完成車に加えられる現代的アップデート
スズキGSX1100Sの登場直後からAMAスーパーバイクを走らせ、’90年代ネイキッドブームの際はNK1レーサーを仕立てたヨシムラが’01年に5台限定で送り出した17インチコンプリート車、刀1135R。各部補強や17インチ最適化、また1135ccのエンジンなど、カタナカスタムの中でも最高峰的な存在として知られてきた。
その2号車は最初のオーナー、そして次のオーナーとも、同じクォーター(ヨシムラテクニカルショップでもある)で長年メンテナンスを受けてきた。現オーナーになってからはヨシムラ公認の上でブラックアブソリュートTMR‐MJNキャブレター化やブレンボラジアルキャリパー化も行われた。
そのため(シリアルナンバーが入るトップブリッジは1135Rのままでいたい、そして1135Rのフォーク自体はスペシャルメイドのφ45mmだった)にフロントフォークも改修するという凝りようでだった。
その2号車の最新アップデートは、ドライカーボンタンク化。この新作タンクはカタナ/1135Rのそれと同じようにカウルとの合わせラインもまったく違和感がなく作られた(これは同店・平田さんの見識で、ラインずれで試作1個目は没)上に、1135Rのブラックとカーボン地を生かしたサイドワインダーズによるペイントも施される。
重量は最初の入庫時で燃料なし197.5kg。フォーク改修で少し重く、今回のタンク換装で軽くなってでそこからはプラマイゼロとは言うものの、車体の上まわりが軽くなったことでの軽快感アップは間違いないところ。ただ、いったん完成している車両、しかもカスタム車を元に新たなパーツを加えて再構築を行うのは、実は難しいことでもある。そこを成功させている点にも注目しておきたい。
平田さんはこの1135Rからもカタナのフレーム補強のキモを見抜き、18インチ化する車両にもフィードバックしている。カタナだから、というだけではなく、バイクはどうなると調子が良くなるか。そして各オーナーが知らない(パーツや加工等の比較対象がない)世界に対して、そこをよく知る平田さんが良くなることを提案し、一緒に手を入れていく。
この後にもこの1135Rにはさらなるカスタムの提案があるとのことで、進化は止まらなさそうだ。