文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
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カワサキ「KLX230 SHERPA S」インプレ(太田安治)

KAWASKI
KLX230 SHERPA S
2026年モデル
総排気量:232cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:825mm
車両重量:136kg
発売日:2025年9月15日(月)
税込価格:66万円
誰でも安心して楽しめる抜群の足つき性と優しさ!
カワサキの「230」シリーズは現在8車種がラインアップされている。レトロスタイルのロードモデル・W230とメグロS1、オフロードモデルがKLX230とKLX230S、デュアルパーパスモデルがシェルパとシェルパS、ヘビーデューティー仕様がKLX230DF、モタードモデルがKLX230SM。この幅広い車種展開は国内外での高い評価と要望にカワサキが応えた結果だ。
空冷OHC2バルブ単気筒というシンプルな構成の232ccエンジンは全車共通だが、それぞれのキャラクターを確立するため、吸排気系とECUのセッティングは車種ごとに異なる。
シェルパSのベースは舗装路とダート路面の両方に対応するデュアルパーパスモデルのKLX230シェルパ。最大の違いは前後サスペンションのホイールトラベル量で、シェルパの前200mm/後223mmに対し、Sは前158mm/後168mm。これによりシート高は20mm低い825mmに抑えられている。
このシート高とまたがった際のサスペンションの沈み込み量、足元のスリムさで、足つき性は想像以上にいい。車重も136kgと軽く「オフ車に乗りたいけれど足つきが心配で…」という小柄なライダーにも不安を感じさせない。

STDのシェルパよりホイールトラベルが減っているとはいえ、W230/メグロS1の前117mm/後95mmに比べれば大幅に長いし、前21/後18インチの大径タイヤを履いているから、段差の乗り越え性能が高く、市街地の段差などものともしない。ストローク初期がソフトな設定で、乗り心地も優しい。低速域ではブロックタイヤゆえのゴロゴロとしたノイズがあるが、これもデュアルパーパスモデルの個性、と割り切れる程度だ。
市街地で光るのが扱いやすいエンジン特性。18PSなのでパワフルとはいえないが、低めの回転から滑らかに加速し、中回転域からトップエンドまではクランクマスが軽いフィーリングで、速度リミッターが介入する120㎞/hまで一気に吹け上がる。ただし高速道路では回転が高くなって振動も増えるので、快適な速度レンジは100km/hあたりまで。

ダートでは大径ブロックタイヤと車体の軽さが功を奏して、少し荒れた林道程度なら結構なアベレージで走れてしまうし、足つき性の良さを活かしてガレ場も「2輪+2足」で踏破できる。「デュアルパーパス」を標榜するだけに、市街地走行の楽しさとオフロード踏破性のバランスは秀逸だ。
WMTCモードでの燃費は1リッターあたり34.7kmで、満タン時の航続距離は250㎞を越える。手を風雨から守るハンドガードを装備し、リアタイヤはパンクしても急激に空気が抜けないチューブレス仕様というのも見逃せない。
ただ、欲を言えばギアポジションインジケーターとリアキャリアは標準装備してほしかった。これがあればストリートコミューター適性がさらに上がり、荷物の多いキャンプツーリングにも対応できるはずだ。
