17インチ最適化したハードにオリジナリティを盛り込む
アメリカ・カリフォルニアのRadical Construction Manufacture USA Inc.(RCM USA)社でオリジナルフレーム+1045cc仕様のカワサキZ系エンジン+FIのコンプリート車を30台限定で製作。
これを日本のACサンクチュアリーで各部モディファイを行うという形で作られるコンプリート新車の「RCM USA A16」。
簡素とも言えるスタートエディションが基本となっていて、そこから各オーナーが好きなスタイルや各部パーツを選んで換装もしくは追加し、それぞれをほぼオリジナルの状態にまで仕立てる車両でもある。
この車両はそのA16のうち、シリアルナンバー003を付けて2019年春に完成したもの。Z1-Rスタイルのビキニカウルをフレームマウントし、タンクはオーナーのオーダーした形状でワンオフ。テールカウルはシングルシートタイプにする一方で内部を小物入れにする実用性も持たせる。
当然ながらこのA16オリジナルフレームが狙ったのは、鋼管ダブルレードルの前後17インチ最適仕様。それでいてエンジンはZの空冷2バルブ4気筒が載る。ここが一番大事なんです、とサンクチュアリーの中村さん。
「A16、内輪ではイチロクと呼んでいますが、これは当店で前後17インチ化して作ったコンプリートカスタムのZ系RCM(リアル・コンプリート・マシン)で、最後にフレームを換えたと考えてもらうと分かりやすいと思います。
Z系で19/18から前後17インチ化すると、タイヤも小径化して車高が下がります。ただ下がると運動性能に悪影響が出ますから、それを補正するべく車高を上げる方向でスイングアーム角度を強く垂らすことになります。そこでA16の場合ですが、前もって17インチ対応を考えていますから、スイングアームピボットをZのノーマルから10mm、フレーム本体側で下げています。
ですからその分垂れ角を付けないでリヤ車高を確保できる。つまりアンチスクワットを制御して、運動性能も確保できます。このあたりはもう10年以上も前から考えてきて、それがA16で実現したんです。
ほかに大容量ヘッドベアリングが使えたことでフロントまわりの安心感や旋回性も向上する等のメリットも生まれました」
その上で、このA16-003では前述のような構成とスペシャル感あふれる塗装、それからブルー&ブラックでハードパーツもまとめるなど、カスタムらしい作り込みも採り入れている。30台が用意されながら1台1台に高い独自性が込められるというのはこういうことなのかと納得のいく作りと言える。
通常のRCM-Zではエンジンへの自由度や、Zのエンジン+フレームがベースというアイデンティティがある。対してA16は、Zのエンジンをこの上ない17インチシャシーで完成させたアドバンテージがある。この003を見て、新しい意欲が湧く人もいるのではないか。