©楠みちはる/講談社 ※全ての写真及び記事の無断転載を硬く禁じます。
第8回「今日からプロの漫画家だ」
「1978年の夏、月刊少年チャンピオンでデビューの話が来ました。ただしページの空き待ち。つまり『本には載せるけど、ちょっと待っててね』ということ。
自分がプロになってわかるんですけど、これは代原(代替原稿)扱いなんです。つまり連載陣の誰かが最近苦しく、原稿をオトしそう、なんですよ。
デビューの話は嬉しかったですね。そういう事情を知っていても嬉しかったと思います」。
78年12月ついに、漫画家・楠みちはる、デビュー。掲載誌は、「月刊少年チャンピオン」。当時、ナンバーワンの部数を誇ったのは「週刊少年チャンピオン」で、そこで連載するのが楠先生の目標であった。
「『さあ始まる。今日からプロの漫画家だ』と思いました。掲載されてから2カ月に1本原稿を仕上げて送ります。でも、その後、チャンピオンには二度と載りませんでした。
80年3月。荷物をまとめ上京です。手持ちのモノを処分して金を作ります。朝、大阪を出て、昼に東京、その日のうちに部屋が決まらなければ公園で寝るつもりでした」。
Z2もXT500も手放した。上京費用にあてるためだ。特にZ2を売却したときは身を切るような辛さがあった。でも、本当になりたいものになるためには、なにかを手放さなければならない。プロの漫画家になるという大きな夢に近づくには、Z2という代償が必要だった…。
東京に出て、四畳半のアパートを借り、楠先生はプロの漫画家への道を一直線に突き進む…、はずであったが、首都高環状線や横羽線をカッ飛ぶ日々が始まったのだった。
(以下、第9回「ヨンフォアとホークⅡ/Ⅲと湾岸ミッドナイト」をお楽しみに!)
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