ヤマハの4ストローク400ccレプリカは1984年登場のFZ400Rを起点と考えていいが、アルミフレームでフルカウル装備という条件を加えると、1986年5月発売のFZR400がその初代と言える。さらに1988年型はその第2世代として吸排気系を変更、高剛性スイングアームを採用した。
まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING
※本記事は2025年7月2日に発売された『レーサーレプリカ伝 4ストローク編』の内容を一部編集して掲載しています。

ヤマハ「FZR400(1WG)」(1988年)の各部装備・ディテール解説

画像: フレームはデルタボックスと命名されたアルミツインスパーで、左右のメインレールは押し出し材ではなく、成形した部材を溶接で合体させた“モナカ合わせ”で複雑な曲面で構成されるのが特徴。ヘッドパイプを含むフロントセクションとスイングアームピボットを備える後部プレートは鋳造品だ。基本構成は初代を踏襲するが、各部バランスの最適化や剛性向上のために改良を実施。 特にスイングアームピボットのブラケット部やスチール角パイプで作られるシートレールとの接合部は大きく形状を変えている。上の写真では取り外されているが、左右ステップはブレーキ/チェンジペダルとステップバーを同軸で装着するというレーサーを意識した作りを採用した

フレームはデルタボックスと命名されたアルミツインスパーで、左右のメインレールは押し出し材ではなく、成形した部材を溶接で合体させた“モナカ合わせ”で複雑な曲面で構成されるのが特徴。ヘッドパイプを含むフロントセクションとスイングアームピボットを備える後部プレートは鋳造品だ。基本構成は初代を踏襲するが、各部バランスの最適化や剛性向上のために改良を実施。

特にスイングアームピボットのブラケット部やスチール角パイプで作られるシートレールとの接合部は大きく形状を変えている。上の写真では取り外されているが、左右ステップはブレーキ/チェンジペダルとステップバーを同軸で装着するというレーサーを意識した作りを採用した

画像: アルミ製スイングアームも設計変更し、デルタリヤアームと呼ばれるこの新作は上部に補強を追加して剛性を高めている。メインレールは縦58mm×横35mmの角パイプを用いているが、補強部材は縦30mm×横22mmのコの字断面材。リヤサスペンションは下部にリンクを備えるリンク式モノクロスで、ショック本体はプリロードと伸び側減衰力を調整できる。正立フロントフォークのインナーチューブ径はΦ38mmで、調整機構は持たない。 FZ400Rは6本スポークで2.50-16/2.75-18サイズのアルミキャストホイールを使ったが、FZR400は初期型から軽量な3本スポークを装備。フロントは1インチ大径で3.00-17サイズ、リヤは18インチを継承しての4.00-18サイズとなり、この2型でも継続。F:110/70R17、R:140/60R18のタイヤサイズにも変化はなく、1400mmのホイールベースや24度/89mmのキャスター/トレールも継承する。

アルミ製スイングアームも設計変更し、デルタリヤアームと呼ばれるこの新作は上部に補強を追加して剛性を高めている。メインレールは縦58mm×横35mmの角パイプを用いているが、補強部材は縦30mm×横22mmのコの字断面材。リヤサスペンションは下部にリンクを備えるリンク式モノクロスで、ショック本体はプリロードと伸び側減衰力を調整できる。正立フロントフォークのインナーチューブ径はΦ38mmで、調整機構は持たない。

FZ400Rは6本スポークで2.50-16/2.75-18サイズのアルミキャストホイールを使ったが、FZR400は初期型から軽量な3本スポークを装備。フロントは1インチ大径で3.00-17サイズ、リヤは18インチを継承しての4.00-18サイズとなり、この2型でも継続。F:110/70R17、R:140/60R18のタイヤサイズにも変化はなく、1400mmのホイールベースや24度/89mmのキャスター/トレールも継承する。

画像: メーターは、17000rpmスケール(数字は16×1000rpmまで)で14000rpmからをレッドゾーンとするタコメーターを中央に配置し、左下に190km/hが上限だが文字は180km/hまでの速度計、右下に水温計を並べる。キーシリンダーの奥には、ウインカーやハイビーム、ニュートラルなどのインジケーターランプが横一列に並ぶ。 CBR400RRはセパレートハンドルのクランプをトップブリッジ下に置いたが、FZR400は初代から上に配置。この2型ではシート高を下げるとともにステップの位置を見直して、疲れにくく親しみやすいライディングポジションとしている。

メーターは、17000rpmスケール(数字は16×1000rpmまで)で14000rpmからをレッドゾーンとするタコメーターを中央に配置し、左下に190km/hが上限だが文字は180km/hまでの速度計、右下に水温計を並べる。キーシリンダーの奥には、ウインカーやハイビーム、ニュートラルなどのインジケーターランプが横一列に並ぶ。

CBR400RRはセパレートハンドルのクランプをトップブリッジ下に置いたが、FZR400は初代から上に配置。この2型ではシート高を下げるとともにステップの位置を見直して、疲れにくく親しみやすいライディングポジションとしている。

画像: 吸排気経路を直線に近づけるためにシリンダーを45度前傾させてアルミフレームに搭載される、399.0cc(Φ56×40.5mm)の水冷DOHC4バルブ並列4気筒は、初代1986年型を元にしながら、ピストンクーラーを追加して熱的な安定性を向上、吸排気系や点火系統を改良するなどした。

