文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
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QJモーター「SRV400VS」インプレ(太田安治)

QJ MOTOR
SRV400VS
2025年モデル
総排気量:385cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
シート高:734mm
車両重量:184kg
発売日:2025年7月
税込価格:77万8000円
質感の高いフィニッシュとしっとりとした乗り味が魅力
1985年設立のQJモーターは50ccから1200ccまで多彩な車種をラインアップしていて、現在は中国国内市場における250cc以上のプレミアクラスで販売台数ナンバーワンというトップブランドに成長している。
同社のクルーザーシリーズが「SRV」で、250に続いて日本上陸を果たしたのが400VS。インパクトあるデザインのフロントフォークカバーやタンクからリアフェンダーにかけての優美なボディラインと右2本出しマフラー、ファットな前後16インチタイヤが特徴で、その存在感は中型モデルらしからぬ堂々としたもの。一方装備重量は184kgで取り回しがしやすく、734mmのシート高で小柄なライダーでも安心して乗れる。
冷却フィンを備えた水冷Vツインエンジンはボア60mm・ストローク68mm。試乗前は低中回転域でドコドコという鼓動と共に粘り強さを発揮する特性かと想像していたが、回転フィーリングはロングストローク設定とは思えないほどスムーズ。
2000回転台から250ccクラスでは味わえない力強さを発揮し、中回転域を超えても回転上昇は鈍らない。9000回転程度で介入するレブリミッターがなければ1万1000回転程度まで伸びそうな勢いで、ネイキッドスポーツに積んでもいいのでは、と思うほどだ。
2000~9000回転までフレキシブルに使える特性で、タイトターンの続く峠道でもせわしくシフトチェンジする必要がなく、2~3速で走り切れる。後輪駆動はベルトドライブで、低回転で粘らせるように扱ってもチェーンのようにガシャガシャ踊らないことも上質な走行フィールに貢献している。

ハンドリングはクルーザーらしく直進安定性重視だが、フロント16インチということもあって、向き変えの反応が遅い、タイトターンでフロントタイヤの舵角が付き過ぎる…といったクルーザー特有のクセはない。旋回力が高いとは言えないものの、素直に向きを変えてくれるから、左右に素早く切り返すようなコーナーでもリズムを乱さずにクリアでき、バンク角も充分に確保されている。
乗り心地の良さも大きなポイントのひとつ。ほとんどのクルーザーはフロントフォークが寝ていて、リアサスペンションのストロークも短めなので衝撃吸収性に物足りなさを覚えることが多いが、このSRV400VSのディメンションはネイキッドに近く、路面からの衝撃を車体全体でバランス良く吸収してくれる。これが突き上げ感の少ない、しっとりとした乗り心地を生んでいる。
以前の中国製モデルは溶接や塗装のクオリティや、細部パーツの材質/仕上げに物足りなさを感じるものもあったが、QJモーターの車両は日本ブランド車と同等以上の質感を備えている。今回試乗したSRV400VSは動力性能や操縦性も日本の道路事情に合っているし、スタイルも個性的で価格も安いから、中型クルーザーを狙っているライダーには非常に魅力的な選択肢になるだろう。
