語り:伊藤真一/まとめ:宮﨑健太郎/写真:松川忍/モデル:大関さおり
まるでモーター付きのハイブリッドモデルのようにスムーズに回り、スピードの乗りも良いクロスカブ!

Honda「CROSS CUB110」くまモン バージョン
●全長全高全幅:1935×795×1090㎜ ●軸距:1230㎜ ●シート高:784㎜ ●車重:106kg ●エンジン:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 ●排気量:109cc ●ボア・ストローク:50.0×55.6㎜ ●圧縮比:9.0 ●最高出力:8.0PS/7500rpm ●最大トルク:0.87kg-m/5500rpm ●燃料タンク容量:4.3L ●キャスター角:27°00′ ●トレール:78㎜ ●ブレーキ:ドラム・ドラム ●タイヤ:80/90-17・80/90-17 ●税込価格35万2000円(くまモン バージョン)
最初に乗ったのは、クロスカブ110の方でした。ベースとなったスーパーカブ110は以前この連載でも取り上げましたが、スーパーカブに比べてクロスカブはエンジンのフィーリングがすごく滑らかになった印象を受けました。
あと、スーパーカブに試乗したときも、1980年代のモデルに感じた自動遠心クラッチの「ガッチャンコ感」が少なくなったと思いましたが、今回乗ったクロスカブはクラッチが繋がったときのショックがなく、スッと繋がるんですね。これもより良くなった、と感じる部分でした。
「ガッチャンコ感」がないのは、自動遠心クラッチの設計とセッティングの良さからなのでしょう。ただエンジンがより滑らかになったのは何故なのか、不思議に思いました。スーパーカブよりも低速が出ていて、振動も少なくて回転のフリクション感もない。
ホンダ車は細かい改良が施されることが多いので、その改良の成果なのかもしれません。クロスカブはRVっぽい見た目なのでもっと荒々しい走りをするエンジンなのかと予想したので、すごくスムーズな吹け方をするエンジンで、ちょっとビックリしました。言い方は変ですが、PCXハイブリッドみたいにモーターでアシストしているような、そんな滑らかさでした。

今回試乗したクロスカブ110は、スタンダードより1万1000円(税込)高い、くまモン バージョン(グラファイトブラック)でした。
スペックの数字を見比べると、クロスカブはスーパーカブよりも7kgも重いのですが、スピードの乗りも良くて走っていて重さは感じませんでしたね。2次減速比がスーパーカブよりローギアードなのも、低速が良くなったと思わせる要因なのかもしれません。
車体については、サスペンションも前後へ過度にピッチングするわけでなく、クッションストローク時にサスペンションが良く動いていました。
あと、乗り心地の良さがとても印象に残りましたね。タイヤの設定が良いのでしょう。路面の凹凸をトレッド部の変形で包み込むエンベローブ特性が良い印象のタイヤで、前輪タイヤがスーパーカブよりも幅がちょっと太くなっているのも、乗り心地の良さに結びついているのだと思います。
クロスカブのライディングポジションは大柄な自分にはちょっと窮屈でしたね。シート後端に座ってもハンドルが膝に近い感じがしたので、もうちょっとバーハンドルを前に倒した位置にしたいな、と感じてしまいました。

50㏄版より厚手の、クロスカブ110用のシートを開けると、燃料タンクの給油口へのアクセスが可能になります。「4.3リットルの容量でしたら、航続距離的にはかなり走れそうですね」

カモフラージュ柄をあしらったオシャレなデザインのメーターを採用。1~4速各ギアの守備範囲を示した速度計、燃料残量計、積算計、そしてニュートラルなどの、各種インジケーターが備わってます。

丸目のLEDヘッドライトを守る、無骨なクロスカブ専用デザインのヘッドライトガードを装着。レクリエーショナルビークル的な、クロスカブのスタイリングの重要なアクセントにもなっています。