文:ミスター・バイクBG編集部/写真:鈴木広一郎、南 孝幸、松川 忍/まとめ:オートバイ編集部
カワサキ・Z1用「YOSHIMURA HERITAGE PARTS」概要

YOSHIMURA HERITAGE PARTS for Z1
ユーザーの熱い思いを実現させるヨシムラ
2025年に開催されたモーターサイクルショーで発表されたヨシムラ・Z1。「YOSHIMURA HERITAGE PARTS」と名付けられたこの企画は、「愛車と共にこれからも走り続けたい」というユーザーの願いを叶えるために立ち上げられたプロジェクトで、コンプリートマシン(同社のGSX-R750など)、ヨシムラ製パーツ、そして廃盤になった純正部品の復刻の3つの柱で構成されている。このZ1はヨシムラ製パーツを中心に仕上げた仕様となっている。
装着されるヨシムラ製パーツの中でも、特に注目すべきがマフラー。走り出すと腹に響く重低音と心地良い抜けの良さが同居する排気音は、ストレートタイプのマフラーでありながら車検対応の音量に抑えられており、ヨシムラの高い技術が光る。
純正の4本出しマフラーから集合マフラー、しかも素材をチタンにしたことで、車体に与える影響は大きい。物理的な軽量化によって軽快感を増しただけではなく、その車体姿勢の変化にも大きな影響を与えている。

ストリートでの使用を想定した車体姿勢は、高すぎず低すぎない適度な車高とし、クッション性豊かでありつつも締まったショック設定で、多少飛ばしても音を上げない強靭さを持ち合わせている。フロント19インチホイールとリア18インチホイールの組み合わせと、素直で軽快、かつ癖のない特性を設計のステムが素晴らしいハンドリングを実現していた。
正直、フロントホイールをインチダウンしたような、低速から中速の軽快な切り返しを可能にするハンドリングは新鮮で、切れ込むようなクセもなく、19インチホイールならではの安定感も両立しているのが驚きだった。
エンジンは、極めて低回転域から高回転域まで、息継ぎやパワーの谷がなく、美しく調整されたTMR-MJNキャブレターが印象的。街乗りから峠のワインディング、高速道路など、どんなシチュエーションにおいても扱いやすく、製造から50年以上経過したモデルに乗っているという認識は、すぐに吹き飛んだ。
最高出力が100PS付近と聞いてはいたものの、低回転域からトルクフルなセッティングにより癖なく、また淀みなく最高出力を発揮する回転域まで吹け上がるので、データを遥かに凌ぐパフォーマンスのように感じられた。
マフラーを始め、エンジン、キャブレターなど、さまざまなパーツをラインアップしている。絶版車を大切に乗り続けるユーザーの願いを叶えてくれる「YOSHIMURA HERITAGE PARTS」プロジェクトから今後も目が離せない!
