文:太田安治、オートバイ編集部 写真:南 孝幸
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ホンダ「クロスカブ110 Lite」インプレ(太田安治)

HONDA
CROSS CUB 110 Lite
2026年モデル
総排気量:109cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:784mm
車両重量:107kg
価格:40万1500円
発売日:2025年12月11日
スペック以上の力強さとしっかりした車体が魅力
実用性最優先のスーパーカブをベースに、アウトドア指向のアクティブな性能とデザインを身に付けた派生モデルとして誕生したのがクロスカブ。車名は走るフィールドを選ばない「クロスオーバー」に由来している。13年に初代の110ccモデルが登場したときはハンターカブ110の再来と評されたが、2020年にCT125・ハンターカブがデビューした後は外装デザインやサスペンションセッティングの変更などが施され、ストリートコミューター的な方向へと進化した。
2018年にかつてのリトルカブの流れを汲む50ccモデルが登場し、2019年にはポップなグラフィックの「くまモン」バージョンを追加。スクーターとは明確に異なるコンセプトで幅広いライダー層から支持されてきたが、排ガス規制の強化に伴ってクロスカブ50は生産終了。代わって登場したのが新基準原付の規定に合わせたクロスカブ110 Liteだ。

気になる動力性能は4.8PSという数値から想像するよりはるかに力強い。50ccモデルは排ガス規制対応でパワーが抑えられていたため加速が鈍く、特に上り坂で明らかな力不足を感じたが、110ccのLiteは排気量の恩恵でトルクが5割近く増していて、加速や登坂性能も原二モデルと大差ない。
原付一種扱いなので法定速度は30km/h。テストコースで試したところ、約60㎞/hでリミッターが介入して速度の伸びは止まるが、原付一種としては十分。市街地で交通の流れに乗れなくて怖いと感じることはない。
車体は原付二種のクロスカブ110とほぼ共通で、前後ホイール径が小さいクロスカブ50よりひと回り大きく、シート高も44mm高い。手軽な乗り物という捉え方なら小柄なライダーでも扱いやすいクロスカブ50が優れているが、直進安定性と衝撃吸収性、乗り心地は前後に17インチタイヤを装着している110cc版のほうが圧倒的に優れている。
クロスカブ110 Liteの購入を考えるライダーは、ルックスだけではなく、未舗装路での走行性能も気にしているはず。であれば、前後のセミブロックタイヤ、32mm高い最低地上高、フロントに装備されたABSシステムが強い味方になることは間違いない。
今回スーパーカブ110 Liteと同時に乗り比べてみたが、もっとも違いを感じたのはハンドリング。スーパーカブLiteはとにかく軽快かつ素直な特性が際立つのに対し、ホイールベースやキャスター角、トレール量といった車体ディメンションを変えたクロスカブLiteは低速域から一定の手応えを保って落ち着いた動きを見せる。
ルックスを含め、遊び心を大事にした造り込みで通勤、通学、買い物といった現実的な用途に加え、未舗装路を走る楽しさも秘めているのがスーパーカブLiteやディオLiteとの決定的な違い。50cc車の生産終了による「原付ロス」を救い、しかも選択肢を広げてくれる貴重な一台となっている。
