの進め方
バイクの廃車手続きの方法は排気量によって異なる。また廃車手続きには次の2つの選択肢があるが、バイクを売る場合は「一時抹消登録」を選ぶこと。
●一時抹消登録:完全な廃車ではなく後日復活が可能。
●永久抹消登録:完全に廃車にして解体などの処分をする場合。
まとめ
バイクを売るためには必要書類をすべて揃えなければならない。そして必要書類はバイクの排気量ごとに異なるので注意が必要だ。
またバイク買取会社に売るのか、個人に売るのかによって、廃車手続きの有無が変わってくる。廃車手続きの有無によっても必要書類が変わるので十分に確認をしてほしい。
バイクを売るための必要書類を紛失したり破損したりすることもあるだろう。しかし担当する窓口にて申請をすれば再発行してもらえるので心配はいらない。
バイクを売るための必要書類には通常は含まれていないが、状況によっては追加で必要となる書類もある。必要に応じて準備しよう。
バイクを売ったあとは名義変更をしなければならないが、そのためにはバイクをいったん廃車手続きする必要がある。
買取会社に売る場合は廃車手続きを任せることができる。個人に売る場合は後のトラブルを避けるため、あらかじめ廃車手続きをしておくことが望ましい。
しっかりとポイントを押さえて必要書類を準備することで、遠回りすることなくスムーズにバイクを売却することができるだろう。