カワサキZX-10を覚えているだろうか? GPZ1000RX由来(すなわちニンジャ由来)のエンジンをアルミツインチューブのe-BOXフレームに積み、’88〜’90年に販売された当時のスポーツ・フラッグシップモデル。今では滅多に見かけないレアバイクとなった同車を愛して止まないオーナーと、その夢の具現化に手を貸すプロショップ、K-2プロジェクトにスポットを当てよう。
※本企画はHeritage&Legends 2026年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

大好きなレアバイクと付き合う究極のカタチ?!

きっかけは取材でK-2プロジェクトを訪れた時のこと。ショールームには見事に仕立てられたZX-10が2台、並べられていた。聞けばどちらもZX-10ファンクラブ・ORCAを運営する佐々木さんからの依頼を受けてカスタムを進めているというもので、初見時点ではまだ作業途中だった。

そんな2車がまずの完成(今後もどんどん仕様が変わる予定)をみたというので紹介したい。まずはZX-10をご存じない読者もいるかと思われるのでまずはその車両概要を紹介しよう。

’88年デビューのZX-10は、GPZ900Rの後継機として’85年末に発売されたGPZ1000RXの997ccエンジンをさらにブラッシュアップ、独自のe-BOXフレームに積んだモデル。RXの前後16インチホイールを前:17インチ、後:18インチとするなどで操安性を改善、好評を得た。

一方でZX-10は当時、国内では逆輸入車として販売されたこと、名車・GPZ900Rが併売されたこと、’90年末には以後人気を博すZZR1100が発売されたことなどでその狭間に埋もれてしまった。技術革新が進んだ’80年代後半以降のバイク界では過渡期のモデルとも認識され、今では滅多に街で見かけなくなってもいる。

画像: ▲2台のZX-10を製作したのはZX-14RやHAYABUSAなどメガスポーツのカスタムで知られる、茨城・守谷市のK-2プロジェクト。代表の北村完光さん自身、320㎞/hオーナーズクラブ元会長でもあり、’01年の開店以降そのノウハウを頼りに多くのライダーが訪れるショップだ。

▲2台のZX-10を製作したのはZX-14RやHAYABUSAなどメガスポーツのカスタムで知られる、茨城・守谷市のK-2プロジェクト。代表の北村完光さん自身、320㎞/hオーナーズクラブ元会長でもあり、’01年の開店以降そのノウハウを頼りに多くのライダーが訪れるショップだ。

2車のオーナー・佐々木さんは「若い頃、仲間内で2スト250や400をワインディングなどで楽しんでいた頃に先輩がZX-10を手に入れて、その圧倒的なパフォーマンスに驚かされた挙句、先輩が帰りしなにウィリーして走り去ったリヤビューが強く印象に残ったんです」(佐々木さん)。以降、ZX-10ひと筋。’96年には先のORCAを立ち上げ、インターネットサイトには295名が登録する。佐々木さんと同様に「RXほど無骨でなく、ZZRのようなスリムでもない、ZX-10のグラマラスなリヤビューがお気に入りという人は多いですよ」(同)とも。

一方で製作者のK-2プロジェクトの北村さん(こちらは320km/hオーナーズクラブの元会長)によれば、佐々木さんがショップを訪れたのは10年前。唯一無二のZX-10を作りたい佐々木さんの情熱は理解できたものの、一緒に走る機会もなかったことからパーツ選びや各部セッティングへの指向や好みを探るところから製作はスタート。10年の付き合いの中で“あ・うん”の呼吸を得るに至り、2台の完成に漕ぎ着けたとか。

現在、佐々木さんは先のZX-10ファンクラブ・ORCAを法人化して、ZX-10用パーツの開発・販売もスタート。紹介の2台にも装着され販売中のライトカバーやシングルシートカバー、インナーカウルといったFRPパーツのほか、アルミタンクやアラゴスタ製スリム仕様リヤショック、野島エンジニアリング製フルエキにスイングアームもリリースを控える。

