プロトに入社した理由は事業内容よりも会長の人柄
──創業40周年の年に新社長に就任された山口社長ですが、プロトに入社されたのは何年頃だったのでしょうか?
山口和也社長(以下、山口)「僕はもともと学生の時からバイクが好きで、女の子にモテるのはバイクだろうと思って乗ってたんですね。そこはちょっと、会長とは違うんです(笑)。でも大学卒業後はバイクとまったく関係ない、クルマ関連の技術資料制作や販売促進を行う会社で営業職をしていました。そこで7年ほど働いていたのですが、30歳手前で『このままでいいのかな』と自分の人生をいろいろ考えました。そんな時、プロトの求人広告を見かけたんです。バイクが好きだからこそ、好きなものを職業にすることに迷いもありましたが、面接で会長といろいろとお話をさせてもらった時に、事業内容よりも、会長の人柄に惚れ込んでしまったんですね。それで『ぜひお願いします』とアピールしまして、たくさんの応募の中から無事に選んでもらい、入社したのが1999年になります」
近藤「こっちはね、面接のことは全然覚えてないんですけども(笑)」
──入社後は、主にどのような業務を担当されていたのですか?
山口「基本的には営業職がいちばん多いのですが、プロトはメーカーとしての事業も、商社としての事業も基本、自前主義でやっていますから、物流以外の仕事はほぼ全部関わらせてもらいました」
──会長が社長職を山口さんに譲ろうと考えた決め手は、何だったのでしょう?
近藤「語るほどの理由があるわけじゃないけど、社長を譲ったのは、自分も年を取ってきたし、今後はうちの仕事をよく知る人間にこの立場を任せることが、内外的にもいちばん上手くいくと判断したからです。自分みたいな、初代がワンマンで好き勝手に物事を動かしてきた会社を任せるには、やはり人望のある人が最適だろうと。この人、ビジネスセンスはあんまりないけど人望はあるから(笑)」
時代とニーズの変化に合わせ商品開発も一緒に変わった
──バイクブームでもあった1980年代からの会社の創成期と、山口社長が社員に加わってからのゼロ年代以降では、ユーザーのニーズもかなり変化したと思いますが、どのように対応されたのですか?
近藤「オリジナル商品に関しては10年以上前に、性能や機能に特化したハードパーツから〝安全・安心・快適〟をコンセプトにした商品開発へ大きく方向転換しました。走行中の疲れとか、足つきの不安とか、乗る楽しみの中にあるネガティブな部分を解決したり、やわらげる商品が増えたんですね。ただ、そうすると今までの知見があまり役に立たなくなるもんだから、これまでとまったく違う作り方が必要になることもあって。『ゲルザブ』なんかはまさにそうでしたね」
──長距離走行時のお尻の痛みを軽減する、プロトさんの大ヒット商品ですね。
近藤「ゲルザブのきっかけは、車椅子生活を送る人が敷いていた分厚いジェルシート。結局、痛みの原因は、座圧によってお尻周りの神経が圧迫されることなんですね。あとはレース関係の友人から聞いた、ドライバーに密着するカートのシートや、長時間走り続ける耐久レースのシートにも、医療用のジェルが使われているという話もヒントになりました。さっそくジェルの製作会社に試作品を作ってもらったけど、オートバイは腰で姿勢を保つし、挙動を感じ取るでしょ? ジェルによって、実際の動きと乗り手の感じ方にタイムラグが生じると、非常に具合が悪いんです。だから最適な厚みやマテリアルの配合を決めるために、三重大学の人間工学科の先生に指南してもらいました。完成品の評価もお願いして、耐圧分散データを見える形にしてもらってね。そういう、科学的な根拠で商品の優位性をアピールしたのも初めてでした」
──商品開発の過程において、ゲルザブはひとつ転機になった商品なのですね。
近藤「もちろん他にも転機になった商品はあって、オリジナルブレーキホースの開発秘話とか、語り出したら朝までかかりますよ(笑)。いまだったら、ポジション調整系オリジナルブランド『エフェックス』のローダウンキットを、対応車種を広げて充実させ、新たな戦略を練ってる最中です。今後はね、見方によっては『ゲルザブの専門メーカーでしょ』とか『車高調メーカーかと思った』と言われるぐらいまで、うちはひとつひとつの製品を極めていかないといかんと思う。そうやって〝ナンバーワンのプロダクト〟を増やしていくことが、この先、うちが生きていくためのいちばんの正解だと思いますね」
累計販売枚数は17万枚を突破する「GEL-ZAB(ゲルザブ)」
2007年に初代モデルが発売されたゲル内蔵オートバイ用座布団「ゲルザブ」は、2026年4月現在、汎用4種、車種専用3種をラインナップし、持ち歩きできる携帯モデルも登場している人気商品。ゴム(形状回復性)とゲル(流動性)を併せ持つ特殊柔軟ゴムの「エクスジェル」がウレタンフォームの5~10倍の衝撃吸収力を発揮し、路面の凸凹やエンジンからの衝撃を効果的に吸収してくれる。

GEL-ZAB C

GEL-ZAB MESH SEAT COVER

GEL-ZAB R
持ち歩けるゲルザブも!

GEL-ZAB PUNI

GEL-ZAB mocchi
