再カスタムのための良質なベース機能も備わる
水冷DOHC4バルブにフルカウル、モノサスなどを備え、現代的な大排気量スポーツモデルのルーツとなった、カワサキGPZ900Rニンジャ。初出の1984年から35年以上が経つのに古びないスタイルや内容を見れば、今でも人気が高いことに納得がいく。ただ、今から手に入れてようとした場合、状態の良い車両に出遭うのは希なこと。生産終了の2003年からはもう15年以上が経つのだから、無理のないことだろう。
そう考えたときに参考になるのが、この車両だ。サンクチュアリーのコンプリートカスタム車、RCM(リアル・コンプリート・マシン)のニンジャだ。
同店代表、中村さんの言葉を借りれば、ニンジャRCMはこのような流れを持つ。
「ニンジャのRCMは2016年に今の“スポーツパッケージNew TYPE-R”に一新しました。シリアルナンバーで言うと、RCM-350からになります。それまでと異なるのは、エンジンオーバーホールメニューが加わったこと。それ以前ならA10以降モデルに絞って走行1万km以内、異音がないなどエンジンコンディションが良い車両を元にできたんです。
それが’15年頃にベースとして選べる車両が減ったので、エンジンもオーバーホールメニュー必須とし、内容を変えた、つまり作業が増えました。それから2年後の’18年にはフロントフォークをオーリンズ新型(RWU)に変えて、純正/オーバーサイズピストン終了のためにヴォスナー社にオーバーサイズ鍛造ピストンをオーダーして使うようにしました。これがVer.2018。その後も今のVer.2020含め、パーツの細かい見直し等は加えています。
ただ、フレームの17インチディメンション適正化=フォークオフセットやチェーンラインオフセット加工、コンビネーションキット使用(ダウンチューブとステップキットを連結してニンジャのダイヤモンドフレームをダブルクレードル化する)という基本はRCMニンジャ成立時にほぼできていて大きく変わらない。本当にレストア的メニューの比重が増えているんです」
17インチタイヤを履く現代カスタムとしての内容は既にあって、調達した車両のベースを、どう引き上げるかが現状ともいうわけだ。この車両は当初スポーツパッケージTYPE-R(セパレートハンドル仕様)として比較的早い時期に作られたRCM-116で、再入庫後にバーハンドル化。その後ふたり目のオーナーがフルペイントやブレーキ系、さらにサイレンサーなども変更して仕様を変えたものだ。その変更の際にリフレッシュも行われ、今製作されたような(その場合、500番台のナンバーが付いただろう)内容も得ている。
最初の製作時点で車両の内容がすべて分かるように作られ、その後の変更も同店で把握されている。しかも、17インチカスタムとして必要な加工も行われている。RCMニンジャのようなきちんと仕立てられたコンプリートを、ベース車として選ぶ。そこにはそんな安心感も付いてくるというメリットもあるわけだ。
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