約40年前、400でどこまでレーシングテクノロジーを極限まで追い詰めたCBR400RRの時代から、令和の今、ホンダは新開発の直4・400とEクラッチを組み合わせたCBR400R Fourで、かつての“フォア”の血統を継ぎつつ400直4スポーツの価値観を書き換え、新章を拓こうとしている。
文:沼尾宏明、オートバイ編集部 写真:赤松 孝、松川 忍、南 孝幸、渕本智信
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ホンダ「CBR400RR」(1988)/「CBR400R FOUR Eクラッチコンセプト」(2026)解説

画像: Honda CBR400R FOUR E-Clutch Concept(左) 2026年 新開発直列4気筒エンジンとラムエア、電子制御スロットルにEクラッチを組み合わせ、「普段使いから得られる高揚感」をテーマに扱いやすさと高回転直4の胸のすくフィーリングを両立した次世代ヨンヒャク4気筒のフルカウルスポーツのコンセプトモデルだ CBR400RR(右) 1988年 カムギアトレーン採用の59PS高回転直4とアルミツインチューブフレームを組み合わせた400レーサーレプリカで、RCB400風のレーシングスタイルとともにF3レースでも高い戦闘力を見せたモデルだ。

Honda
CBR400R FOUR E-Clutch Concept(左)
2026年

新開発直列4気筒エンジンとラムエア、電子制御スロットルにEクラッチを組み合わせ、「普段使いから得られる高揚感」をテーマに扱いやすさと高回転直4の胸のすくフィーリングを両立した次世代ヨンヒャク4気筒のフルカウルスポーツのコンセプトモデルだ

CBR400RR(右)
1988年

カムギアトレーン採用の59PS高回転直4とアルミツインチューブフレームを組み合わせた400レーサーレプリカで、RCB400風のレーシングスタイルとともにF3レースでも高い戦闘力を見せたモデルだ。

サーキットとストリート、時代潮流に応えた渾身作

ホンダの並列4気筒フルカウルスポーツでは実に26年ぶりの新作。モーターサイクルショーで初公開され、大きな話題を呼んだのがCBR400Rフォアだ。

そのルーツは1988年にデビューしたCBR400RR(NC23)にまで遡る。とはいえ、時代背景は全く異なる。NC23が登場した1980年代後期は、レースでの勝利を至上命題とするレーサーレプリカ全盛時代。ライダーは誰もがサーキットを目指していた。

NC23も高回転&高出力を実現するカムギアトレーン直4をアルミフレームに搭載するという、今では考えられない豪華メカで速さを徹底追求した。

一方、現代はサーキット志向のライダーが減り、スポーツにも快適性や上質さが求められる時代となった。この要請に応じてCBR400Rフォアは、オールマイティスポーツとして登場。ベースが万能モデルの新型CB400スーパーフォアだけあり、フルカウルと言えど、先代CB400シリーズに設定された〝スーパーボルドール〟に近い存在と言えるのだ。

2車の性格の違いは端的に車名にも現れている。“CBR-RR”はホンダのスーパースポーツに冠され、CBR1000RR-Rを筆頭に本気モデルが並ぶ。その最初の〝RR〟が1988年型CBR400RRだ。

〝CBR-R〟はオールラウンドスポーツとして、CBR400R、CBR650Rなどが現在ラインアップされている。

しかしながら新型は、400RRでも非装備だったラムエアで高回転の伸びを追求。クラッチレバーを握らなくて済む「Eクラッチ」も目玉で、現代的な新しい価値を追求している。

このように2車の背景やキャラクターは大きく異なるが、コンセプトにマッチした最高のオートバイを造るという〝志〟は時代を超えても変わらない。

CBR400RR(1988)

画像1: 【400ヒーロー列伝】ホンダ「CBR400RR」(1988)/「CBR400R FOUR Eクラッチコンセプト」(2026)フルカウルスポーツ編

ナイフで削ぎ出したようなソリッドな面と最小限のラインで構成したシームレスなフルカウルに、近未来的な灯火器と銀一色のボディを組み合わせてデジタルな世界観を表現。高く跳ね上がったテールと専用リアフレームによりアグレッシブなプロポーションが特徴だ。

ホンダ「CBR400RR」(1990)解説

画像: Honda CBR400RR 1990年 カムギアトレインの直4と低重心フレーム、そしてガルアームが生み出す切れ味鋭い旋回性能は、当時のライダーを魅了し続けた。

Honda
CBR400RR
1990年

カムギアトレインの直4と低重心フレーム、そしてガルアームが生み出す切れ味鋭い旋回性能は、当時のライダーを魅了し続けた。

扱いやすくも圧巻の速さ! 鈴鹿4耐ではデビュー勝利

初のRRを名乗った初代CBR400RR(NC23)の登場前夜となる1986~1987年、同門のVFR400RとヤマハのFZR400が大ヒットを飛ばす。一方、ホンダ初の400cc直4を積み、1986年に意気揚々とデビューしたCBR400Rは販売面でやや苦戦していた。

その理由は、性能よりもむしろ外観にあった。FZRやVFRがレーサーレプリカ然としたスタイルなのに対し、CBRはツアラー風だったからだ。

そこでCBRをベースに、流行のレプリカフォルムと性能アップを施して1988年1月に投入されたのが400RRだ。

35度前傾の直4は、レース技術直系のカムギアトレーンを400Rから続投。さらにシリンダーヘッド、キャブレターを新設計し、量産4スト世界初のアルミマフラーを導入した。

吸排気効率を高めたことで、本来の高回転パワーに2ストを思わせる俊敏な吹け上がりを融合。目の字断面型のアルミ製ツインチューブフレームも前作同様だが、よりスリム化され、ボックス型スイングアームや前後ラジアルタイヤも備えた。

既にホンダは本格レプリカのVFR400Rを擁し、CBRと棲み分けをしていたが、RRも同じ分野に参入。ラップタイムは同等ながら「より攻めやすいのはRR」という声が多かった。その結果を証明するように、デビュー年にいきなり鈴鹿4耐を制覇。瞬く間にライバルを上回るヒットモデルとなった。

そんな中、400cc市販車で争うレース=TT-F3が消滅することになり、400RRはストリート向けの特性も磨いたスーパースポーツに舵を切る。

1990年型のNC29では、直線的なアルミツインスパーフレームから、S字型に湾曲する独自のLCGフレームに変更。低重心と低シート高も実現した。さらに前後17インチも獲得し、より扱いやすさを増している。

時代はネイキッド全盛だったが、RRは支持され、2000年まで販売が続けられた。

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