様々なメーカーが世界最速を目指して模索していた1960年代。ホンダがCB750フォアで世界を驚かせた。これを打倒すべく、カワサキが放った決定打がZ1だ。究極を意味する「Z」の名を与えられたこのバイクは、その名の通り究極のパフォーマンスで新しい時代を切り拓いていった。
写真:南 孝幸、カワサキ 文:沼尾宏明、オートバイ編集部 協力:バイカーズステーション(遊風社)
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カワサキ「900SUPER4(Z1)」ヒストリー

圧倒的性能と流麗スタイルで世界中で大ヒット。Z1からZ2へ

画像: Kawasaki 900SUPER4(Z1) 1973年、カワサキが『900SUPER4』の名で世に送り出したZ1は、903cc空冷DOHC並列4気筒による82PSという圧倒的なパワーで、CB750フォアを凌ぐ世界最速クラスのパフォーマンスを誇ったスーパーバイクだった。

Kawasaki
900SUPER4(Z1)

1973年、カワサキが『900SUPER4』の名で世に送り出したZ1は、903cc空冷DOHC並列4気筒による82PSという圧倒的なパワーで、CB750フォアを凌ぐ世界最速クラスのパフォーマンスを誇ったスーパーバイクだった。

走り、耐久性、造形美三拍子が揃った革命児

様々な分野で、その存在が現れる「以前/以後」に時代を分けてしまう革命児が存在する。バイクの歴史において間違いなく「Z1」はそのひとつだ。

まず性能が桁違いだった。「ベスト・イン・ザ・ワールド」を目標に掲げ、直4量産車で世界初のDOHCと日本車最大の排気量903ccを実現。最高速210km/h以上、ゼロヨン12秒以内を目標に開発し、駆動系や車体、足まわりは230km/h対応を狙った。

これは当時の常識を塗り替える圧倒的なパフォーマンスだった。当時のテストライダー、清原明彦氏らの意見を採り入れ、大排気量車の常識を超えた軽快なハンドリングも獲得した。

加えて耐久性も特筆すべき点として挙げられる。排気量は903ccながら120cc程度までスープアップできるほど技術的余裕を持たせており、チューニングの素材として最適であり、世界各地のプロダクションレースで大活躍した。今なお耐久性については定評があるほどだ。そして900ccは後にカワサキにとって特別な排気量となる。

デザイン面においてもZ1は革新的だった。当時珍しいテールカウルを備え、ティアドロップ型のタンクからつながる流麗なデザインを採用。米国で「スリム、スリーク、セクシーの3S」と形容された。また、敢えて手間がかかる黒仕上げのエンジンなど細部にもこだわりを満載。これらの造形美が後世のバイクに与えた影響は非常に大きい。

性能、耐久性、デザインが全て揃ったZ1はまさに革命児だった。1972年秋から欧米で販売され、爆発的ヒットを記録。日本では750cc版の「Z2」が登場し、大人気となった。

カワサキ「900SUPER4(Z1)」各部解説

エンジン脱着などの整備性を考慮したフレームワーク

画像1: カワサキ「900SUPER4(Z1)」各部解説

フェザーベッドの強化型といえる、主材Φ31.8mm1・1/4インチ)のダブルクレードルフレームは、A1やH1の発展型ともいえる構造だが、同時にメグロのRZレーサーにも通じるものがある。RZではエンジンを囲むパイプが一周するのに対し、Z1では後方のパイプがリアショック上部へと伸びる点が異なる。

最高出力82PS、最大トルク7.5kgf・mを絞り出すZ1E型エンジン

画像2: カワサキ「900SUPER4(Z1)」各部解説

クロモリ製のクランクシャフト、カムシャフト、ミッションはすべて明石工場で内製された。セルモーター機構はCB750フォアを参考にしたとみられ、モーターは三ツ葉製で形式も同一。キャブレターはミクニ製VMΦ28強制開閉式で、初期型ではフロート室側面と上部キャップがバフがけされており、カワサキが質感に強くこだわっていたことがうかがえる。プラグキャップは欧州仕様がボッシュタイプのシールド型、写真の北米仕様はプラスチック製となっている。

画像3: カワサキ「900SUPER4(Z1)」各部解説

画像: ND製の指針式メーターで速度計は北米仕様が160mph、欧州仕様は240km/hを表示。Z1A以降はインジケーターを配置変更した。

ND製の指針式メーターで速度計は北米仕様が160mph、欧州仕様は240km/hを表示。Z1A以降はインジケーターを配置変更した。

画像: 1972年から1973年中期まで生産された初期のヘッドライトステーは、フォーク側とステーの継ぎ目をロウ付けしたあとに段差を研磨し、さらにメッキが施された。

1972年から1973年中期まで生産された初期のヘッドライトステーは、フォーク側とステーの継ぎ目をロウ付けしたあとに段差を研磨し、さらにメッキが施された。

画像: 4-2-2構成の4本マフラーを採用し、等長に近いエキパイの取り回しと排気干渉の少ないレイアウトにより、スムーズな吹け上がりとトルク特性を実現。

4-2-2構成の4本マフラーを採用し、等長に近いエキパイの取り回しと排気干渉の少ないレイアウトにより、スムーズな吹け上がりとトルク特性を実現。

画像: 左サイドカバー内にチェーン注油用オイルタンク(容量900ccの90番オイル)を配置。Z1B以降はOリングチェーンを採用したため、注油タンクは廃止された。

左サイドカバー内にチェーン注油用オイルタンク(容量900ccの90番オイル)を配置。Z1B以降はOリングチェーンを採用したため、注油タンクは廃止された。

カワサキ「750 RS(Z2)」

画像: Kawasaki 750RS(Z2) 1973年

Kawasaki
750RS(Z2)
1973年

国内でも“ゼッツー”がCBを凌駕

1969年に登場したホンダCB750フォアは、世界初の量産並列4気筒+ディスクブレーキでスーパーバイク時代を切り開いた。カワサキは900ccのZ1を国内規制で販売できず、排気量746ccの750RS(Z2)を1973年に投入し、CBとナナハン市場で激突した。

画像1: カワサキ「900SUPER4(Z1)」|世界最速・戦国期に生まれ王座に君臨し続けた〝究極〟【KAWASAKI Z大全】

カワサキ「900SUPER4(Z1)」「750RS(Z2)」主なスペック

全長×全幅×全高2200×865×1170mm
ホイールベース1499mm《1500mm》
シート高813mm《約820mm※815~820mmレンジで表記揺れあり》
車両重量(乾燥)230kg
エンジン形式空冷4ストロークDOHC2バルブ並列4気筒
総排気量903.2cc《746cc》
ボア×ストローク66.0×66.0mm《64.0×58.0mm》
圧縮比8.5 《9.0》
最高出力82HP/8500rpm 《69PS/9000rpm》
最大トルク7.5kgf・m/7000rpm 《5.9kgf・m/7500rpm》
燃料供給方式VM28キャブレター
燃料タンク容量18L《17L》
変速機形式5速リターン
キャスター角26°00′
トレール量90mm
ブレーキ形式(前・後)Φ296mmシングルディスク・Φ200mmドラム
タイヤサイズ(前・後)3.25-H19・4.00-H18
※《》はZ2

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