文:太田安治 写真:赤松 孝
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ホンダ「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」インプレ(太田安治)

HONDA
CB400 SUPER FOUR E-Clutch
2026年モデル
総排気量:399cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:780mm
車両重量:187kg
価格:99万8800円
発売:2026年8月21日
軽快なフットワークと伸びやかなパワー感が生む爽快な走り
CB400スーパーフォア(以下SF)は1992年の初代登場以降、エンジン・車体ともに改良を重ねに重ね、400ccネイキッドの王道を歩んだ。環境規制の強化によって2022年に生産終了した後も後継モデルを望む声が多かったが、日本国内市場の縮小と規制対応による生産コストの上昇を考えると、4気筒400cc車の復活は難しいとされていた。
風向きが変わったのは中国を始めとするアジア市場の活況だ。生活の道具として小排気量車需要が大きいことに加え、所得の増加によって趣味の乗り物としてスポーツモデルの人気が急上昇したのだ。そこで中国市場向けに開発されたCB500SFと共に企画されたのが日本向けのCB400SFだ。
車名こそ前モデルから受け継がれているが、エンジンから車体まで、全てが新設計。モデルチェンジではなく、完全なニューモデルだ。しかも単にCB500SFをスケールダウンしたモデルではなく、塗装から組み立てまでを熊本工場で行う「メイドインジャパン」とすることで、目の肥えた日本人ライダーを納得させるクオリティに仕上げられている。
実車に触って最初に感心したのが取り回しの軽さ。車重が先代のSFより14kgも軽い187kgに収まっていることに加え、マスの集中化(重量のあるパーツを車体重心に近付けること)が効いているのだろう。しかも足つき性もいい。
シート高は先代SFより25mm高いが、実際に跨がってライダーの体重が載ると、前後サスペンションがスッと沈み、さらに内腿に当たる部分をそぎ落としたシート形状で脚を真っ直ぐに降ろせるから、体感的な足つき性のよさは先代と変わらず、小柄な女性ライダーでも臆さず乗り出せる。

試乗日は雨が降ったり止んだりで、路面のコンディションが刻々と変わる状況だったが、ここで優位性を発揮したのがEクラッチと4気筒エンジンのコンビネーションが生むスムーズな駆動力制御だ。濡れた路面での発進、特に路面にペイントがある部分では後輪のスリップに注意が必要だが、新型SFはスロットルを開けるだけで微妙な半クラッチ状態から完全に繋がるまでを見事にこなす。
僕は自動クラッチを「濡れた路面でのUターンが怖くないか」を要件に入れて評価するが、過去に乗った自動クラッチ車の中でも、新型SFのEクラッチはトップレベル。わずかなスリップも検知して、トルクコントロールが気付かないうちに介入してくれるから、クラッチレバー操作の必要性は感じなかった。

新型Sfの直列4気筒エンジンは先代SFと同じボア×ストロークだが、そのフィーリングは異なる。
先代のSFはハイパーVTEC(エンジン回転数に応じて吸排気バルブの作動数を2本⇔4本に切り替えるシステム)によって、6000回転台を境にトルク感とパワー感、排気音がクッキリ変わる正確に仕立てられているのに対し、新型SFは淀みなくストレートに吹け上がる。
5000回転程度までの低中回転域でのトルクが薄れた感もあるが、車重が軽くなっているから実際の動力性能は互角だろう。6速・100㎞/h時は6000回転で不快な振動は一切なく、高速道路クルージングも快適そのものだ。
「スポーツ」モード”では9000回転弱から1万2000回転のトップエンドまで力の厚みが増し、吸気音の響きも大きくなってスポーツ心を満たしてくれる。
今回の試乗はウエット路面が多かったせいで、その本領を充分に発揮させるまでには至らなかったが、タイムラグを切り詰めたクイックシフター、ストローク奥でグッと踏ん張る前後サスペンション設定との組み合わせで、サーキットでも気持ちよく走れるのではないかと思う。
ハンドリングは先代SFよりも軽い。先代はフロントタイヤがネッチリと路面に張り付く感覚で安定性が高かったのに対し、新型は速度域に関係なく軽快に向きが変わる。逆に言えば重厚感が薄れたとも言えるが、SFが走るステージを現実的に捉えれば、この味付けの方が合っていると思う。

乗り心地はスタンダードなネイキッドモデルとして何ら不満のないもの。前後サスのリバウントストローク量をもう少し増やして、もっと優しい乗り心地にしてもいいのでは、とも感じたが、引き換えにピッチングモーションが増えることで扱いにくさを感じるライダーもいるはずだから、このあたりがちょうどいいポイントなのだろう。
普通二輪免許で4気筒モデルに乗りたいというライダーがこの新型SFのメインターゲットになるだろうが、大型車からのダウンサイジングを考えるベテランをも満足させてくれる仕上がりだ。
