解放された大型免許と加速する最高速競争。1990年代後半、ビッグバイクは“誰もが手にできる夢”となり、ついに300km/hの壁を突破する時代へ突入した。

まとめ:オートバイ編集部
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目指せOVER300km/h!・ビッグバイクブーム(1990-1999年)解説

当時の潮流
▶大型二輪免許が教習所で取得可能に
▶ハヤブサが市販車で300km/h超えを達成
▶299km/h速度規制で最高速競争に終止符

画像: ZZ-R1100は1990年代初の300km/h超えを実現。CBR1100XX(写真右)はZZ-R(中)から最速の座を奪還したが、好調だったのは初期型のみ。1999年に登場したハヤブサ(左)は、圧倒的な性能で最速争いに終止符を打った。

ZZ-R1100は1990年代初の300km/h超えを実現。CBR1100XX(写真右)はZZ-R(中)から最速の座を奪還したが、好調だったのは初期型のみ。1999年に登場したハヤブサ(左)は、圧倒的な性能で最速争いに終止符を打った。

時速300キロへ到達。熱狂の1990年代後半

1990年代は、日本のビッグバイクシーンが一気に現実味を帯びた転換期だった。それまで大型二輪免許は一部の試験場での「一発試験」が主流であり、多くのライダーにとっては高嶺の花の存在となっていた。

しかし1996年、ついに教習所での大型二輪免許取得が解禁されると状況は一変する。憧れだった〝ナナハン以上〟が一気に手の届く存在となり、各メーカーはそれに呼応するかのようにフラッグシップモデルの開発競争を激化させていった。

同時に世界市場、とりわけ北米や欧州では「スピード」が明確な価値として求められていた。排出ガス規制や安全基準が現在ほど厳しくなかったこの時代、各社は持てる技術を惜しみなく投入し、〝いかに速いか〟を前面に押し出したモデルを次々と投入する。

1994年のZX-9Rは軽量コンパクトな車体に大排気量エンジンを搭載し、「リッタークラスは重い」という常識を覆した存在だった。そして1997年にはCBR1000XXスーパーブラックバードが登場。圧倒的な空力性能と高速安定性で〝世界最速〟の称号を獲得し、最高速競争は新たなステージへと突入する。

その流れを決定的なものとしたのが、1999年に登場したハヤブサ(GSX1300R)だ。量産車として初めて300km/hの壁を突破したそのインパクトは絶大で、「公道最速」という言葉が現実のものとして語られる時代を象徴する存在となった。

しかしこの過激な競争は同時に社会的な懸念も呼び、同年には日欧メーカー間で自主規制として299km/hリミッターが導入される。ここに、短くも濃密だった〝最高速戦争〟は終止符を打たれることになる。

免許制度の変革によるユーザー層の拡大、グローバル市場を見据えた性能競争、そして技術的到達点としての300km/h。そのすべてが交錯した1990年代後半は、日本のビッグバイクが単なる移動手段を超え、「夢の速度」を具現化した時代だったのである。

スズキ「HAYABUSA(GSX1300R)」(1999年)解説

画像: SUZUKI HAYABUSA(GSX1300R) 1999年 逆輸入車

SUZUKI
HAYABUSA(GSX1300R)
1999年
逆輸入車

初代ハヤブサが示した“超高速専用機”という選択肢

初代ハヤブサ(GSX1300R)は、「アルティメットスポーツ」を掲げたスズキのフラッグシップで、公道市販車として当時世界最速312km/h超を叩き出したメガスポーツだ。 新設計1298cc水冷DOHC直4は175PSを発生し、鎧兜をモチーフにした独創的なエアロフォルムと相まって、レプリカでもツアラーでもない“超高速専用機”という新ジャンルを切り開いた。

画像1: スズキ「HAYABUSA(GSX1300R)」(1999年)解説

主なスペック
●エンジン形式:水冷4ストロークDOHC直列4気筒●排気量:1298cc
●最高出力:175PS/9800rpm●最大トルク:14.1kgf・m/7000rpm
●車両重量:215kg●燃料タンク容量:21L●変速機形式:6速リターン
●タイヤサイズ前・後:120/70ZR17・190/50ZR17

311km/hの壁を破れ! 谷田部フルアタック

谷田部バンクでの最高速アタックは極限の挑戦だった。ZZ-RやXX時代を経て、ハヤブサで海外記録の311km/h超えを狙う。計測ミスと横風に阻まれつつも312.29km/hを記録。

画像2: スズキ「HAYABUSA(GSX1300R)」(1999年)解説

次のムーブメントはリッターSSへ

カワサキ「Ninja ZX-9R」(1994年) ※1994年「バイク・オブ・ザ・イヤー」逆輸入車クラス1位

画像1: 目指せOVER300km/h!・ビッグバイクブーム(1990-1999年)【BOTY・青春バイク・カルチャー伝】

軽さと速さを両立した次世代スーパースポーツ

当時のスーパースポーツクラスに新風を吹き込んだ意欲作。軽量なアルミツインスパーフレームと水冷4ストローク並列4気筒エンジンを組み合わせ、高出力と扱いやすさを高次元で両立した。ZX-7R譲りの安定したハンドリングに加え、ロングツーリングにも対応する快適性を備え、ストリートからサーキットまで幅広く支持を集めた。


主なスペック
●エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒●排気量:899cc
●最高出力:139PS/10500rpm
●最大トルク:9.8kgf・m/9000rpm
●車両重量:215kg(乾燥)●燃料タンク容量:19L●変速機形式:6速リターン
●タイヤサイズ前・後:120/70ZR17・180/55ZR17


ホンダ「CBR900RR FIRE BLADE」(1992年)

画像: 次のムーブメントはリッターSSへ

主なスペック
●エンジン形式:水冷4ストロークDOHC並列4気筒●排気量:893cc
●最高出力:124PS/10500rpm●最大トルク:9.0kgf・m/8500rpm
●車両重量:185kg(乾燥)●燃料タンク容量:18L●変速機形式:6速リターン
●タイヤサイズ前・後:130/70ZR16・180/55ZR17


ノア・セレンのMemories

ZZ-Rを一夜で旧くした、ブラックバードの“正義の味方”感

ツルリと流線型で、目新しい縦目2灯で、ホンダらしい洗練された雰囲気があったブラックバードには次世代感があって、途端にZZ-R1100が旧く見えたもの。当時はなんだか「正義の味方登場!」って感じで、街で会うと嬉しかった。

ミラーに縦目2灯が映るとブラックバード見たさに道を譲って、あれれ、スクーターのフォーサイトかよ! なんてことがよくあったっけ。乗ると速さ自体はZZ-Rとそんなに変わらないものの、軽快でスポーティな性格はベツモノだった。初期のキャブ車はガムシャラに最速を求めた気概を感じる性格、後期は優秀なツアラーに転身し国内仕様も登場した。

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