ハイレベル・バランスを常に追い続けるRCM
ACサンクチュアリーの製作するオーダーカスタムコンプリートのRCM(Real Complete Machine)。このカワサキZ1-Rはそのシリアルナンバー490という近作だ。前後17インチ化やフレームリフレッシュ/補強、ライフを確保した1045cc仕様エンジン等はおなじみRCMの文法による。そんな中でもすっきりしたストレートな作りや、フロントのラジアルマウントキャリパーは、最近の傾向のようにも見える。
「確かにそう言えるかもしれません。まずパーツについてはベーシックな仕様でいったんオーダーを受けて、後にアップグレードしていくのが主流でした。それが今は、初めから“このパーツで”というように、お客さんがハイグレードのものを決めてから製作に入ってます」とサンクチュアリー・中村さんは説明する。
「キャブレターもブレーキまわりも。それからタンクも、かつては錆取りを行ったノーマルでよかったのが、今ではそもそも錆びないビーター製アルミで最初から行くというような具合です。
ライフは、とくにエンジンでしょうか。少し前はライフ重視の仕様と、元気良さのパワー仕様とに分かれていたものが、今はライフもパワーもと、両立が望まれる。予算にもよるのですが、ベース車両が減って調達に費用がかかるのも一因です。その中でも楽しめるパワーがあって、かつライフも長いという仕様を望まれるということですね」と中村さん。シャシーともども、メーカー製車両のようなトラブルのなさ、冒頭のような仕上げのきれいさという部分もレベルが上がったという。
「実際には大変なんですが、日々進化する素材や技術、パーツによって、そうした難しさも徐々に解消されているんです。’19年にノーブレストから発売したオイルポンプは油温が5~10度C下げられて、油量とも安定化できてエンジンライフ延長につながりました。あとは定量化。各部数値を管理してパーツや作業のばらつきがなくなれば、できたものの質や性能も安定するんです。その繰り返しでレベルが上がっていくんですが、それが結果的にライフ延長にもつながる。この進化も面白いんですよ」
多くの台数が作られたからこそ、そしてパーツひとつひとつ、作業ひとつひとつが進化したからこそ作られる、安定した性能。この先の充実にも、目を向けておきたい。
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