漫画の世界は接客業。プロとしてやるからには、読者人気が一番。そう痛感した楠先生だが、「それは半分正しく半分間違い」であった。
©楠みちはる/講談社 ※全ての写真及び記事の無断転載を硬く禁じます。
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第14回「メモを残してバッくれる」
「店に来るお客はストレスを出しに、毒を出しに来るけど、漫画を買う人は面白さを求めている。面白さとは、つまり夢です。
プロの漫画家になりたい。連載をしたい。人気を取りたい。頑張ることが即物的な考えに直結して、大事なことを見落としていました。
人気はAクラスに安定し、お金も入ってくる。四畳半から2DKのマンションに移り、専属のアシスタントも雇う。原稿は3日で上がる。もう朝から晩まで一週間、机にかじりつく必要もない。仕事における条件はほぼベスト。
なのに原稿をオトしました」。
時は1982年。空前のバイクブームが始まる年だ。
「アイデアが出なかった? いいえ、単に描くのが面倒くさくなったからです。夜中、誰もいない編集部に行き、副編(進行担当)の机に『今週は休みます』とメモを置き、逃げたのです」。
バイクブームにより、バイク漫画である「ララバイ」にも強力な追い風が吹いている、はずであった。しかし、24歳の楠先生は「バイクから気持ちが離れていく」自分を、なぜか醒めた目で見つめていた…。
(以下、第15回「バイクブームに背を向けて…」をお楽しみに!)
過去の回は、こちらからご覧いただけます。
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