刷新されたエンジン・車体に最新の電子制御を搭載して、16年の空白を経て国産最強のモタード・DRが復活した。街乗りからタイトなワインディングまで、昔ながらの俊敏さと現代的な扱いやすさを併せ持つ、新生モデルの走りの真価について試乗レポートをお届けする。

文:太田安治 写真:関野 温、南 孝幸
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スズキ「DR-Z4SM」インプレ(太田安治)

電子制御で魅力を高めた本格モタード

舗装路とダート路を組み合わせたコースで速さを競うモータースポーツが「スーパーモト」。アメリカ発祥で、ヨーロッパでは「スーパーモタード」と呼ばれる。参加車両はモトクロッサーなどをベースに舗装路面にも対応したホイール/タイヤを装着するなどのモディファイを加えたものだが、やがてスーパーモタードがひとつのカテゴリーとして確立されると、最初からこうした仕様で作られたモデルも登場するようになった。

中でも2004年に発売されたDR-Z400SMは国産最強モデルの呼び声が高く、モタードレースやジムカーナ競技、サーキットで圧倒的なパフォーマンスを見せつけたが、環境規制対応のため2009年に惜しまれつつ生産を終了した。

そして16年間の空白期間を経て、2025年10月に登場したのが新型DR-Z4SM。規制対応のマイナーチェンジではなく、エンジンから車体までフルモデルチェンジされている。

画像1: スズキ「DR-Z4SM」インプレ(太田安治)

走り出してすぐに感じたのは扱いやすいパワーデリバリー。400ccの単気筒エンジンだけに、低回転域ではギクシャクし、トップエンドでは重ったるく回るイメージを抱いていたが、このエンジンはどの回転域でもフリクションを感じさせない。低回転域から加速させるとビッグシングルらしい蹴り出し感があるが、回転フィーリング自体は軽やかなままだ。

画像2: スズキ「DR-Z4SM」インプレ(太田安治)

パワーモードは3種類あり、どのモードでもピークパワーは38PS。「A」は実際のスロットル開度よりも鋭く反応し、一気にトップエンドまで吹き上がる痛快な特性なのだが、鋭すぎて扱いにくいと感じるライダーもいるだろう。逆に「C」は開け始めの反応が鈍くなり、完全に濡れた路面向き。公道走行なら自然なレスポンスで車体姿勢もコントロールしやすい「B」が適している。トラクションコントロールは「OFF」を含めて4段階あるが、こちらは「1」のままでいいだろう。

画像3: スズキ「DR-Z4SM」インプレ(太田安治)

モタードモデルはオフロード車ベースなので前後のサスペンションが長い。DR-Z4SMはフロント260mm、リア277mmというホイールトラベル量で、同社のGSX-8TTの2倍以上もあるから、衝撃吸収性は言うまでもなく高い。標準セッティングだとフロントがソフトめで加減速時のピッチングが大きいが、その車体挙動をブレーキとスロットル操作でコントロールできる面白さはモタードモデルならでは。動きすぎて扱いにくいと感じるなら、フロントのダンピングを強めて姿勢変化の速度を抑えてやればいい。車体の剛性バランスも何ら不満なしだ。

画像4: スズキ「DR-Z4SM」インプレ(太田安治)

ロードスポーツモデルから乗り換えると腰高で直進安定性も頼りなく感じるものの、ワインディングに入ると「これぞモタード!」と嬉しくなる俊敏さを見せつける。ジムカーナ競技での好成績からも判るように、タイトターンが続く峠道なら間違いなくスーパースポーツモデルより速く駆け回れる。

ライダー主導で操る楽しさを、電子制御がアシストしてくれるのが新型SMの魅力。決してマニアックなモデルではなく、普段使いでも充分に楽しめる仕上がりだ。

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