吸排気経路を直線に近づけるためにシリンダーを45度前傾させてアルミフレームに搭載される、399.0cc(Φ56×40.5mm)の水冷DOHC4バルブ並列4気筒は、初代1986年型を元にしながら、ピストンクーラーを追加して熱的な安定性を向上、吸排気系や点火系統を改良するなどした。

画像: 59PS/12000rpm、3.9kgf・m/9500rpmのエンジン性能は不変だが、5000rpmから9000rpmの全域で出力およびトルクを強化、扱いやすさを高めた。ダウンドラフトキャブはBDS32から新型のBDST32に換わり、セラミックタイプのピストンバルブによりレスポンスを向上。メインボアを楕円→真円とするとともに口径をΦ29.3→30.5mmに拡大。エアファンネルの形状を見直すなどで滑らかな混合気の流れを得た。

59PS/12000rpm、3.9kgf・m/9500rpmのエンジン性能は不変だが、5000rpmから9000rpmの全域で出力およびトルクを強化、扱いやすさを高めた。ダウンドラフトキャブはBDS32から新型のBDST32に換わり、セラミックタイプのピストンバルブによりレスポンスを向上。メインボアを楕円→真円とするとともに口径をΦ29.3→30.5mmに拡大。エアファンネルの形状を見直すなどで滑らかな混合気の流れを得た。

画像: YZF400のテクノロジーを受け継ぐもうひとつの機構が、排気デバイスのEXUP(エグザップ)だ。シート下に置かれたサーボモーターからワイヤを伸ばし、集合部に配した横長のバルブを作動。アイドリング時のほぼ全閉から高回転域の全開までバルブの傾きを変化させて開口面積を制御して全回転域で理想的な排気効率を得ることで優れたエンジン特性を獲得する。EXUPは1987年に89万円で発売された2500台の限定車、FZR400Rで市販車に初採用。この1988年型で一般量産車に初めて装備された。

YZF400のテクノロジーを受け継ぐもうひとつの機構が、排気デバイスのEXUP(エグザップ)だ。シート下に置かれたサーボモーターからワイヤを伸ばし、集合部に配した横長のバルブを作動。アイドリング時のほぼ全閉から高回転域の全開までバルブの傾きを変化させて開口面積を制御して全回転域で理想的な排気効率を得ることで優れたエンジン特性を獲得する。EXUPは1987年に89万円で発売された2500台の限定車、FZR400Rで市販車に初採用。この1988年型で一般量産車に初めて装備された。

画像: サイレンサーはYZFをイメージした楕円断面に変更された。

サイレンサーはYZFをイメージした楕円断面に変更された。

画像: 1986年型では対向2ピストンだったフロントブレーキは、1987年4月に発売されたシングルシートを備える限定モデル、FZR400R(2TK)に続いて対向4ピストンキャリパーを使う。Φ282mmと大径なフローティングディスクと相まって、レーサーを思わせる外観を得ている。FZRではゴールドに塗られたこのフロントブレーキキャリパーは、シルバー(ウルシブラック車体色車等)などに色を変更して他の機種にも採用され、制動力の向上はもちろん、スポーティな外観を与える点でも活躍した。

1986年型では対向2ピストンだったフロントブレーキは、1987年4月に発売されたシングルシートを備える限定モデル、FZR400R(2TK)に続いて対向4ピストンキャリパーを使う。Φ282mmと大径なフローティングディスクと相まって、レーサーを思わせる外観を得ている。FZRではゴールドに塗られたこのフロントブレーキキャリパーは、シルバー(ウルシブラック車体色車等)などに色を変更して他の機種にも採用され、制動力の向上はもちろん、スポーティな外観を与える点でも活躍した。

画像: リアブレーキは対向2ピストンキャリパーに肉抜き穴が並ぶΦ210mmソリッドディスクを組み合わせる。構成は1986モデルと同じで、リアの対向2ピストンは、当時のヤマハ製大小排気量スポーツモデルに多く使われた。

リアブレーキは対向2ピストンキャリパーに肉抜き穴が並ぶΦ210mmソリッドディスクを組み合わせる。構成は1986モデルと同じで、リアの対向2ピストンは、当時のヤマハ製大小排気量スポーツモデルに多く使われた。

ヤマハ「FZR400(1WG)」(1988年)の主なスペック・当時価格

全長×全幅×全高2025×685×1160mm
ホイールベース1400mm
最低地上高135mm
シート高770mm
車両重量191kg(乾燥重量165kg)
エンジン形式水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量399cc
ボア×ストローク56.0×40.5mm
圧縮比11.5
最高出力59PS/12000rpm
最大トルク3.9kgf・m/9500rpm
燃料供給方式キャブレター(BDST32)
燃料タンク容量17L
変速機形式6速リターン
キャスター角24°00′
トレール量89mm
ブレーキ形式 前・後Φ282mmダブルディスク・Φ210mmディスク
タイヤサイズ(前・後)110/70-17・140/60-18
発売当時価格(1988年)71万9000円

まとめ:岡本 渉/協力:バイカーズステーション、佐藤康郎、H&L PLANNING写真:平野輝幸

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