文:横田和彦 写真:南 孝幸
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ヤマハ「シグナス X」インプレ(横田和彦)

YAMAHA
CYGNUS X
2026年モデル
総排気量:124cc
エンジン形式:水冷 4スト SOHC 4バルブ単気筒
シート高:785mm
車両重量:126kg
価格:38万9400円
発売:2026年5月22日
利便性と軽快さを高めた、スポーティスクーター
ヤマハの原二スポーツスクーターを牽引してきたシグナスXが帰ってきた。デザインはもちろん内容も一新と聞いて喜ぶファンは多いのではないだろうか。

小型化されたヘッドランプなどによって顔つきはさらにシャープになり、全体のシルエットもより引き締まった印象。スポーティなマフラーの角度や、前後ホイールの位置関係まで含め、車体全体のバランスがよく、ヤマハらしいデザインのうまさが感じられる。また、新フレームを採用していることにも注目したい。先代の乗り味を覚えている身としては気になるポイントだ。ほかにもトラクションコントロールや大径ディスクローターなどの採用により安全性も向上している。
見やすいLCDメーターや、フルフェイスヘルメットも収められるシート下スペース、急速充電対応のUSBソケットなど、日常使いで役立つ装備も充実している。またガソリン給油口が前にあるので給油しやすいのも便利。ただ、その影響でフタ付きのクローズドポケットがないのが少し残念だ。

またがると車体はコンパクトにまとまっていて、扱いやすさが感じられる。エンジンを始動するとアイドリング時に微振動をともなう軽い鼓動感が伝わってくる。走り出しはスムーズ。低速域でもトルクがしっかり出るため、交通量が多い道をゆっくり走るような場面でもバランスが取りやすい。そして、そこからアクセルを開けたときの加速感が非常に気持ちいい。VVA(可変バルブ機構)を搭載している効果なのだろう、中回転域からの伸びがよく、一度アクセルを閉じてから再加速するときもなめらかに車体を押し出しストレスがない。もちろん排気量なりの限界はあるが、幹線道路で流れをリードするには十分。エンジン音や振動も抑えられているので快適性も高い。
一般的にフラットフロアのスクーターは前後方向の剛性確保で不利な面があるが、新型シグナスXは前後方向の揺れが少なく、しっかりした印象。軽快なハンドリングも含め、剛性バランスを最適化した新フレームがよい仕事をしていることが感じられた。

そんな車体と足まわりの進化は、コーナーリング時によく分かる。アプローチするときのブレーキングでは接地感が高く、強めに減速しても前後サスがバタつきにくい。前後連動ブレーキを採用しているので、左ブレーキの操作だけで前後のサスペンションが自然に沈み安定して減速できる。バンク中に荒れた路面を通過しても、サスペンションが衝撃をしっかり吸収。コーナリング中の安心感が高いのも好印象だ。フロントに軽く荷重を乗せながら曲げていけるというスポーティな感覚が継承されているのもよい。
新型はスポーツスクーターを目指して正常進化したという印象。通勤・通学や日常の買い物などに使える実用性を持ちながら、交通量が多い道路でもキビキビ走れ、ワインディングでも想像以上に楽しめる。日常生活で役立つ実用性を持ちながら、走ること自体も楽しみたいというライダーにオススメしたいモデルだ。
