話題のスズキのネオレトロ・ロードスター、GSX-8と8TT。スタイリングのモチーフとなったのは往年の名車T500、そして1960年代の空気感だ。ノンカウルのGSX-8Tと、AMAスーパーバイクを思わせるカウル付きの8TT。果たしてこの違いは、ライディングフィールにも影響を与えるのか。両車に試乗しながら比較検証してみよう。
文:ノア・セレン 写真:赤松 孝、南 孝幸
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スズキ「GSX-8T」「GSX-8TT」インプレ(ノア・セレン)

画像: SUZUKI GSX-8T 総排気量:775cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ2気筒 シート高:815mm 車両重量:201kg 税込価格:129万8000円

SUZUKI
GSX-8T

総排気量:775cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ2気筒
シート高:815mm
車両重量:201kg

税込価格:129万8000円

画像: SUZUKI GSX-8TT 総排気量:775cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ2気筒 シート高:810mm 車両重量:203kg 税込価格:138万6000円

SUZUKI
GSX-8TT

総排気量:775cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ2気筒
シート高:810mm
車両重量:203kg

税込価格:138万6000円

スズキが示した2つの自由型スポーツ

「ネオレトロ」というジャンル。現代の技術で〝味わい〟を重視して仕立てるのか、それとも中身は最新のまま、雰囲気をレトロに寄せるのか─そのアプローチはメーカーごとに異なる。だが、スズキのGSX-8T/8TTは明らかに後者だ。

ルックスはクラシカル、いや“普遍的なネイキッド”と呼ぶべき構成ながら、その中身はGSX-8S譲りのモダンな運動性能そのもの。そこに意図的な味付けやノスタルジーは介在しない。走りは一切の妥協がなく、今の感覚で自由に付き合える―そんな潔さが心地いい。

スタイリングのモチーフには〝T500〟のイメージを据えているが、そもそもこのモデルを即座に思い浮かべられるライダーは多くないだろう。ゆえにスズキはT500像に縛られず、自由に新たなデザインを構築しているのが印象的だ。「ネオレトロ」という枠を超えて、〝自由〟に仕立てた。走りとルックス、その両面でそう感じさせる1台である。

基本構成はGSX-8Sと共通。そのため、いざ乗ってみるとフィーリングも確かに8Sそのものだ。

着座位置はやや高めで、重心の位置も高い。そこからスリムな車体を「キュッ」と切り返して走らせる俊敏さはまさに8S的で、ストリートファイターのような機動力が光る。走りに“レトロ感”は一切ない。

タンクのニーグリップ部は8Sよりわずかにワイドと聞くが、それでもかなりスリム。400クラス並みの取り回し感覚で、誰にでも親しみやすい。

エンジンは扱いやすくも元気がいい。低速域では思いどおりのレスポンスを見せ、スロットルを大きく開けた時の加速は「80PSってこんなにあった?」と錯覚するほど。ワインディングでも高速道路でも、不足を感じる場面はない。

さらに嬉しいのは、その“シンプルさ”。メーター表示は見やすく、モード切り替えやトラコン設定も直感的に操作できる。こうした素の付き合いやすさも魅力だ。

画像: GSX-8T 気軽にまたがった瞬間から、一体感がすぐに得られる懐の深さ。「これはSV650の上位互換か!」と思わせるほど扱いやすいが、そこに現代的なストリートファイターらしい鋭さも備えているのが魅力。シートの快適性も好印象だ。

GSX-8T
気軽にまたがった瞬間から、一体感がすぐに得られる懐の深さ。「これはSV650の上位互換か!」と思わせるほど扱いやすいが、そこに現代的なストリートファイターらしい鋭さも備えているのが魅力。シートの快適性も好印象だ。

キレ味の『T』シットリの『TT』

スタイリング面では、『T』が1960年代T500の香りを漂わせるオーソドックスなネイキッドであるのに対し、『TT』は1970〜80年代、かつてのAMAレーサーを彷彿とさせるルックスを持つ。

両車の基本差はカウルの有無のみ。バーエンドミラーや、下面がフラットな馬蹄型ヘッドライトは共通デザインとなっている。TTはカウル分の2kgが上乗せされているが、取りまわしや走行中にその重さを意識することはほとんどない。

Tはノーカウルゆえに前方の開放感があり、対してTTはメーターが奥に構えた〝コクピット感〟がスポーティだ。

わずかながら違いを感じるのはハンドリング。Tは8S譲りのシャープな切り返しでストリートファイター的。一方TTは、カウル分の重みがステアリングに〝しっとり感〟を生み、1990年代ネイキッドのような落ち着きが漂う。これは古臭さではなく、むしろネオレトロを好む層には心地よいキャラクターだろう。

付け加えるなら、防風効果も侮れない。TTからTに乗り換えると、「こんなに風が来るのか!」と驚くほどで、あの小ぶりなカウルが確かな役割を果たしているのだ。

数あるネオレトロモデルの中で、スズキが仕立てたT/TTは、ルックスも走りも“歴史に縛られないバランス”を持ったバイクだ。ビギナーにも優しく、ベテランも納得。そうだったスズキは昔から、カテゴリーの枠にとらわれず、乗る人を自由にさせてくれるバイクを作ってきたのだった。

画像: GSX-8TT 8Tに比べるとストリートファイター的なシャープさがやや控えめで、TTはかつてのビッグネイキッドを思わせる落ち着いたハンドリングを持つ。その差はごくわずかだが、舗装の荒れた路面など難しいシチュエーションでは、むしろその穏やかなフィーリングが接地感となってライダーに返ってくる。

GSX-8TT
8Tに比べるとストリートファイター的なシャープさがやや控えめで、TTはかつてのビッグネイキッドを思わせる落ち着いたハンドリングを持つ。その差はごくわずかだが、舗装の荒れた路面など難しいシチュエーションでは、むしろその穏やかなフィーリングが接地感となってライダーに返ってくる。

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