文:沼尾宏明、オートバイ編集部
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スズキ「GSX-R400R」(1990)解説

SUZKI
GSX-R400R
1990年
新設計の水冷DOHC4バルブ並列4気筒エンジンを搭載した、スズキ400ccレーサーレプリカの集大成的モデル。TT-F1レーサー譲りのアルミダブルクレードルフレームと倒立フロントフォーク、スラントノーズカウルを組み合わせることで、サーキット直結のパッケージを実現した。
GSX-R系の完成型。レプリカ終盤戦の主役
1990年、400ccレーサーレプリカ戦争が成熟期を迎える中で登場したスズキGSX-R400R(GK 76A)は、スペック競争のその先にある「完成度」で勝負した一台だった。1984年にアルミフレーム+フルカウルという革新でクラスの価値観を塗り替えたGSX-Rの系譜にありながら、本モデルは単なる数値性能ではなく、総合的なバランスに磨きをかけている点が特徴だ。
搭載される398cc水冷DOHC4バルブ並列4気筒は、最高出力59PSを発揮する高回転型GSX-R系の完成型レプリカ終盤戦の主役ユニット。
ダウンドラフト式スリングショットキャブレターと水冷オイルクーラーの組み合わせにより、優れた吸気効率と冷却性能を確保しつつ、中速域のトルクにも配慮。ピーキーさ一辺倒ではなく、常用域から素直に盛り上がる出力特性が印象的で、ストリートからワインディング、サーキットまで幅広いシーンに対応した。

車体で注目すべきは、あえてアルミツインスパーではなくアルミダブルクレードルフレームを採用した点だ。TT-F1マシン直系の思想に基づき、絶対的剛性よりも適度なしなりと接地感を重視。倒立フロントフォークや異径4ポットキャリパー、前後17インチラジアルタイヤ(F120/R160)との組み合わせにより、しなやかさと安定性を高次元で両立している。
スタイリングはGSX-R750のスケールダウンと呼ぶにふさわしく、デュアルヘッドライトとボリュームあるフルカウルがワークスマシンのイメージを色濃く反映。1990年代初頭、レプリカブームがピークを越えつつある中で登場した本機は、過激な性能競争の果てにたどり着いた「完成形」として、今なお独自の存在感を放っている。
GSX-R400R 各部装備解説
フレーム

1989年
1990年型はTT-F1譲りの新設計アルミダブルクレードルで「しなり」を活かした高剛性バランスを追求し、1989年型アルミツインスパーの直線番長的な高剛性志向から大きく舵を切ったフレーム変更となった。

1990年
エンジン
398cc水冷DOHC4バルブ並列4気筒で、56×40.4mmのショートストロークと24度前傾レイアウトを採用した新設計ユニット。吸気通路ストレート化と軽量ロッカーでメカロスを減らし、59PS/12500rpmを絞り出す高回転型エンジンだった。

主なスペック
●エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒●総排気量:398cc
●最高出力:59PS/12500rpm●最大トルク:4.0kgf・m/10000rpm●車両重量:188kg
GSX-R400ヒストリー
GSX-R400(1988)
新設計のフルアルミツインチューブフレームと完全水冷並列4気筒エンジンを大刷新した。シャープなハンドリングとサーキット志向を強めた4代目。

GSX-R400R(1989)
サブフレーム付きスイングアームや前後17インチ化、ラジアルワイドタイヤの採用などで足まわりを強化。よりレーシーなキャラクターを与えた“R”仕様。

※写真はSPII
GSX-R400R(1990)
TT-F1レーサー直系のアルミダブルクレードルフレームに加え、倒立フォークと新設計エンジンを採用。レース投入を強く意識したハードコアなモデル。

※写真はSP
