ダカールラリーで通算20勝するなど、オフロード競技で輝かしい成績を残しているKTMから、新たなミドルアドベンチャーが登場。コンペモデルのDNAを受け継いだマシンは、ルックスのみならず走りもエキサイティングだった!
文:横田和彦/写真:南 孝幸、松川 忍

KTM「390アドベンチャーR」インプレ(横田和彦)

画像: KTM 390 ADVENTURE R 総排気量:398.7cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 シート高:870mm 車両重量:176kg 発売日:2025年9月 税込価格:97万9000円

KTM
390 ADVENTURE R

総排気量:398.7cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:870mm
車両重量:176kg

発売日:2025年9月
税込価格:97万9000円

スクリーンの向こう側に遙かなる砂丘が見える!

KTMのミドル・アドベンチャーモデルがフルモデルチェンジし、名前の後ろに“R”を備えて登場した。LEDヘッドライトを内蔵した大型フロントスクリーンを備えたカウリングから跳ね上がったテールまで続くアグレッシブなフォルムは、まさに公道を駆け抜けるラリーマシンそのものだ。

写真よりもずっと洗練された印象を抱くスタイリングを前にして、ボクの気持ちはググッと引き込まれた。

大柄ではあるが、単気筒エンジンにあわせた細身のトレリスフレームを採用しているため実車はかなりスリム。シート高こそ高めだが、大排気量アドベンチャーモデルのボリュームに比べれば、ずっととっつきやすい雰囲気。小柄なボクでもそれほど気構えずに乗ろうという気になるサイズ感である。

エンジンは先代モデルよりストロークを伸ばして排気量をアップした最新のLC4c。より洗練された回転フィーリングながら最高出力がアップしているが、より明確に体感できるのはトルクの向上だ。

KTMのこのクラスの単気筒エンジンは、中回転域からパンチがあり気持ちよく吹け上がっていく特性。だが現行のエンジンはトルクをより低い回転域から発生する。そのため発進加速はなかなか鋭く、市街地で交通の流れに乗っているときもライダーの意思通りに走ってくれる。

画像1: KTM「390アドベンチャーR」インプレ(横田和彦)

レスポンスは相変わらず良好。アクセルを多めに開けながらクラッチミートするとフロントフォークが伸び切って前がフッと軽くなり、思わず「おおっ!」と声が漏れる。そのままアクセルを開けていくと軽快に加速していくのだが、そのときにオプション装備のクイックシフター+が有効で、途切れない加速感を得ることができる。

また中〜高回転域で単気筒エンジンにありがちな微振動はかなり抑えられているため、高速道路での巡航もしやすい。オプションのクルーズコントロールを装備すれば大型スクリーンによる防風効果もあいまって、頼もしい旅の相棒となる。

驚いたのはハンドリングがニュートラルなこと。21インチのフロントホイールなのだが、寝かし込みが自然でほとんどクセを感じない。着座位置が高いためか軽い入力で車体はバンクし始めるが、基本的に安定志向なので不安なく寝かせてコーナーリングできる。オンロードバイクからスイッチしてもあまり違和感はないだろう。

画像2: KTM「390アドベンチャーR」インプレ(横田和彦)

せっかくなのでフラットダートに進入してみる。大型アドベンチャーモデルだと恐る恐る走るようなシーンでも、スリムで軽量な390アドベンチャーRであればトレールモデルのような気軽さで入っていける。高い走破性を持つので、腕に自信がある人ならばトラコンをカットしてリアをスライドさせながら自在に操れるだろう。

このバイクはデザインやサイズ感からいっても、アドベンチャーというよりラリーレプリカと呼びたい存在。KTMがラリーやエンデューロレースで培ったノウハウが、惜しみなく投入されていることを実感した。

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