油冷で築いたGSX-Rの個性は、1992年の水冷化で大きな転機を迎える。軽さとメカ感を武器にした時代から、高回転・高出力へと進化。伝統の構造を一部に残しつつ、新世代スーパースポーツへ踏み出した過渡期を象徴する一台だ。

文:沼尾宏明 まとめ:オートバイ編集部
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スズキ「GSX-R750」(1992-1995)解説

画像: SUZUKI GSX-R750 (GR7BC/WN) 1992年

SUZUKI
GSX-R750 (GR7BC/WN)
1992年

GSX-R750 (GR7BC/WN・1992年)各部装備解説

最後のダブルクレードルフレームを継承し、細身の車体感を守ったのが特徴。倒立フォークとリンク式モノショック、前後17インチ化で路面追従性と安定感を高め、油冷最終型より切り返しも軽快で素直なハンドリングに仕上がった。

画像1: GSX-R750 (GR7BC/WN・1992年)各部装備解説

油冷の荒々しさから、水冷の鋭さへ

油冷最終型は、オイル冷却を活かした“メカ感”の濃いエンジンだった。1992年型は水冷化で熱管理と高回転域の安定性を高めつつ、油冷の知見も生かした設計に進化。

シリンダーピッチの短縮やバルブ挟み角の最適化でコンパクト化を実現し、キャブの開度センサーで応答性も向上した。


油冷GSX-Rで見られたガラスレンズの2眼イメージを受け継ぎつつ、水冷化に合わせてフロントマスク全体がよりシャープに整理されている。

画像2: GSX-R750 (GR7BC/WN・1992年)各部装備解説

視認性を重視した3連アナログメーター(下写真)で、スポーツ走行に必要な情報を端的に表示。過度に装飾せず、走りに集中できる実戦的なメーター。

画像3: GSX-R750 (GR7BC/WN・1992年)各部装備解説

●エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒●総排気量:749cc
●最高出力:77PS/9500rpm●最大トルク:6.8kgf・m/7000rpm●車両重量:208kg(乾燥)
●シート高:780mm●燃料タンク容量:20L●変速機形式:6速リターン
●タイヤサイズ 前・後:120/70ZR17・170/60ZR17


一部油冷でフレームも継続。魂を継承しつつ進化した

アドバンテージがあった油冷だが、水冷の進化は著しく、油冷並みの軽量コンパクト化が可能に。加えて、レースの高出力化が進み、油冷ではもはや冷却が困難になりつつあった。

こうして1992年型で水冷エンジンにスイッチを果たす。ただし「水油冷」と呼ぶべき独特な構造で、シリンダーヘッドとシリンダーは水冷、ピストン裏面に高圧でオイルを噴射する油冷を継続採用していた。

ボア×ストロークは従来型と同様ながら、主要パーツを刷新。その結果、エンジン幅が50mm以上コンパクト化した。一方でラジエターを収めるため、軸間距離は15mm増加している。

時代はツインスパーフレーム全盛だったが、シンボルであるダブルクレードルを新設計して継続。カウルは、より空気抵抗が少ないフォルムとしている。

初代の象徴的なメカを残しながらパワー増やコンパクト化は果たしたものの、代償として車重が初代比で31kg増加。強みだった軽さが損なわれる結果に。レースでの成績も奮わず、R750も過渡期を迎えた。

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