トルネードIII零-50(ゼロ・フィフティ)というネーミングにはヨシムラを創設した吉村秀雄さんが最初に整備した飛行機(零式輸送機)のエンジンのイメージとストリートへの還元を示すコンプリートのトルネード、その3代目2004年の創設50年目を節目にゼロから出発するという思いが込められている。

文:迫田秀正 写真:平野輝幸、H&L ARCHIVES
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ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」解説

画像: YOSHIMURA TORNADO III ZERO-FIFTY 2004年

YOSHIMURA
TORNADO III ZERO-FIFTY
2004年

2004年の第31回東京モーターサイクルショーにおいて、ヨシムラは報道陣を対象としたプレゼンテーションで2台のコンプリートマシンを初公開した。そのうちの1台が、GSX-R1000(K3)をベースに作られたトルネードIII零-50(ゼロ・フィフティ)である。

2002年からスタートした全日本RRのJSB1000クラスに、ヨシムラは2003年に参入。渡辺篤選手のライディングによってランキング2位を得ている。そのノウハウをコンプリートマシンに反映するという手法はこれまでに紹介した3モデルと変わらないが、零-50が決定的に異なるのは、実際のレーサーとほぼ共通のスペックが与えられているということだ。

画像1: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」解説

車名には、創業者である故吉村秀雄さんが最初に整備した飛行機(零式輸送機)の名称や、創業50年の節目にゼロからスタートするという思いなどが込められている。そのマシンの内容についてはレーサーに保安部品を装着しただけといっても過言ではなく、5台のみを限定生産し、価格はこれまでで最高額の840万円となっている。

零-50の衝撃的なデビューからすでに20年超が経過したが、その輝きは今も衰えていない。

画像2: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」解説

ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

2002年の鈴鹿8耐に出場したプロトタイプレーサー、トルネードS-1Rのスタイリングをほぼそのままに近い状態で再現。カウリングは全てドライカーボン製だ。

画像1: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

空気を切り裂きながらテールに向かって鋭く突き抜ける鋭いデザインは、ヨシムラのマシンをずっと手がけてきたYDSの作。サイドスタンドにはカバーが付く。

画像2: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

すっきりとまとめられたマスクのおかげで、正面から見たスタイルは非常にフラットな印象を受ける。ヘッドライトは本車両のためにHELLAが専用開発した、丸型ケースのHIDユニット。本体手前にはスモールランプも付いている。フロントウインカーはリヤ同様LEDを使用する。

画像3: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

保安部品は極力控えめにレイアウトされていることもあって、リヤビューはまさにレーサーそのもの。テールランプ、ナンバー灯はLEDを採用。ナンバーホルダー左右のウインカーはLEDの光を厚手のアクリル板に透過させて発光させるユニークな方式。

画像4: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

フレームはSTDだが、ボルト留めのシートレールは加工される。メインフレームのスイングアームピボットの着脱式カラーを換装して、軸受けの穴を下方に2.5mm移動、アンチスクワットを最適化する。

画像5: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

アッパー、サイド、アンダー、シートの各カウルはドライカーボン、燃料タンクはオリジナルのアルミで、赤×ガンメタリックのトルネードカラーに塗られる。F:120/70ZR17、R:190/50ZR17の前後タイヤは、レース車両対応のダンロップD208GPA・RRコンパウンドだ。

画像6: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

エンジン本体へのチューンナップは、全日本選手権を走るレーサーとほぼ同メニューとされる。ヨシムラ・タイプRカムシャフト、圧縮比を12.0→13:1へと高めるピストン、軽量なH断面のコンロッド、ステンレス削り出しのバルブコッターなどを組み込むとともに、ポート研磨やクランクのバランス取りなども行われる。

画像7: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

燃料供給はSTDの燃料噴射装置を用いるが、1/4番気筒に全高35mm、2/3番気筒には同55mmとした特製エアファンネルを装着、ヨシムラのサブコンピュータ、EMSでリセッティングを施す。

画像8: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

オイルパンをオリジナルのオフセットタイプに換装。その脇に集合部が位置するフルチタンの排気系は専用品で、下の写真の右側、2本のワイヤが装着された部分に可変バタフライを内蔵する。集合部とサイレンサーの連結パイプに設けられたこのディバイスは、出力特性の改善や排気音の低減などに貢献。

画像9: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

ベースのR1000も同様な機構を備えるが、バタフライを開閉させるモーターやその制御部などもヨシムラで自作している。サイレンサーは、全日本用レーサーが装着するそれとよく似た外観だが、前記のディバイスとの連携で問題なく騒音規制をクリアできるという。そのエグゾーストノートは独特なものだ。

画像10: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説
画像11: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

ヘッドライトはHIDの1灯式、両脇に埋め込まれたウィンカーはLED。バックミラーボディはカーボン製だ。

画像12: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

カウルを外すと、カーボンのラムエアダクトが出現。ヘッドライトや後述するメーターなどは、アルミステーで支持される。外装パーツを外した際の姿は、レーシングマシンそのものといった感じだ。

画像13: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

最高速やエンジン回転数を呼び出せるデータロガー機能を備える、イギリスAim製マイクロン3多機能デジタルメーターを中央に配置、右側にデジタルテンプメーターを装着。アルミ削り出しの上下三ツ叉は、軸受け部のカラーを差し替えることでオフセットが変化、純正キーシリンダーのハンドルロックにも対応。

画像14: ヨシムラ「TORNADO III ZERO-FIFTY」各部装備・ディテール解説

バーとクランプがアルミのハンドルは専用品。ブレーキ用マスターシリンダーは、ブライトロジックの機械式スイッチを持つブレンボのラジアルポンプ。

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