「大好きなZX-10ととことん付き合う」。佐々木さんの決意とふたりのそんな物語は、2台の仕上がりからも見て取れるだろう。

2台のZX-10を製作したのはZX-14RやHAYABUSAなどメガスポーツのカスタムで知られる、茨城・守谷市のK-2プロジェクト。代表の北村完光さん自身、320km/hオーナーズクラブ元会長でもあり、’01年の開店以降そのノウハウを頼りに多くのライダーが訪れるショップだ。

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SASAKI’s SPL ZX-10/90’s STREET CUSTOM HOMAGE

’90年代カスタムのイメージを最新パーツと技法で再現して魅せる

画像1: ’90年代カスタムのイメージを最新パーツと技法で再現して魅せる
画像2: ’90年代カスタムのイメージを最新パーツと技法で再現して魅せる

「コンセプトは’90年代。カスタムが興隆した時代の雰囲気を外装の塗色まで含めて再現しました。テーマはジャパニーズカスタム」と、佐々木さん。パーツこそ当時の人気国産ブランドでまとめるが、いずれも最新製品に換わる。注目は当時流行したアルミフレームのバフ仕上げを、BPナカヤマによるめっきタイプの粉体塗装で再現して見せるアイデアだ。

画像3: ’90年代カスタムのイメージを最新パーツと技法で再現して魅せる
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エンジンはZZR1100をワイセコΦ78mmで1109cc化。燃焼室やポートまわりはK-2プロジェクトで加工してBEET製ST-2カムを組む。ミッションもZZR1100の6速。CTS製乾式クラッチも装備する、オイルクーラーレス仕様。合わせる吸排気はキャブのFCRΦ39mmにノジマ+K-2プロジェクトのコラボによるSCマフラー。

画像5: ’90年代カスタムのイメージを最新パーツと技法で再現して魅せる
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フロントブレーキまわりはNISSIN製レーシングマスター+同モノブロックキャリパー。ディスクはサンスターのワークスエキスパンド・レゾンタイプ(RaisonはK-2の独自ブランド)Φ320mm×t6mmだ。

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スイングアームはギルドデザインによるハイトコントロールタイプ。リアショックはアラゴスタ製フルアジャスタブルの特注品。前後ホイールも特注のMAGTAN JB3でサイズはF:3.50-17/R:5.50-17。

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FRP製ヘッドライトカバー(2万2000円)とシングルシートカバー(3万8500円)はORCAオリジナル。詳細はクラブのHPで。ペイントはJOKERによる。

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SASAKI’s SPL ZX-10/LATEST RACING STYLE

ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム

画像1: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム
画像2: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム

上車両が’90年代の日本製カスタムなら、このバイクで目指したテーマは「イタリアンレーシングを表現」(佐々木さん)すること。パッと見の外観で言えば上車両がバーハンドル化、国産ブランドでまとめたのに対し、こちらはセパハン仕様、海外ブランドパーツで組み上げられるのが特徴となる。細部に眼を向けるほどに2台の差異に気付き、感心させられる。

画像3: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム
画像4: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム
画像5: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム

2台ともに’88年型ZX-10にZZRエンジンを積む1109ccも、こちらはクランクのダイナミックバランス取り、コンロッド重量合わせほか、ピストンリング/ピンをDLC、クランクメタルはWPC、シリンダーにパルフォスMの各加工、ミッションケースにもパワービルダーで加工を施すなど、より精緻な仕上げ。右車にないオイルクーラーはDUCATI純正流用。吸排気はFCRΦ41mmにノジマ+K-2のコラボマフラーDLCサイレンサー仕様の組み合わせ。

画像6: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム

ブレーキキャリパーはブレンボ製でF:レーシングモノブロック、R:レーシング2Pだ。

画像7: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム

スイングアームはウイリー製ハイトコントロールタイプでランナーRXコート仕上げ。

画像8: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム
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左右マスターはブレンボMotoGPタイプ。ORCA製インナーカウルはカーボン仕様だがFRP製は一般販売中(5万7200円)。アルミタンクはビーターの耐久仕様。

画像10: ブラックアウトしたもう1台のテーマは欧風スタイルのレーシングカスタム
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通常はシートカバーでタンデム部が隠れるシート表皮にはアルカンターラを奢る。

取材協力

アイズリンク/Kawasaki ZX-10 Fun Club ORCA

K-2 PROJECT

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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