スズキ「GSX-R750」各部装備・ディテール解説
乾燥重量はわずか179㎏。当時の750クラスの平均を40㎏も下回る数値は徹底した軽量化により達成された。
エンジンオイルを冷却に積極的に活用する「究極の空冷」こと油冷エンジン。85年に誕生し、その後もスズキの代名詞的エンジンとなる。
冷却用オイルポンプによりシリンダーヘッドに20ℓ/分もの流量で強制圧送。シリンダーヘッド側の8本のノズルからヘッド底部へ猛スピードで噴射される。
ライトをカバードとし空力特性をアップした大型カウルを装着。デュアルヘッドライトもGS1000R譲り。
エアプレーン給油キャップをオフセット。ブリーザーホース取り出し部がつき出た形状もGS1000Rを忠実にコピーしている。
レーサーライクなスポンジマウントの3連メーターは、中央にタコ、左にスピード、右は燃料計を配置する。
前後分割式のシートは足着き性もよく、軽量で足着きがいいという理由から、女性ライダーにも支持された。
φ300mmローターに4ピストンキャリパーをセット。ホイールサイズは耐久レーサー譲りの18インチ。
アルミ角型スイングアームを採用。リアも18インチで、2型以降ではホイールスポーク部の強度が上げられた。
ブルー×ホワイトの撮影車はシングルシートカバーが装着されているが、グラブバーは取り外されている。
戦闘力向上のため、高価な限定モデルが登場！
1989年4月 GSX-R750R
2代目GSX-R750をベースに、ワークスと同質のクランクやφ40mmスリングショットキャブを採用するホモロゲマシン。500台限定。
GSX-R750登場と同時に国内は空前のレースブームとなる。その盛況ぶりはレーサーレプリカブームで市販モデルがスポーツ性を身につけ、それをサーキットに持ちこむファンが多かったことの証。
GSX-R750も、1985年から全日本ロードレースTT-F1クラスを3連覇。しかし、相次ぐライバルの台頭でレベルアップを求められ、それが市販モデルにも及んだことで登場したのが、一連の「台数限定レーサーベースモデル」だ。
コスト高で販売台数も見込めないことから、レギュレーションで定められた最低台数だけ発売された。GSX-R750Rはベースモデルにアルミタンク、シングルシートを採用して登場。現在でも希少価値、完成度の高さからカリスマ的人気を誇るモデルだ。
文：中村浩史／写真：海保 研
※この記事は月刊オートバイ2011年8月号別冊付録を加筆、修正、写真変更などの再編集を施しており、一部に当時の記述をそのまま生かしてある部分があります。
