トライアンフ、BSAといった英国車が栄華を誇っていた時代に終止符を打ち、日本車最強時代の口火を切ったCBナナハン。しかしそのナナハンも相次ぐ後発ライバルの猛攻を受け、必然的に次なるヒーローの出現が求められた。アメリカを制覇したナナハンに続く第2世代が、ヨーロッパ制圧に向けて動き始めたのだ。

ホンダ「CB750F」主なスペックと発売当時の価格

画像1: ホンダ「CB750F」歴史解説・試乗インプレ|米から欧へ目を向けた「ノルマンディ上陸作戦」とは?
画像2: ホンダ「CB750F」歴史解説・試乗インプレ|米から欧へ目を向けた「ノルマンディ上陸作戦」とは?

●エンジン形式:空冷4 ストローク並列4気筒DOHC4バルブ
●内径×行程:62.0×62.0mm
●総排気量:748cc
●最高出力:70PS/9000rpm
●最大トルク:6.0kg-m/7500rpm 
●ミッション:5速リターン
●ブレーキ形式:前・後:ダブルディスク・ディスク
●全長×全幅×全高:2190 × 790 ×1125mm
●タイヤ前・後:3.25-19・4.00-18
●燃料タンク容量:20L
●ホイールベース:1515mm
●乾燥重量:227kg
●発売当時価格:59万5000円 ※諸元は1981年5月発売のFB(撮影車両)

ホンダ「CB750F」各部装備・ディテール解説

数々の先進装備を誇った第2世代世界戦略ナナハン

ニューエンジンは最強の呼び声高きエンデュランスレーサー・RCBのテクノロジーをフィードバックした、DOHC4バルブヘッドを持つ空冷4気筒。スタイリングも伸びやかなラインを描く「ストリームライン」を採用し、ナナハン誕生から10年目、まさに新しい時代を感じさせるものとなった。

4気筒を表すFOURの頭文字を取った、新生Fシリーズ。まずヨーロッパモデルとしてCB900Fがデビューし、同時に開発が進んでいたという750Fは1979年6月に国内発売を開始。

当時「ヨーロピアンスタイル」と呼ばれたFは、そのスタイリングもさることながら、コムスターホイールやジュラルミン鋳造セパハン、FVQダンパー内蔵のリアサスペンションなど、数々の最新装備が人気となり、たちまち世界中でベストセラーに躍り出る。

デビューから1年後にハロゲンヘッドライトを採用してマイナーチェンジ。リアディスクブレーキのパッドも変更されている。1981年5月には中低速域の扱いやすさを増すと同時に70PSにパワーアップ。デュアルピストンキャリパー、セミエアサスペンションなど足まわりも充実させた。

CB750FOURからCB750Kを介して一新されたエンジンは空冷方式のままDOHC4バルブヘッドへ進化。

画像: カムチェーンはクランクと排気側カムだけを連結し、別チェーンで吸排気カムを連結する7の字がけ。

カムチェーンはクランクと排気側カムだけを連結し、別チェーンで吸排気カムを連結する7の字がけ。

FBはブラックコムスターホイールとエンジンの冷却効果を上げるエアガイド付フロントフェンダーを採用。

圧側2段/伸び側3段の減衰力調整機構を備えるFVQダンパー採用。FCからはリザーバータンクを備える。

画像: 丸目1灯にダブルホーン、独立メーターによるシンメトリーなデザインこそ、もっともFらしいデザイン。ミラーはノンオリジナルでノーマルは丸メッキ。

丸目1灯にダブルホーン、独立メーターによるシンメトリーなデザインこそ、もっともFらしいデザイン。ミラーはノンオリジナルでノーマルは丸メッキ。

画像: 左右対称のメーターは黒地に白/赤の指針を採用。タコメーターのレッドソーンは9500 回転からとなっている。

左右対称のメーターは黒地に白/赤の指針を採用。タコメーターのレッドソーンは9500 回転からとなっている。

画像: Fのヨーロピアンスタイルイメージを決定付けたフューエルタンク。タンクキャップはキーロックアーム付き。

Fのヨーロピアンスタイルイメージを決定付けたフューエルタンク。タンクキャップはキーロックアーム付き。

画像: 撮影車はアンコ抜きにより上下段差が大きくなっているが、ノーマルは段差のないフラットなシートを採用。

撮影車はアンコ抜きにより上下段差が大きくなっているが、ノーマルは段差のないフラットなシートを採用。

画像: FBからはキーロック付き小物入れを装備。ステッププレートやキャリパーなど年式間で流用できるパーツも多い。

FBからはキーロック付き小物入れを装備。ステッププレートやキャリパーなど年式間で流用できるパーツも多い。

画像: いかにも重そうな鋳造のステッププレートは1981年のFBまで継続。1982年式の750FCでは肉抜きタイプに変更。

いかにも重そうな鋳造のステッププレートは1981年のFBまで継続。1982年式の750FCでは肉抜きタイプに変更。

画像: 4-2構造の左右2 本出しメッキマフラーを採用。「バリバリ伝説」の影響によりモリワキ製集合マフラーが定番に。

4-2構造の左右2 本出しメッキマフラーを採用。「バリバリ伝説」の影響によりモリワキ製集合マフラーが定番に。

ホンダ「CB750F」の系譜

短命だが記憶に強く刻まれたRCBレプリカ、CB-Fの系譜

日本ではCB750Fと共通のシャシーとエンジンを採用し、異なる外装を与えられたCB750Kが1978年12月に先行デビュー。翌年6月にホンダの新しい旗艦となる初期型CB750FZが登場。前後に長いタンクからサイドカバー、空気の流れを感じさせるテールカウルへと至る流麗なラインや板状のスポークを持つアルミ製ホイールも外観上の特徴となった。

1981年5月のマイチェンで最高出力を2PS増大、最大トルクは0.1kg-m上乗せして、発生回転数を500rpm引き下げて低中回転域での扱いやすさを向上。1982年にはハーフカウルのインテグラも登場した。

1978年12月 CB750K[KZ]

CB750としては10 年ぶりのフルチェンジとなった「K」。RCB 譲りのDOHC4バルブヘッドや軽量なコムスターホイール、FVQダンパー内蔵リアショックなど、メカニズム的には大幅にアップデートされた。

1979年6月 CB750F[FZ]

セパハン、トリプルディスクブレーキ、アジャスタブルショックなどの装備を満載し、デビューするや750クラスの販売記録を塗りかえる爆発的なヒットとなった。輸出モデルでは79馬力を発揮した。

1980年6月 CB750F[FA]

画像: デビューから1 年後にハロゲンヘッドライトを採用してマイナーチェンジ。リアディスクブレーキのパッドの厚みを増してより耐久性を高めるなど、装備の充実が図られている。

デビューから1 年後にハロゲンヘッドライトを採用してマイナーチェンジ。リアディスクブレーキのパッドの厚みを増してより耐久性を高めるなど、装備の充実が図られている。

1982年6月 CB750F[FC]

画像: フロント18インチ化、ワイドリム化、フロントフォークの大径化、リザーバータンク付きリアサス、セミメタルパッドのデュアルピストンキャリパー採用など、足まわりがCB1100R譲りのものへ大幅に進化した。

フロント18インチ化、ワイドリム化、フロントフォークの大径化、リザーバータンク付きリアサス、セミメタルパッドのデュアルピストンキャリパー採用など、足まわりがCB1100R譲りのものへ大幅に進化した。

文:中村浩史/写真:松川 忍

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