80年代のフラッグシップとして生まれたカタナ
GS1000の後継機であるGSX1100Eが当時最強スペックを搭載しつつも、その野暮ったいデザインで人気を獲得できずにいたが、既にスズキは80年代の新たなフラッグシップモデルを生み出すべく、デザインをターゲットデザインに託すことを決定していた。
発売当時世界最高の111PSをマークしたエンジンを搭載していた1100カタナであったが、81〜82年頃というのは、日本のオートバイがどんどん性能向上を果たしていた時代だ。
カウリングが認可され、アルミフレームもラジアルタイヤも実用化されようとしていた。
82年暮れには、ホンダが水冷V4のVF750Fを発売して、翌83年にはスズキだってレーサーレプリカの象徴ともいうべきR250Γをリリースしている。
こんな時代に突入してしまうと、カタナは充分に時代遅れだった。
84年にはGPZ900Rニンジャが発売され、水冷エンジンが一般的になり始めていたこともあり、車重が250㎏の空冷エンジン車となると、なかなか古さは隠せなくなる。
しかし、カタナは色褪せなかった。
時代がどんなにスポーツバイクに向かおうとも、カタナはカタナであり続けた。
カタナがフラッグシップとして目指したのは最強・最速ではなく、カテゴライズされない唯一無二の存在だったのだ。