BMWのアドベンチャーモデルに新たに加わった注目の新星・F450GS。420cc並列2気筒エンジンと軽量な車体に、GSならではの「旅性能」を凝縮した注目の1台だ。今回は上級仕様の「GS TROPHY」に初試乗。市街地から高速道路、峠道、林道までさまざまなステージを走り、その扱いやすさと走破性の高さ、イージー・ライド・クラッチの実力を確かめてきた。

文:太田安治、webオートバイ編集部 写真:南 孝幸
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BMW「F450GS」インプレ(太田安治)

画像: BMW F450GS 総排気量:420cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:845mm 車両重量:178kg 価格:96万1000円~103万3000円 発売:2026年5月19日(予約受付開始、納車は9月上旬以降) ※試乗車はGS TROPHY(103万3000円)

BMW
F450GS

総排気量:420cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:845mm
車両重量:178kg

価格:96万1000円~103万3000円
発売:2026年5月19日(予約受付開始、納車は9月上旬以降)
※試乗車はGS TROPHY(103万3000円)

従順なエンジンと手に余らない車格、充実装備と魅力満載

市街地、高速道路、峠道、林道の全てを走って実感したのは「F450GSはまさしくGSシリーズの一員であり、BMWのファン層を広げる使命を果たす1台」ということだ。

試乗したのはF450シリーズのフラッグシップとなる『GSトロフィー』。レーシングブルーの明るいグラフィックとハンドプロテクター、ラジエターシュラウドの存在もあって前から見ると大柄な印象を受けるが、実際はミドルサイズとして標準的な車格だ。

画像1: BMW「F450GS」インプレ(太田安治)

今回試乗したGSトロフィーはスポーツサスペンションが標準装備でシート高は845mmあるものの、足元がスリムで足を降ろしやすく、身長176cm(股下83cm)のテスターで両足の踵が少し浮く程度なので、アドベンチャーモデルとしては良好な足つき性だ。

しかも車重は単気筒のG310GSより3kg重いだけの178kg。ライバル視されているCFMOTOの450MTが185kg、ホンダのNX400が199kgだから、軽量化への拘りが感じられる。

画像2: BMW「F450GS」インプレ(太田安治)

完全新設計のエンジンは420cc。BMWの説明によると排気量はヨーロッパのA2免許上限である48PSに合わせてエンジンを作り込んだ結果とのことだ。コンパクトな並列2気筒エンジンはR1300系のように低回転域から強大なトルクを発生するわけでも、F900系のように中回転域でレスポンスが際立つ特性でもなく、どの回転域でも徹底的に従順。3000回転台から9000回転までフラットなパワーデリバリーで、スロットルをラフに操作しても唐突な反応は出ない。

引き換えにエキサイティングさは薄いが、この特性は滑りやすいダート路面でも安心してスロットルを開けられ、シフトチェンジの頻度も少なくて済むように、開発段階から意図的に作り込まれたものだろう。

6速・100km/h時のエンジン回転数は5500回転で、パワー不足は一切感じないから、タンデム+荷物満載の120km/h巡航も余裕でこなせるはずだ。ただし、4000回転を超えるとステップとハンドルに伝わる細かい振動が徐々に増えるので、80km/h前後が最も快適なクルージング速度になる。

この速度域なら燃費は30km/Lを優に超え、このバイクで北海道をツーリングしたライダーからは満タンで500km近く走ったと聞いた。これも重要な「旅性能」のひとつだ。

画像3: BMW「F450GS」インプレ(太田安治)

「日本1周なら最高の相棒になる」と感じたのがハンドリング。前後のサスペンションストロークは180mmと長めの設定ながら、ふわついた動きがなく、急な加減速でのピッチングモーションが抑えられている。体感的には「素晴らしく乗り心地のいいネイキッドスポーツ」といったところ。

画像4: BMW「F450GS」インプレ(太田安治)

試しに林道も走ってみたが、ストロークの奥で踏ん張りが効き、あえて大きめのギャップを超えても車体は弾かれにくかった。舗装路での快適さとダート路面での安心感。この見事なバランスに「GSらしさ」を強く感じた。

画像5: BMW「F450GS」インプレ(太田安治)

そして、F450GSの最大の特徴がERC(イージー・ライド・クラッチ)の採用。クラッチの断続を機械的に行なう機構で、考え方としてはホンダのカブ系が採用している自動遠心クラッチと同じだが、操作感は通常のマニュアルミッション+アクチュエーターによるクラッチ断続システムのホンダEクラッチシステムに近い。

エンジンが約2700回転を超えるとスムーズにクラッチが繋がって後輪に駆動力が伝わり、減速時は停止寸前までクラッチが繋がっているので極低速域で空走することもない。アップ/ダウン両対応のクイックシフター「ギアシフトアシスタント・プロ」との組み合わせにより、普通に走らせていればクラッチ操作は不要。ただ、クラッチレバーを残してあるので、フロントをリフトアップしたり、リアをパワースライドさせるといったアクションも通常のMT車と同様に行なうことも可能だ。

画像6: BMW「F450GS」インプレ(太田安治)

それにしても税込み103万3000円という価格設定には驚いた。今回、2日間にわたって様々なロケーションで試乗し、装備を細かくチェックしたが、正直「安過ぎる」とさえ感じる。これは購入ハードルを下げ、若いライダーにもBMWファンを増やす、という販売戦略あっての価格設定だろう。

しかし、個人的には、このF450GSはベテランライダーのダウンサイジング需要にこそ最適だと思う。余裕たっぷりのツーリング性能と大きく見える車格、BMWというブランド、そして大型免許が必要ということもベテランのプライドをくすぐる大きな理由になる。BMWモトラッドのエントリーモデルとしてだけでなく、ベテランの要望にも応える「相棒」として、F450GSが日本でも高い人気を呼ぶことは間違いないだろう。

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