文:横田和彦 写真:赤松孝、南 孝幸
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KTM「1390 SUPER ADVENTURE S EVO」インプレ(横田和彦)

KTM
1390 SUPER ADVENTURE S EVO
総排気量:1350cc
エンジン形式:水冷 4ストDOHC 4バルブ V型2気筒
シート高:847/867mm
車両重量:223kg
価格:325万円
発売:2026年4月
最先端の電子制御システムを満載した、アドベンチャーツアラー
1390スーパーアドベンチャーSエボは、先進技術を満載したKTMアドベンチャーシリーズのフラッグシップモデルだ。クラッチレバーがないAMT(オートメイティッドトランスミッション)、より精度を増したACC(アダプティブクルーズコントロール)、走行状況を判断して瞬時に調整して乗り心地を高めてくれるSAT(セミアクティブテクノロジー)などを搭載するが、その内容は同じような先端技術を搭載した市販車の中でもトップクラスといえるもの。特にACCは一般的な減速ならば完全停止までサポート。四輪のACCに近付いた印象だ。

もちろん、こうした電子制御を必要としない人もいるだろう。しかし長距離移動での疲労を減らし、とっさの場面で安全性を高めてくれる機能に魅力を感じるライダーがいるのも事実。技術の進歩はバイクを操る楽しさをスポイルするものではなく、ライダーの能力を補い、より遠くへ安心して走る余裕を与えてくれるものであることが望ましい。果たして1390スーパーアドベンチャーSエボの先進システムは、どのように感じられるのだろうか。

実車を前にすると大柄なシルエットに圧倒されるが、またがってみると意外と足つきがいい。タンクはボリューミーでハンドル幅も広めだが、これなら自分のようなそれほど背が高くないライダーでも普通に乗れると感じた。そして、コーナーでの寝かし込みや切り返しが軽快なのはKTMらしいところだ。大型バイクとは思えないキビキビとした走りを体感させてくれる。
エンジンを始動するとVツインらしい排気音に混ざって機械音が響く。メカニカルな存在感がKTMらしいともいえる。最初はクラッチレバーが無いことが不安だが、ギアを入れてアクセルを開けるだけでスタートする感覚がわかると大丈夫。クラッチがつながるタイミングも数回発進を繰り返すとすぐに慣れ、細かい動きやUターンも不安なくできる。オートマチックモードでは変速ショックが少なく、ギアは瞬時に切り替わる。街中のストップ&ゴーでも扱いやすく、渋滞にハマった場面でもかなり楽に走れる。マニュアルモードではハンドスイッチでも変速できるが、やはりシフトペダルで操作する方がリズムを取りやすい。短いストロークでカチッと決まるので、通常のバイクから乗り換えても違和感は少ない。

高速道路では、ACCの完成度の高さが強く印象に残った。前走車との距離を保ちながら加減速し、一般的な減速であれば停止までサポートしてくれる性能を持つが、割り込みや急減速などの突発事項が発生したときには、ライダーの判断と操作が必要となるので、周囲の車の動きには注意を払いたい。ただアクセル操作で速度を微調整し続け、車間を一定に保つという負担から解放されるので、身体の余裕は大幅に軽減される。走る距離が伸びるほど疲労の差が出るはずだ。

ワインディングに入ると、この大柄なアドベンチャーが想像以上にスポーティな走りを見せることに気付く。装着されているタイヤからもわかる通り、キャラクターはオンロード寄り。スポーツモードにすると足まわりは引き締まり、アクセル操作への反応もダイレクトになる。車体は大きいが、コーナー進入では抵抗なく自然に寝ていき、接地感もつかみやすい。バンク中にギャップを通過してもSAT(セミアクティブテクノロジー)が路面の荒れを吸収して姿勢を安定。トラクションのかかりも明確で、アクセルを開けやすいのでコーナーの脱出速度も速い。これは上質なオンロードスポーツに近い感覚。もちろん未舗装路も走れなくはないが、タイヤや車体構成からみても、メインステージは舗装路だといえるだろう。

高速道路を長時間走り、旅先でワインディングを楽しく駆け抜け、さらに遠くへ向かうというバイク旅に使うとき、このモデルの真価がはっきり見えてくる。数々の先進技術で単純移動の疲労を軽減しながら、ワインディングなどではKTMらしい刺激が存分に味わえる。ライダーが積極的に操る楽しさが体感できる、新世代のアドベンチャーモデルなのだ。
KTM「1390 SUPER ADVENTURE S EVO」ライディングポジション・足つき性
シート高:847/867mm
ライダーの身長・体重:165cm・72kg

ローポジション:847mm

ローポジション:847mm

ハイポジション:867mm

ハイポジション:867mm
大柄な車体ながら、着座位置付近はスリムなので、ローポジション(847mm)のときは想像以上に足つき性は良い印象。ハイポジション(867mm)だと、さすがに両足の爪先で支える状態になってしまうので、路面状況によっては緊張する。ガソリンタンクはボリュームがありハンドル幅も広めだが、思っていたより身構えずに乗れるポジションだ。
