トライアンフ初の3気筒モデルとして1968年に誕生した伝統の名、トライデント。そのスピリットを受け継ぐ新型スポーツネイキッドが「トライデント800」だ。地中海に浮かぶキプロス島で開催された国際試乗会から、ケニー佐川がレポートする。
文:佐川健太郎、オートバイ編集部 写真:TRIUMPH
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トライアンフ「トライデント800」インプレ(佐川健太郎)

画像: TRIUMPH TRIDENT 800 2026年モデル 総排気量:798cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 シート高:810mm 車両重量:198kg 発売:2026年2月 価格:124万9000円~

TRIUMPH
TRIDENT 800
2026年モデル 

総排気量:798cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
シート高:810mm
車両重量:198kg

発売:2026年2月
価格:124万9000円~

冴え渡る3気筒サウンド。懐の広さが安心感を生む

トライアンフの3気筒といえば、Moto2にエンジン供給を行う「ストリートトリプル765」などパフォーマンスに寄せた過激なファイタータイプが有名だろう。その一方で弟分の「トライデント660」は扱いやすいエントリーモデルだが、開発者の話では「両者の間に“空白”が生まれていた」という。

そこを埋めるべく誕生したのが新型トライデント800だ。排気量を798ccに拡大した並列3気筒エンジンは、低回転から厚いトルクを生み出す公道重視のチューニングを採用。660ベースの軽量スチールフレームにSHOWA製前後サスとラジアルキャリパー、200kgを切る軽量ボディの組み合わせにより、軽快かつ安定したハンドリングを実現している。

最初に感動したのがサウンド。エンジン始動した瞬間、低く唸る3気筒の鼓動から、ひとたびスロットルを開ければキーンと響く吸気音とハスキーで艶のある排気音が重なり合う。走り出してすぐに感じるのはエンジンの懐の深さだ。

排気量に余裕があるためか、2000rpm付近から実に素直で、低回転でもギクシャクせずスロットル操作に対してリニアに応える。3気筒ならではの分厚いトルクがフラットに広がり、キプロスの入り組んだ市街地から郊外の高速ワインディングまで2~4速でカバーできてしまう。

画像: トライアンフ「トライデント800」インプレ(佐川健太郎)

ハンドリングは軽快そのもの。しかし軽いだけではなく、フロントには確かな接地感があり、前後サスペンションがしなやかに路面を掴む。寒暖差が激しく、晴れたかと思えば雹混じりの豪雨に襲われるというタフなコンディションでも不安は最小限だった。標準装着のミシュラン・ロード6の安定感と電子制御のさりげないサポート。

そして何より、エンジン自体が持つトラクション性能の高さが光る。レインモードでも介入は穏やかで、走りのリズムを崩さないのがいい。ブレーキも唐突さがなくコーナー進入での速度調整もしやすく、アップ&ダウン対応のクイックシフターもスムーズかつ節度あるフィーリングで、テンポよくワインディングを刻めた。

そんな走りを支えるのがコンパクトな車体だ。600SS並みの短いホイールベースにより、タイトコーナーではくるりと向きを変え、アップハンドルと厚い低速トルクのおかげでUターンも躊躇なくこなせる。シート高も抑えられ足つきも良好。視界が広く、自然体でいられるポジションは一日走っても疲れにくかった。

タフな試乗会を走り終えてあらためてその姿を眺めてみると、現代的なフォルムの中に丸型ヘッドライトや柔らかな曲線といった英国車らしい伝統が息づく。弟分よりも一段と筋肉質でスポーティさを増した佇まいだ。

ストリートトリプルほど尖らず、タイガースポーツほどツアラー寄りでもない、その中間に位置するバランスの良さが美点かも。街を流しても峠を攻めても、日常を少しドラマチックに変えてくれる。トライデント800は、そんな“ちょうどいい熱量”を持った大人のロードスターだ。

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